CZ-504Dの真空管アンプ

NECの通信用電力増幅五極管をプッシュプルで使った真空管アンプを入手しました。

正直そこまで真空管には興味なかったのですが、STAXで良さも感じていたし、なによりCZ-504Dの予備が7本も付いていて、トランスもTANGOだったので損はないな、という邪な部分もありつつの入手でした。

ちなみに主だった真空管やトランス等の構成は以下のようです。

• 初段:テレフンケン ECC81
• 位相反転:GE(?) 5814A
• 出力段:NEC CZ-504D プッシュプル
• 整流:HITACHI 12GK17
• 出力トランス:TANGO U-25-10
• チョークコイル:LUXMAN 4BC1.3

真空管の印字が消えていたりして読めない部分が多かったですが、回路図も付属していてそちらの記載も含めて上記の記載であまり大きくは違わないでしょう。

出力はNECのCZ-504Dで、1939年に日本電気が電電公社向けに開発したものだそうです。
今回入手した球も年代に多少のばらつきはあるものの、1950年代がほとんどで、寿命の長さに驚かされます。
一般的な真空管のようにゲッター主体ではなく、製造時に電極のガスが完全に抜けきるまで徹底的に焼く処理をしてあるらしいです。

初段のECC81はテレフンケンの印字がかろうじて残ってるので多少わかりますね。
底中央にデルタマークがあるので、PHILIPS OEMだろうと思いますし、左右が異なるような感じもしますが、聴いた感じではそこまで気になるようなことはありません。

位相反転段の5814Aがいちばん判別しづらくて、ちょっとだけ残った緑の印字を見るとSYLVANIAっぽい気もしますけど、GEにも似た印字のはあるので、まあここは回路図の記載通りGEだろうなと。

まあ真空管の蘊蓄はそのくらいにして、まずはROKSAN FR-5に繋いで動作確認してみました。
FR-5は4Ωなのですが、スピーカー端子は8Ωのみでアウトプットトランスの配線を変えないといけないので、あくまでも仮ということで。

まずはボリュームを絞った状態から始めましたが、問題なく音が出たのでこちらはフルボリューム状態にしてプリで調整します。
ウォームアップはさすがに少しかかるみたいで、30分くらいから音量も帯域もしっかりしてくる印象です。
ROKSANではあまり音量を上げ過ぎずに試しましたが、それでも中低域に少し厚みがあって、なかなかの出音です。
ヴァイオリンがイライラした音にならないのは良いですし、伴奏のピアノがしっかり存在感があります。

ウォームアップが進んでくると、透明感も増してきて、簡単に言えば電圧の高い音って感じが強まります。
レコードで特に冴える印象で、NFBはアウトプットトランスの16Ωタップから初段に向かって、回路図だと16dBとかそのくらい掛かっているはずですが、やはりトランジスタと比べれば少ないからか、トランジェントが素直に感じます。
レコードを聴いた時に、スクラッチノイズのキレが違うあたり、Mark LevinsonのMCヘッドアンプ、JC-1ACに通じるものを感じました。

また、さらに聴いていくと、「あれ?これ何かに似てるな」と。
よくよく考えると、KRELL KSA-100に似ているんですね。
むしろアレより甘くなくキレが両立しているような感覚です。

動作確認も無事に終わったので、4Ωに切り替えるか迷いましたが、B&W Matrix 802 S2に繋ぎ変えてみることに。
こちらでも傾向は基本的に同じで、スピーカーが大きい分、多少低域が出過ぎな感じすらありますが、ちょっと離れた場所で聴くとリアルさがあるというのが面白いところです。
銀塩の粒状感とでも言うべきか、滑らか過ぎない臨場感があるような気がします。

正直、真空管と相性の良いスピーカーではないはずですが、小音量でも駆動力があって、ちゃんと駆動しているという印象です。
おそらくアウトプットトランスが10kΩと高めなのも良い方向に働いているのでしょう。
ちなみに出力も回路図からの推測ですが、最大でも7W程度じゃないかと思われますけど、パワーが足りないと感じる部分は一切ありません。

802でも、ガットのキレがやはり違いますし、ユニゾンのボーカルなどもしっかり分離しつつ調和していて、音楽の存在感が強いというのが大雑把な感想です。
フォノはPHILIPS EG1000のツインモノ使いの良さもしっかり引き出せていますし、ハムノイズなどもパワーアンプ由来のものは全くなく、むしろ盤の反りまで分かるほどで、「こんなに静かなの?」という気すらします。

最近はどうしても億劫になり、STAXで聴くことが増えていましたが、真空管アンプになってスピーカーで聴く習慣が戻ってきました。
ECC81も含めて球の状態は多少分からないところもありますので、そこは別途入手した真空管でちょっと遊んでみたりしつつ、使っていきたいなと思っています。

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