• 091月

    フィデリティ・リサーチのMCカートリッジ「FR-2」を入手してみました。

    FRというとトーンアームが有名ですけれど、創始者の池田氏はGraceの出身ですし、その後はIKEDAを興したわけでカートリッジでも大きな成果を残した方です。
    これまでも気にはなっていたのですが、意外と出物は少なく、出ていてもFR-1やシェル一体型のFR-7のシリーズが多いかと。
    今回のFR-2は通常のシェル独立タイプながらIKEDAに移行してからのモデルの雰囲気をやや感じさせるものです。

    まずは手元にあった適当なヘッドシェルとリード線で動作確認です。
    なにせ1979年くらいの発売ですから、ずいぶんな年代物なのですけども、スタイラス等の状態はなかなか良さそうです。
    針圧は1.5〜2gとなっていますので、ひとまず1.8gに設定してみます。
    空芯コイルで出力電圧も0.1mVとわりと鳴らしづらいほうのカートリッジですが、C-280Lのヘッドアンプならまぁ大丈夫でしょう。

    内部インピーダンスは6Ω、負荷抵抗は10Ωと規定されていますので、最初は10Ωで受けてみます。
    一聴して感じたのは楽器の音色が自然で鮮度高く感じる点です。
    とりわけ10Ω受けの場合にそれが強まります。
    ただ細かな反りなどの影響を受けやすいのか、ちょっとしたトレースの状態変化でブレるような印象がありました。
    角度や針圧で出力電圧がやや変化しやすいのかもしれません。

    100Ω受けだとトレースによるブレは減って安定感は出ますし、低域の厚みも増しますからリード線などの見直しも必要なのかも。
    ただいずれの場合もこれまで使ってきた他のカートリッジとはずいぶん違う印象で、世代的にやや古めのアナログ盤を再生していると特に強く感じられる気がします。
    針自体は0.3×3milラインコンタクトですけども、その当時らしい音色が引き出せている感があります。
    といっても決して懐古趣味的ではなく、鮮度が高く、それでいて爽快で見晴らしが良いサウンドなのは空芯コイルなのも効いているでしょう。

    これまでの手持ちのカートリッジよりかなりボリュームを上げないと音量が確保できない感じですが、これは純粋に出力電圧相当です。
    ちなみに普段遣いのカートリッジ群でいいますと、ZYX Ultimate 100が0.24mV、Accuphase AC-2が0.18mV、Lyra Helikonが0.5mVです。
    これまで使った中ではortofon MC20が0.07mVで、これもヘッドアンプやMCトランス次第だった印象があります。
    ただFR-2は音量こそ取りづらいものの、音はガツンと前に出てくる印象で、他のMCカートリッジとは少し性格が違うようです。
    また音量を上げてもノイズがとても少なく、鮮度の高い音色と相まってついついボリュームが上がりがちになります。
    Grace F-8Lもそうでしたが、スクラッチノイズを目立たなくする工夫が施されているところもあるのでしょう。

    特に違いが目立つのがピアノです。
    アナログレコードにとっては苦手な楽器だと思うのですが、打鍵のパルシブさと精度が他にない魅力を感じさせます。
    録音された、というより生に近い音色なのは空芯の効果なのか、他のカートリッジよりもレスポンスが良い気がしますし、過渡特性が良いような感覚があり、歪みも少ないようです。
    スタイラスが小さめなのでサーフェスノイズも少ないことや、エコーや内周歪みが少ないことも効いているのかも。

    ちょっと寒い時期なのでレコード自体の再生時間があまり確保できてませんが、しばらくはFRでいろんな盤を聴いてみたい!と思わせてくれるカートリッジです。
    針カバーがちょっと使いにくいとか、細かなところはありますけど貴重なものですし、他のカートリッジ同様、大事に愛用していこうと思います。

    Filed under: Audio
    2021/01/09 2:00 pm | No Comments
  • 041月

    ACOUSTIC REVIVEから4分割のLANケーブル「LAN-QUADRANT-TripleC」が発売になっています。

    LANケーブルは信号線がカテゴリにもよりますが、8芯4組で構成されているのですけど、これを1組ごとに別シールドにして外観4本に分けて伝送する構造のようです。
    ツイストペアにすること自体、ノイズ対策なわけですが、その4組が並行して走っていれば各々の間でノイズも生じるということでしょう。
    同軸デジタルケーブルに行き帰りを分けたものやUSBケーブルの電源線と信号線を分離した製品はありましたが、LANケーブルでは初めて見る構造です。
    オーディオ用としてもそうですが、速度の面でも有利になる可能性もありそうです。

