• 267月

    FAudioのユニバーサルイヤホン「Chorus」を入手しました。

    あえてユニバーサルと書いたのは同名のカスタムIEMが元々あって、それをユニバーサル化したのが本機だからです。
    FAudioは以前もPassionを持っていましたが、それとほぼ類似形状の栗っぽい形のメタルハウジングに収納されています。

    Passionと比べると純正ケーブルもかなり良質でSilver Plated Litz Cableが付属します。
    3.5mmプラグ部分がちょっとコンパクトではありますけど、まあどうしたってリケーブルしちゃうので十分ではあります。
    ちなみにイヤホン側は埋め込みじゃないフラット2pinです。

    まずは似た構成のEffect Audio Virtuoso 2pin 4.4mmにリケーブルしてみましたが、これはかえって高域寄りになって低域がやや薄く音は硬くなってしまったのでどうやら合わない模様です。
    いつも通りのEFFECT Audioらしく音の鮮度は上がったんですけどね。
    そこでConXのAres II+を2pinに交換して使うことにしました。
    これだと低域の厚みも出てバランス取れます。

    3BAという構成ですが下もごく低いところまで伸びてこそいないですが、しっかりボリューム感のある鳴り方をしてくれます。
    高音もキツくなりすぎずバランス感覚が良い感じで長時間リラックスして聴ける印象です。
    空間再現が元々良くゆったりした鳴り方で、喩えるならばフロア型スピーカーのような雰囲気で鳴る感じなのでのんびり聴けるのかも。
    スピーカーでいうとタンノイっぽいような感じでしょうか。
    どちらにしてもブリティッシュっぽさがあるように思います。

    イヤーピースは純正白のInstrumentだとゆったりしていてバランスは良いのですが、なぜか耳から外れやすいので変更することに。
    ちなみにイヤホン自体のノズルはかなり太めなので、それでも装着可能でいてしかも外れにくいというのを優先させてSpinFit OMNIにしました。
    これで少し透明度が上がり、ハイもちょっと伸びるが刺さらないレベルでまとまりました。

    得意なのは女性ボーカルで自然で艶やかになり過ぎず程よい温度感です。
    ギターやコントラバスなどの箱鳴り再現も得意で、過剰な表現にはなり過ぎず、音色はウェットで響きは少なめなんですけどなんとなく実体感がある感じという、ちょっと言葉だと表現しづらいですけど生っぽい感じになります。
    ドラムも結構リアルに感じますし、ノズルから見たところ3BAの音導管がしっかり分かれてるっぽいのでそれも寄与しているのかな?

    試しにUnique Melody Maverickと比較してみました。
    Maverickのほうが音が遠く感じて帯域も狭いというか、全体的に薄く感じます。
    言い方を変えればMaverickはごく普通にIEMっぽく、Chorusのほうはヘッドホンやスピーカーに近い感覚で聴けるというのが違いでしょうか。
    音場が広いのもありますが、楽器の遠近感を表現するのに長ける印象があります。

    実際、購入からしばらくしても使用頻度が高めでして、特に飛び抜けた部分があるわけではないのですがクセが少なく圧迫感が少なめなのもあるのかな?
    イヤピース交換やハウジング形状などで耳へのフィットが良いことももちろん一因だと思います。
    カスタムIEM主体のブランドだからこそ、ユニバーサルとしての魅力を引き出しているのかなという気がしています。

    Filed under: Audio
    2024/07/26 12:00 pm | No Comments
  • 247月

    ずっと狙っていたSAECのヘッドシェル「ULS-2X」を入手しました。

    トーンアームもSAEC WE-407/23ですからまあ相性は良いでしょうし、ULS-3Xみたいに重くないのでミドルマスウェイトを装着している我が家では扱いやすいですし。
    ちょうど新しいTANITAのスケールを買ったところだったので量ってみるとリード線込みで10.1gでした。
    本体は公称9.5gなので順当なところでしょう。
    リード線もおそらく純正のままだと思われます。

