• 128月

    父親がスピーカーを自作したいということでFOSTEXのフルレンジを入手したわけですが、私も気楽に使えるスピーカーを作ってみるか…と調べていて、懐かしいスピーカーを見つけてしまいました。
    それがKLHの2wayスピーカー「KLH4」です。

    KLH自体、当時から知名度は正直あまり高くなかったと思いますが、ボストン系スピーカーブランドとしてはそれなりに名を馳せたように記憶しています。
    もう少し前のものが有名で、その頃はARなどとともに結構人気だったかと。
    今回のKLH4は1984年発売で、当時はサイバネット工業扱いで、サイバネット工業自体が京セラに買収されたのと同時くらいにKLHの京セラ傘下にあったようです。

    その後もいろいろな経緯を経て、カーオーディオやったり、今はわりと高級系のスピーカーを出したりしているようです。
    そんなマイナーなブランド、スピーカーですけれど、私にとっては過去に試聴した記憶もあり、懐かしいものだったのです。
    当時あった栄電社というオーディオショップにAccuphaseのプリメインアンプ「E-303X」を試聴に行った時に鳴らしていたのが、このKLH4でして「こんなに小さいのに鳴りっぷりが良いなぁ」と感じたのを覚えています。
    兄弟機に当時のセールスポイントだったABC(Analog Bass Computer)システムという外付けの箱を付けたKLH3というのもあったので、鳴らしていたのはそっちだったかもしれませんけどね。
    年代的にはE-303Xが1983年発売だから、記憶自体は正しそうです。

    当時ですら29900円(1台)というエントリークラスのスピーカーですが、15cmポリプロピレンウーファーがなかなかに印象的でした。
    能率が85dBとかなり低めで、ABCがないと68Hz~20kHz(-3dB)と欲張らない帯域ですが、そもそもボストン系はかまぼこ特性で有名ですからね。
    実際に今の環境で鳴らしてみても、当時聴いた感覚が蘇るのは、うちのシステムが当時の年代物が多いからかもしれません。

    これまでMatrix 802 Series 2の間にはパワーアンプを置くだけで、可能な限り音最優先の配置にしてきたつもりでしたが、そろそろ肩の力を抜いても良いかなと、思い切ってスピーカー2組体制にしてみました。
    スピーカースタンドは805で使っていたサウンドアンカーを置き、スパイク受けはSPU8、スピーカーケーブルはACOUSTIC REVIVE SPC-REFERENCE TripleCにYラグ装着という辺りはわりと本気モードですけどね。
    なお、SPC-TripleCのダブルバイワイヤはこれまでパワーアンプのA/B両系統につないでいましたが、片方にまとめてスピーカー切り替え可能にしました。

    いざ鳴らしてみると当時の記憶が蘇ってくるようです。
    いつものように分かりにくい喩えで恐縮ですが、Campfire AudioのNOVA CKに通じるようなサウンドかなと。
    ナローレンジではあるものの、グッと凝縮されつつ主張も強めのサウンドで、低域は帯域的にも思ったより出ています。
    高域はかなり割り切っているようには思いますが、老人の耳にはちょうど良いくらいでしょう。

    楽器の音色などもなかなか自然体で、モニター的ではないですが全体のバランスを崩さずに元気に鳴らしてくれます。
    苦手なのは男性ボーカルで、なぜかやや抜けが悪く感じるのは3kHzというクロスが関係しているのでしょうか。
    女性ボーカルではむしろ自然ですし、中低域のチェロも膨らまず音色も良いですから、録音が関係している可能性もあるでしょう。
    実際、最近の録音だと広がりが少なくドライになりがちな傾向があり、オフマイクの音源のほうが得意のようで、ピタリとハマるとスピーカーの外側まで広がり、おそらく初めて聴く人は隣の802とどちらが鳴っているか分からないくらいでしょう。
    もちろんこの広がりはRWL-3の効果もあると思われます。

    小型スピーカーですが、能率の悪さもあるからか、小音量よりもある程度パワーを入れたほうが活きてくる傾向はあります。
    また小編成よりも音数が多いほうがむしろパワフルかつ多彩にそれぞれの楽器を描き出してくれる傾向です。
    そこも編成というよりは実際には録音スタイルが影響している可能性は高い気はしていますけど。

    状態としては元々が結構ラフな作りな部分がありますし、スピーカー端子も極端に小さかったりしますけども、鳴りはまだまだ元気という印象です。
    スピーカーの大きさも幅も今の部屋のエアボリュームからすると、実は802よりも合っている可能性も高く、音質では802のほうがやはり勝っていますが、全体のまとまりはわりとラフなセッティングでも良い面もあるのかなと感じています。
    自宅録音でも比較してみましたが、802だと機材や下手なマイクセッティングで音の粗ばかり目立ってしまいますが、KLHだとグランドピアノのサイズ感がしっかり出てきますし、ピアノの音色も意外とKLHが健闘しています。

    また、いくら低域が出るとは言ってもそこはサイズが小さいですから、階下への音漏れもだいぶ軽減されます。
    Soundgenic経由のネットワークオーディオやFM放送など、これまでだと本腰を入れられる時しか聴かなかったところを、もう少し気楽に楽しめる環境になってくれそうですし、導入して良かったなと思っています。

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    Filed under: Audio
    2019/08/12 12:00 pm | KLH KLH4 はコメントを受け付けていません

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