    お値段は1mで88,000円となりますけど、実質LAN-1.0 TripleCの外観4倍みたいな感じですから妥当なところでしょう。
    なお、導体はPC-TripleC、絶縁被膜はテフロンを採用してあるのは安定の仕上がりです。
    ちなみにうちのMac mini M1でLAN-1.0 TripleC(とRLI-1GB-TripleC)、SoundgenicではR-AL1を使っています。

    Filed under: Audio
    2021/01/04 4:00 pm | No Comments
  • 3012月

    ACOUSTIC REVIVEからターンテーブルシート「RTS-30」が発売されるそうで。

    ターンテーブルシートというのはちょっと予想外のところで出てきた印象です。
    以前はスタビライザーも出ていましたけど、アナログレコード周りではシェルリードくらいのラインナップになっていましたし。
    ただ、見かけだけで音に癖を付けてしまうようなアイテムは世に出さない同社ですから、アナログ再生に不可欠な改善アイテムとしてぜひ推奨したいという思いで製品化されたのだと思います。

    見た目ですぐに浮かんだのは仮想アースの「RGC-24」で、REM-8にも似たような模様が刻まれていますね。
    単なるデザイン的なものではなく、今回のシートの場合、テーパー状になりやすい形になっていると思いますし、レコード盤との接触面積も最適化されているように思われます。

    また、シリコン系の制振材に貴陽石、トルマリンなどの天然鉱石を含有させたものだそうで、このところ注力されている貴陽石の効果が期待できそうです。
    この季節に大敵な静電気への配慮が大きい辺りは消磁器にも通じるものを感じます。
    なお、貴陽石は同社の各製品にどんどん投入されていく予定のようで、先日の「RWL-3 absolute」もそうですし、さきほど挙げた「RGC-24」も「RGC-24K」に更新されています。
    今回に限りませんが、同社は旧製品からのグレードアップもしっかりサポートされています。

    私もターンテーブルシートは試してみたいところなのですが、BL-99Vはサクションの関係でターンテーブルシートがほぼ使えない感じでして、SAEC SS-300に重ねる形ならなんとかなるかな。

    もう一台のDENON DP-6000も特殊なシート形状ですし…。

    ただ、これまでもいろんなターンテーブルシートを試してきましたが、どれも素材の癖が乗りやすい傾向は感じていて、最初は「お!良いな!」と思っても結局やめてしまうということが続きました。
    その点でも今回のRTS-30にはかなり期待ができそうな気がします。
    とりわけ静電気については事前にいくら除去しても再生中に発生してしまいますし、ブラシ系などの外付けの除電装置も振動や音色の変化などが生じがちな印象もありますので、そうした弊害なく対処できるのではないかと思います。

    Filed under: Audio
    2020/12/30 3:30 pm | No Comments
  • 0712月

    for SMiLE labというところからバキューム式のレコードクリーニングマシン「Clean Mate NEO」が発売になったようで。

    アイコールから出ていたものを事業継承したんだそうで、中の人が独立したような形なのかなと予想してみたり。
    お値段はオープンではあるものの、すでに発売開始しているお店をみると税抜で13万円台と、アイコールの時よりはちょっと値上げされたかなという印象です。

    もちろんそのまま引き継いだわけではなく、まさしくNEOという感じにデザインもオシャレに進化しています。
    レコードラックのデザインなどを手掛ける方のデザインだそうで、オーディオルームに配置されることも多いであろうことを考えると良い雰囲気になったかなと思います。
    全体的に私の使っているClearaudioに雰囲気が似てしまった感はありますけど。

    見た目以外にも吸引力が120%に向上していたり、バキュームの動作音が65dB(従来モデルは90dB)と小さくなっていたりと、まるで掃除機の謳い文句のように進化をしています。
    おそらくバキュームの逆転だと思われるのですが、送出された風でレコードを乾燥させるドライ機能も装備してるんだとか。
    バキュームしてしまったらそんなに乾燥させなきゃいけないほど、液が残留していることはない気がしますし、むしろ残したまま乾燥させるほうが怖い印象はありますけどね。
    なお、クリーニング液は従来のアルカリ性の2液式から1液式の中性タイプに変更になったそうで、乾燥させても残留物ができにくくはなったのでしょう。
    個人的にはターンテーブルの逆回転でのクリーニングが結構好きだったりするので、そっちも搭載してほしかったかも。