    基本的にはULS-2の側面にチタンの板を取り付けたような構造で、共振低減されていると推測されます。
    ULS-2は経年劣化で変形しているものが稀にあるらしいですが、その点でも横にネジ止めされてるので変形が防げているでしょう。

    カートリッジはどれを付けるか迷いましたが、最近出番が減っているZYX RS30に装着することに。
    RS30自体が非常に軽量(4.2g)なので全体でも15gに満たないくらいになって、ミドルマスウェイトでは逆に軽すぎてギリギリになっちゃいましたけどなんとか使えます。

    音傾向としてはチタンの音色がやはりほんの少し乗るかなという印象です。
    トランペットあたりでわずかに分かる程度で、むしろそれがキレの良さにつながる部分もあります。
    ZYXは少し高域が物足りない傾向なのでちょうど良いでしょう。

    音像がソリッドになる感覚で温度感もだいぶ高めになり、ZYXの真面目だけどどこか冷めて客観的な感じは補えたのかな。
    言ってることが若干矛盾している感じもしますが余計な響きは少なめなので、長引かない短い余韻がほんのり付加されるという印象です。

    若干軽量過ぎるので将来的にはSONY XL55あたりと入れ替えることも考えてみようかなとは思いますが、ZYX RS30の出番を増やすにはちょうど良いのかも。
    これでまたすぐSONYやYAMAHA、Victorに変えたくなるようなら考えたいと思いますが、ヘッドシェル自体は古いものにしてはかなり良好かなと思っています。

    Filed under: Audio
    2024/07/24 12:00 pm | No Comments
  • 187月

    SONY XL-55のリード線がだいぶ貧弱だったのでオーグライン単線のリード線を調達してみました。

    オーグラインは言うまでもないですが銀と金の合金で、ラインケーブルなど一部で根強い人気があるものです。
    最近はプラチナが入ったものなどもあるようですが、今回のはおそらくオヤイデあたりで売っているPTFE被覆単線をベースに作られたものだと推測します。
    ちなみに製品としては武藤製作所から出ていますが、こっちはおそらく撚り線だと思われます。

    今回のものは単線というのが大きな特徴で、オーグラインということを抜きにしてもだいぶ珍しいリードでしょう。
    正確な太さは測っていませんがオヤイデで売ってるいちばん細いものでもφ0.3mmで、absolute LEAD WIREほどではないにしてもリード線としてはかなり硬いです。
    特にXL-55だとヘッドシェル側と交差するピン配置なので、取り付けはかなり大変でした。
    リードチップにも4N純銀が使用されているらしく、これがかなり柔らかいこともあってリード線を曲げたり回そうとするとチップが緩むので一層取り付けがしづらかったです。

    音質面では元々のリード線(おそらくEntre製)と比較すると明らかに異なる印象です。
    尖った部分が減少して、より滑らかな音質が得られました。
    単線ならではの素直な音の伝達も感じられますが、音量は若干低めになった感じがするのはオーグライン自体の抵抗とチップの接触の影響かな?
    銀の撚り線も先日試しましたがそれとはかなり真逆なくらいで、単線らしく素直でクセはなさそうです。

    単線のリード線自体が珍しいのでその点では貴重ですが、さすがにこれだけ取り回しが良くないとあまり積極的にオススメはしづらいかな。
    そもそも製品として入手できそうな感じがしないですから、自作するか寄り線の製品版になるのでしょうけど。
    交差しないピンアサインのカートリッジで使えばもうちょっと印象も違うかもしれませんが、もう付け替える気にならないかなぁ。
    ただ音質面では満足しているので、その点では導入した効果はあったように思います。

