• 272月

    Oriolusのイヤホン「Forsteni」ですが、多少のクセはあるにしてもやっぱりどうも低域が薄すぎると感じてお店に交換してもらうことになりました。

    まず前提として中古だったのですけれども、3.5mmのプラグが曲がっているのが気になっていたのもあります。
    ケーブルをFinschiと交換してみるとかなり改善が見られましたし、見かけの曲がりだけでなく内部に何らかの問題がある可能性が高いのではないかなと。
    お店でも音がおかしいことは確認できたようで、無事に交換してもらえました。
    ちなみにお店にもよりますが、中古の場合は保証があっても基本的には返金対応になることが多いのですが、今回は他の中古があったのでそれと交換していただけた形です。

    交換されたのはおそらくケーブルのみ(少なくとも箱や付属品は以前のままだった)だと思われますが、届いて早速聴いてみると全く別物というくらい音が違ってビックリです。
    まず低音の量が全然違っていて、前回のレビューは何だったの?ということになってしまいます。(汗)
    音が途切れる、鳴らないとか、そもそもユニット側の故障ならまだしも、音は出るけれどもここまで差が出るというのはちょっと驚きではありました。

    結果的には、これでこそFinschiの上位モデルという具合でして、高域の清々しく軽やかな明るさにフィットした軽快な低域がしっかり出てくれるようになりました。
    低域が違うと言ってもユニットが壊れていたわけではありませんから、周波数帯域に差があるわけではありませんので30Hzくらいからややだら下がりな傾向自体は多くは変化はありません。
    深く沈むような感じではなく、どこまでも抜けるように爽やかな低域で、全体的なバランスも良好になりました。
    いずれにしても交換前のもの足りない感は完全に解消しましたし、音の鮮度もずいぶん違うので、やはりケーブルはかなり大きなファクターであると再認識した次第です。

    生々しさはさらにググッとアップしまして、女性ボーカルの舌の動きまで生々しく伝わってくるような瑞々しさはちょっと他のイヤホンでは体感したことがない部分です。
    元々、広がりもありますが、音の抜けがさらに良くなり淀みがなく、爽やかで押し付けがましさもないので、とても良い気分で音楽に浸ることができます。
    Finschiも似た部分はありますし、そこがやはりOriolusの魅力であろうと感じます。

    あえて似た感触を覚えたとすれば、MAVERICKをお借りした時のそれに類似している感じでしょうか。
    あちらは音の方向性がもう少しモニタ寄り、Forsteniはもっとリスニング寄り、リラックス寄りなのですが、音の本質部分の思想は近いものがあるように感じます。
    余計な響きは乗せず、その上でデッドにもし過ぎてもいないという部分で近いところがあるのかもしれません。
    おそらくアコースティックフィルタも最小限で、抜けの良さと余計な響きを付加しない自然かつストレスのないサウンドに仕上がっています。

    さきほどのボーカルもそうですが、楽器の音色もとにかく異様に生々しい時がありまして、純粋に驚かされることが多々あります。
    録音が素直な場合は特にそう感じることが多いようですし、打楽器でそう感じる場面が多いような気がします。
    モニタ的ではないのですが、録音の質も良く分かる印象で、エフェクトの効き具合も細かく感じ取ることができます。

    他のイヤホンとも聴き比べてみますと、DORADOは同じDD+2BAですがForsteniと比べるとハウジングの響きがかなり乗っているなと感じます。
    DORADOはDDの主張がかなり強く分厚いのだけども雑然としてしまう部分もあります。
    その点、ForsteniはDDとBAの良さは活かしつつも帯域や分量で主張を強める方向性ではなく、それぞれの受け持ちの範囲でなるべく純度を維持する方向に注力しているなと感じます。
    そういう意味では、Forsteniのほうがむしろ現代的なアンプと組み合わせたほうが良いのかもしれません。

    FA1Jとも比較しましたが、こちらも1BAとしての純度を追求した仕上がりではあります。
    やはりさすがにナローレンジな感は否めませんし、音場もやや狭くモニタ寄りですから、方向性はだいぶ違う印象です。
    Forsteniのほうが帯域も音場も広くオーケストラの規模感は出ますが、当たり外れがあるといいますか、純粋なHi-Fiとはやや方向性が異なるのかもしれません。
    FA1Jだとついつい解析的に聴いてしまいがちなので、リスニングとしてはForsteniのほうが意外と気楽さもあって長時間楽しめるように思います。

    改めてFinschiとも比較してみましたが、Forsteniは中高域にややピークがあるようですが、それが抜けの良さと華やかさを引き出しているのだなと感じました。
    それとは別に、やはり鮮度(純度)の高さはForsteniならではのものでして、Finschiもかなり開放的なほうだと思いますが、Forsteniと比べてしまうとやはり凡庸な雰囲気だと思ってしまいます。
    とにかくForsteniは余計なフィルタなどでリミットが掛かっていないような印象でして、それだけにちょっとしたことでクセが出たり、鳴らしづらかったりする傾向はそれなりにあるけれど、音楽の楽しさをダイレクトに伝えてくれるような印象です。

    なかなかこの感触というのは伝えづらいところなんですが、どうもカナルなんだけれども、何故か直接耳を刺激しないような感覚もあって、それでいて純度が損なわれないという不思議な感覚です。
    たとえば前述のFiiO FA1Jは1BAで帯域は決して広くないけれど、真っ直ぐ音が到達して直接耳の中をガッツリ刺激してくる感じがあるのですが、Forsteniはイヤホンの中で音が構成されていて、それを聴きに行くような感覚を受けるんですよね。
    だから中高域が多少強めでも耳に刺さらないのかもしれません。
    その分、音像が遠いと感じる方もいらっしゃるかもしれないですし、DAPやアンプとの相性もかなりあるように思うので、できれば試聴して選ぶことをオススメします。
    そこが上手くハマれば価格帯に関係なく唯一無二のお気に入りになる可能性の高いイヤホンかなと感じた次第です。

    Filed under: Audio
    2020/02/27 4:30 pm | Oriolus Forsteni 交換後再レビュー はコメントを受け付けていません

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