    ほかにも除電用に和紙マットが標準装備されてるそうで、これも液体が溢れたら破れそうにも感じますけど、静電気が生じにくいそうですから、他のクリーニングマシンを使っている方も応用してみると良いかも。
    ブラシは従来のアルテに近いタイプのままのようですし、それなりに人気が出そうな気はしますが、巷のアナログレコード人気に反して意外とクリーニング界隈は市場が弱い印象もあるので、頑張って販売を続けていってほしいなと思います。

    Filed under: Audio
    2020/12/07 3:00 pm | No Comments
  • 0512月

    ShanlingのBluetoothアンプ「UP4」を導入してみました。

    既存のヘッドホンやイヤホンを実質ワイヤレスにできるという点と、ヘッドホン端子のなくなったiPhoneで気軽に使えるということで以前から気になっている分野ではあったのですが、スマホ近辺で使うとノイズが出たり、音質的に不満があったりとなかなか良いものに出会えなかったというのが正直なところです。
    ただ、2.5mm4極にリケーブルしたイヤホンも増えてきましたし、将来的にはLDACに対応した機材も検討したいというのもあって定評のあるUP4をチョイスしました。

    サイズも予想以上にコンパクトで、それでいて質感はとても良く、それだけでも期待が高まるというものです。
    まずはファームウェア更新からやっておきたくなるのが性格でして、どうやらMacには非対応のようでWindowsから実施しました。
    iPhoneアプリはありましたから、そっちでもできたかもしれませんが。

    iPhoneアプリがまた良くできていて、本体だけでもゲインモードやDACのフィルタ切り替えはできますけど、本体にはディスプレイはないのでLEDの色などを頼りにボタンの複数回タップで操作しますから、アプリで変更できるとかなり便利になります。
    デジタルフィルタは以下の4種類から選べますが、ひとまず「Minimum phase fast roll-off」を多用しています。

    Linear phase fast roll-off
    Linear phase show roll-off
    Minimum phase fast roll-off
    Minimum phase show roll-off

    ES9218Pに備わったものだと思いますが、あまり変化を強調しすぎず、ちょっとしたニュアンスの違いが楽しめる感じです。
    Bluetoothによる欠落を補う意味もあってか、UP4自体、やや中高域にクセがあるようなところがあるので、やや温和な印象のデジタルフィルタをチョイスしたほうが良いのかなと個人的には感じました。
    イヤホンもOriolus Finschiを使う頻度が高くなっていて、そのあたりも相性が多少あるかもしれません。

    ゲインは評判どおり、「Dual DAC Boostゲインモード」が音質面では圧倒的です。
    低域の駆動力も歪みの少なさもダントツで、消費電力を気にしないのであれば3.5mmアンバランスならこれで使うのがベストでしょう。
    バッテリーも「Dual DAC Boostゲインモード」で使って4時間ほどで100%→60%程度ですから、わりとバッテリーの保ちは良いと感じます。
    カタログスペックでは最大15時間(シングルエンド)、10時間(バランス)となっています。
    なお、2.5mmの場合は使えない(そもそもDual DACで動作する)ですが、2.5mm時のローゲイン/ハイゲインとの切り替えは自動的になされるようです。

    ほとんどはiPhoneで使っていますが、そうなるとコーデックはAACになりますので、そちらの音質面での限界はどうしても感じられました。
    AK300でaptX HDで接続すると音質的にはかなり底上げされますが、中高域のクセ自体はそんなに変化はないようでした。
    また、他のワイヤレスイヤホンなどと違い、UP4のボリュームはiPhone側のボリュームとは独立していて、64段階で操作できますので細かい設定ができて便利です。
    最新のファームウェアとiPhoneアプリを併用すればボリュームレベルの記憶もされますし。

    音楽を聴くのに使うだろうと思って導入したわけですが、実際にはドラマやラジオをUP4で楽しむ時間が増えました。
    中高域にややシャリつきはあるのですけど、これが小音量でも会話を聞き取りやすいというのにつながっているのも大きそうです。
    セパレーションもほどほどに良いので空間再現も良好ですし、TWSでありがちな左右の位相ズレが少ないのも聞きやすさにつながっているのかもしれません。