    Filed under: Audio
    2024/07/18 12:00 pm | No Comments
  • 137月

    SONYのMCカートリッジ「XL55」を入手しました。

    SONYのMCカートリッジはXL-MC3、XL-55Pro、XL-44Lに続いて4本目ということになります。
    上位のXL-MCシリーズあたりを狙っていたのですが、中古の出物次第なのでそう上手くはいかず、独自路線初代をゲットという流れになりました。

    シェルと一体のXL-55Proの通常形態かと思っていたのですが、実際にはかなり違っていてまず適正針圧が1.7g(XL-55Proは2.0g)となっています。
    実際に扱ってもかなり上下に柔軟に動くダンパーという感じで、1.0~2.2g(XL-55Proは1.5g~2.5g)とハイコンプライアンス寄りなのだと推測されます。
    カンチレバーの構造も微妙に記載が異なりますけど、3重構造というのは共通なのでまあこっちはほぼ同じなのでしょう。
    本体は10gもあるのでむしろ重いほう(XL-55Proはシェル込みで22g)ですけど。
    ちなみにヘッドシェルはENTREのES-12を使っています。

    XL-55の最大の特徴は、その豪放かつ快活な音質にあるようです。
    また空気を揺らす力が非常に強く、音楽に生命感を与えてくれている印象がありました。

    先日入手したYAMAHA MC-1Xの上品で繊細な路線とは対照的に、XL-55は力強くエネルギッシュな音楽再生をしてくれます。
    音傾向としては全般に明るく多彩な音色で溢れていて、ジャズの再生に適しているように思われます。
    空間再現能力が高く、細やかな音の表現がなされていて、そのあたりは他の手持ちのSONY製MCカートリッジに共通するイメージです。

    低域のキレが良く、若干ピラミッドバランス的な音質特性かなという気もしますが、これはダンパーの特性やヘッドシェルの重さなどが影響している可能性もあるでしょう。
    ダンパーが柔らかめなこともあって若干低域で共振しやすい傾向がありますが、これも重量等で変わってくるものでしょう。

    うちのヘッドアンプはSONY HA-55ですから当たり前ながら相性は非常に良く、ソニー製品ならではの統一感が感じられます。
    ただXL-55Proと比較すると、ヘッドシェルやボディの材質などにもよるのでしょうけれどXL-55のほうが若干鳴きが残っている印象があります。
    XL-55はGrace開発の後、森氏がソニーサウンドテックに移籍して最初のMCカートリッジということもあり、どこかGrace F-8Lに類似した「嫌な音を鳴らさない」という特色をほんのり残しているのかもしれません。

    このところ1970〜80初頭にかけての国産MCカートリッジをいくつか集めた形になりました。
    当時の日本盤レコードの保有数が圧倒的に多い我が家ではそれが相性が良いということでもあるのでしょう。
    すでに針交換もできないロートルばかりですけど、上手に使っていければ良いなと思っています。

    Filed under: Audio
    2024/07/13 12:00 pm | No Comments
  • 107月

    EFFECT AUDIOのイヤフォン用ケーブル「AresⅡ+/4wire(ConX to 2.5mm Balanced)」を入手しました。

    4.4mmに変更していってる中での2.5mmですけど、イヤフォン側がConXというのもあっていざとなれば4.4mmに換装しても良いかなと思っての入手です。
    すでにAresII+/4wireのConXじゃないタイプやAres Sを持っているのでやや今さら感はありますけどね。

    まずは当初付いていた2pinからMMCXに交換するために2pinのConXアダプタを外す作業から始めましたが、ちょっと固着してるんじゃないかと思うくらい固くて取り外すのに手間取りました。
    ConX Basic Kitに簡単な工具が付いていますが、引っ掛かりが少なく力も入れづらいのであまり力を入れすぎたら工具やプラグ側が壊れちゃうんじゃないかと思うほどです。
    ちなみに2pinはねじ込み式だと変な向きになるんじゃないの?と邪推してましたが、正負が入れ替わるようなこともなく、ちょうど良い具合に向くようです。

