• 1610月

    みんぽすさん経由で参加したJVC KENWOODの新しい「Kシリーズ」の試聴イベントですが、前回の「機材編」に続き、試聴編という形で実際に聴いてみた感想を当日のメモに基づいてレポートしてみます。

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    前回書いたとおり、フルハイレゾ対応を実現したということで、ハイレゾによるライブ感、空気感を重視したという説明の後、CDリッピングや24bit/96kHz、24bit/192kHzなどの音源をK2テクノロジーOn/Offなどで聴かせてもらいました。
    音源としてはジャズボーカルが多めでクラシックが少なかったですが、他のレビュアーさんの手持ち音源なども含め、幅広く確認できました。
    なお、CD再生との比較に際してはA-K805を、ネット経由での再生にはA-K905NTを使用(ともにスピーカーはLS-K731-M)しての試聴となっています。

    まずはCDリッピングをK2なしで聴いてみますと、試聴一発目というのもあって真っ先に感じたのが箱鳴りです。
    試聴スペースの広さや、イベントで力が入ってることもあるのか、音量も通常使用よりも大きめということもあるのでしょうね。
    そこを差し引いて考えるとソリッドにまとまった現代的なサウンドで、アンプ部分はこれまでのKシリーズの方向性に近いものだと思います。
    ただ、今回のフルハイレゾ対応アンプの傾向なのか、やや平坦でドライな音色傾向に感じました。

    そして、K2オンに切り替わりますが、ボーカルの息遣いが生きてくるのが分かります。
    高域が伸びるというよりもビット拡張されて粒子が小さくなるような方向性での伸張ですね。
    こうしたアップサンプリングは、ともすると付帯音などのアーティファクトが伴いやすいのですが、そうした部分がないのはK2テクノロジーの完成度の高さのおかげでしょう。
    ただ、ボーカル帯域より上側がその恩恵を受けているのに対し、低域側はそれほど大きな変化がない印象で、その影響もあるのか、帯域バランス的に高域側に浮ついたような部分も見受けられました。

    次に女性ボーカルでCD音源と24bit/96kHzのハイレゾ音源の比較をK2オフで聴かせてもらいました。
    まずCDで感じたのは楽器やボーカルの分離の悪さです。
    今回は全般的に「ハイレゾはこれだけ素晴らしい」という方向性での紹介だったんですが、CDも好録音のものであればそれほど捨てたものではないですし、こんなに悪かったっけ?というのが率直な感想でした。
    どうもK2テクノロジーありきでチューニングされているような雰囲気ですし、実際、K2を常時オンにしておいたほうが混在した音源を聴く上では良いのかも。
    なお、K2の切替時には一旦ミュートがかかる仕様になっていました。

    続けて24bit/96kHzの同曲を聴いてみると、そうした分離の悪さはありませんから、音源の差を明確に表出させるという点では優秀なシステムということですね。
    音の傾向としてはやや店頭向きの元気なまとめ方で、デモで使われていたジャンルのようにジャズやポップスなどに合う印象でしょうか。
    デジタルアンプで出がちな高域側の付帯音や歪みは皆無とは言えませんが、ハイレゾでもきっちりその違いを表出させられる実力を発揮していました。

    さらにいろんな音源を聴きましたが、次はネットワーク再生の感想を。
    再生にはまだリリースされていないタブレット用アプリからNASに入った音源を操作して再生してもらいました。
    再生自体はスムーズで、CDやUSBメモリ、ケーブルで接続したiPhoneなどと全く違和感なく聴けます。
    本体のみでもある程度操作できるでしょうが、やはりネットワーク再生ではタブレットやスマホアプリは必須でしょうね。

    話が少し逸れましたが、何曲か聴かせてもらいながらもやはり私の中では違和感が拭えません。
    性能としては確かに優秀なんですが、どうも聴いていて楽しいと感じる要素に薄いと感じてしまうんです。
    聴きながらその原因はなんだろう?と考えてると、だんだん眉間にしわが寄ってくるという…。
    こうなるとオーディオマニアの悪いクセで、音楽にまったく没頭できず、解析的に聴いてしまうんですよねぇ。