    先日のMDR-1ABTもLDAC対応ですし、AACの限界も感じ始めてきたので、LDAC対応機器も欲しい気はしています。
    できればApple製品自体が対応してくれればベストなのですけどね。
    ちなみにMacはaptXにも裏対応できているので、MDR-1ABTのほうはaptXで常用していますが、そのほうが音切れも少なく快適に使えています。

    Filed under: Audio
    2020/12/05 1:30 pm | No Comments
  • 2311月

    NOBUNAGA Labsの2.5mm4極MMCXケーブル「篠波」を導入してみました。

    Campfire Audio DORADOに使ってきたPW AUDIO The Flashがすっかり緑化してしまったのと、2.5mmのケーブルも1本くらいは本気なのを持っておきたいなと。
    篠波は4N純銀・金メッキ、4N純銀、6N OCCの3種を組み合わせた4芯構成となっています。
    金メッキ純銀はちょっと細めで7本x3、4N純銀と6N OCCはそれぞれ3本x2というかなり凝った構成で、合計33本x4というものです。

    金メッキのケーブルはイヤホン界隈では最近良く見かけますが、透明シースで見えるからという視覚的な部分も多少はあるのかもしれないですね。
    メーカーサイトでは「優れた解像度と奥行、高さといった立体的な音場空間を実現。明瞭で広がりのある中高域とタイトに締まった低域、自然で広がりのある豊かな音」を生み出すべくこの構成になったんだとか。

    早速DORADOに装着して聴いてみると、穏やかで自然だなというのがファースト・インプレッションです。
    俗に言う銀っぽいキツさは感じられず、手持ちのケーブルではALO AudioのCopper 22に似ている気がします。
    Copper 22と違って取り回しはとても良いので、扱いやすさも良い感じです。

    また、位相の乱れが少ないので脳内でぐるぐるする感が少ないのが印象的でした。
    静寂感が高いのは歪みが少ないからでしょうか。
    DORADOはどうしても低域が暴れがちなのですが、ここが穏やかにバランス良くまとまりつつ、力強さもしっかり引き出されてきます。
    艶やかさも癖を強く意識させない範囲の優雅さを感じるもので、弦楽器がとても艶やかです。

    銀線っぽさが薄い分、中高域は見た目の雰囲気よりは少し控えめで、その影響か、女性ボーカルは少し鼻詰まり傾向が感じられるケースがありました。
    ただこれは当初、Opus $1Sを使っていた影響もあったようで、そういう点ではDAPの性能差もしっかり表現してくれるといえるでしょう。
    なお、iPhone周りでも一応試しましたが、スマホからのノイズは拾いやすい傾向ですし、当たり前ではありますが、しっかり性能を活かすにはDAPのほうがオススメです。

    次はDAPをAK300+AK380AMPに変更してみます。
    こちらはボーカルがとても近く感じるのが印象的で、距離もそうですが純度が高いので「密接感」が高まります。
    2.5バランスでありがちな中抜け感も少ないですし、楽器の分離や音色も良好で申し分ありません。
    アコースティックギターの音色が特筆ものでした。

    そこでアンプをやめてAK300単体でも試してみました。
    こちらでも繊細な細やかさは出ますし、空間表現も豊かなので、Opus #1Sより現代的な表現力があるようです。
    これで十分な気もしたのですが、やっぱりAK380AMPの有無を比べてみるとやはりパワフルさが違っていて、とりわけ低域の芯の強さが異なってきます。
    イヤホンも含めてケーブル以外の違いがあるので当然違って当たり前なのですが、このケーブルに変えてからDAPやアンプの違いに敏感になっていて、それだけ今回のケーブル変更でイヤホン自体の潜在能力を引き出せたような気がします。
    ただ、さらに上を目指せば…という話でして、どの環境でも素直でクセはないので、その点でも扱いやすいケーブルです。

    最近はワイヤレスの利便性に流されていて、本格的にはヘッドホンという使い分けになりつつありましたが、リケーブルを楽しめるイヤホンの良さもまた再確認できました。
    ただ以前のようにいろいろ試すというよりは気に入ったイヤホンを厳選して長く楽しめたら良いなと思いますし、そのためにも良質なMMCXケーブルを手に入れられたのは良かったと思います。

    Filed under: Audio
    2020/11/23 3:30 pm | 2 Comments