    ケーブル本体の硬さはConXじゃないタイプのAres II+と全く同じで、Ares Sと比較すると取り回しの良さでかなり劣ります。
    被膜の変更だけでなく、導体の太さも多少違う(II*は22AWG、24AWG)から仕方ないところなのでしょう。

    Unique Melody Maverick Tiとの組み合わせで試聴してみましたが、低域は期待したほどのパワフルさはありませんが十分な存在感があります。
    高域はややサラサラとした質感がありますが耳障りな刺激はなく、女性ボーカルの再生では艶やかさが際立ちます。
    4.4mmから2.5mmになっても優れたセパレーションと空間の広がりは維持されていて、そこはAres II+の魅力でしょう。
    使用を重ねるにつれて自然な音色が出てきましたし、空間の広がりはありながらも穏やかな空気感を持ち合わせています。

    4.4mmと2.5mmの差もありますが、ConXの有無で同じAres II+を比較すると若干鮮度は落ちているかも。
    Ares Sでも若干似たような鮮度低下を感じたので、やはりそこは変換アダプタ的な接点の増加はあると考えたほうが良いのでしょう。
    Ares Sは被膜や取り回しが圧倒的に向上しているのでそこにメリットがありますし、2pinはちょっとしたことで折れたり曲がったりするので、そういう意味ではとてもありがたい仕組みだとは思います。

    Filed under: Audio
    2024/07/10 12:00 pm | No Comments
  • 087月

    超ラボパーツのシェルリード「LTP-1180」を入手したので、Victor MC-1に装着してみました。

    ポリウレタン被覆の0.08㎜径リッツ線を180本縒り合わせて被膜を被せずにそのままリード線に仕立てたという、なかなか尖った製品です。
    発売元はビクターサービスとなっていますが、そのあたりの経緯はあんまり良く分かっていません。
    たしかMC-L1000などで使っているのを見かけた記憶があります。

    リッツ線を撚り合わせただけですから柔軟性には優れていて配線作業はやりやすいです。
    ただ捻ってあるだけとも言えますから取り付ける際にリード線を捻るとリッツ線を束ねた部分が若干解けてしまうため、取り扱いには注意が必要です。
    カートリッジのピンアサインによっては当然クロスする配線になりますが、メーカーではリッツ線が十分な絶縁性能を担保しているのでショートの心配はないとしています。
    実際の使用でも特に問題はありませんでしたが、経年劣化もあるでしょうし注意が必要でしょう。
    普通のカートリッジなら単に音が出なくなるだけですけど、光カートリッジみたいに電源供給される場合は使用は避けたほうが良いでしょうね。

    音質面では全体的にニュートラルな特性です。
    特筆すべき点としては高域の伸びと透明感の向上が挙げられます。
    拍手やハイハットなどの繊細な音の再現性が向上し、より自然でリアルな音場をもたらしているようです。
    歪みの少なさも特徴の一つで、ジャリっとした不快な音が抑えられ、上品で滑らかな音になりました。

    Victor MC-1の特色を素直に引き出してくれる印象で相性は基本的に良いと思いますが、それが「放送局っぽい」という表現が浮かぶような部分は多少感じられます。
    束縛感が少なく自然な音の流れを阻害しない点がおそらくそう感じさせるのでしょう。
    一方で、全体的に生真面目な印象が強くなる傾向なので、音楽によってはもう少しスリリングさがあっても良いかもと感じるケースもありました。

    リッツ線をそのまま使うという尖った構造から想像するのとは違って、非常に生真面目さを感じるリード線でした。
    特に高域の透明感と歪みの少なさは最近の製品にもなかなかない雰囲気かと。
    リード線で音傾向を変えたいケースには向かないでしょうが、今でも十分に通用する鮮度を持った製品かなと感じました。

    Filed under: Audio
    2024/07/08 12:00 pm | No Comments