    出てくる音の結果としては、楽器の実体感がうまく伴ってないというところなのかと。
    どうも横方向の音像がまとまらない印象で、楽器の位置という点ではたしかにしっかり定位しているのですが、その輪郭が乱視で見ているような雰囲気といえば良いのでしょうか。
    さすがにその原因までは試聴では見極められませんでしたが、どうもスピーカーの側面輻射かなぁと。
    今回の「LS-K901-M」はその点も配慮してフロントバッフルの周囲はラウンドされているんですが、ラウンド径がかなり大きくないと高域以外では効き目が薄いんですよね。

    またフロントバッフルは18mm厚のMDF材が使われていることが謳われていますが、背面を覗くとどうやら他の面はそこまで厚くはないようです。
    リアバスレフらしい抜け音はそれなりに出ていましたが、それ以上に箱鳴りの影響も出ているのかもしれません。
    最初にも書いたように通常の部屋で聴く音量よりはかなり大きめでしたから、そこは割り引いて考えて良いのでしょうけど、アンプ部もフロントパネルは5mm厚と、セールストーク重視なコスト配分はあまり感心しないかな。

    そもそも今回の試聴環境(@JVC丸の内ショールーム)はそこそこの人数が参加するイベントということもあって、お世辞にも良いものとは言えず、特にスピーカーの高さがかなり低かったのも気になりました。
    点音源化を目指したUDレイアウトが採用されていることもあり、技術者の方に耳の位置の設計想定をお聞きしたところ、ツィーターの中心位置とのことでした。
    しかし実際の試聴環境はツィーターが胸よりちょっと高いくらいだったんですよね。
    実際、耳の高さを下げてみるとユニットからの直接音が相対的に増えるからか、音の濁りが減って帯域バランスもまとまるような印象でした。
    イベントで周囲に人や繋がっていないスピーカーが多いのもありますから仕方ない面もあるのでしょうけど、空調音もかなり目立ちましたし、もう少し良い環境だと違ったのかも。

    質問ついでに今回ツィーターに追加されたメッシュネットについても技術者の方に質問しました。
    理由としては店頭で指でダイヤフラムを潰してしまう被害が多いから、とのことで、たしかに自宅で使う上でも子供(大人も?)がやりがちですからねぇ。
    音への影響については、パンチングメタルではなく編みこんだネット状のものを採用していることで少なく保っているという説明でした。
    また、このスピーカーにはサランネットも付属していますが、サウンドチューニング自体はサランネットを外した状態でやってるとのこと。
    ツィーターがメッシュでガードされているのを考えればサランネットなしで使うのが良いのかもしれません。

    再度、試聴に伴うサウンドのほうの感想に戻りますが、全般に感じるのはやはりちぐはぐさでしょうか。
    ハイレゾ対応のデジタルアンプ、スイッチング電源の採用、そしてJVCの持つK2テクノロジー、スピーカーの共同開発(すでに同じ会社ではありますが)と、一気にリニューアルした影響もあるのでしょうか。
    開発者の方々の努力で工業製品としては非常に高度に完成されたものになっているのですが、趣味性の高いオーディオ機器として実際に奏でるサウンドにはまだ詰め切れていない若さを感じます。

    セールストーク的にもハイレゾを前面に押し出したいというのもあるのでしょうが、それは早めに7xxや5xxクラスに任せて、801や901はもう少し力を抜いたバランスの良さを目指してほしいところですし、KENWOODとJVCの融合も同様に進んでいくことに期待しています。
    とりわけ、スピーカーは箱がちょっと弱い点以外は素性の良いものだと感じました。
    そもそもバランス的にスピーカーが安すぎるとも思いますし、もし可能であればもう一つ上のグレードに期待したいところです。

    全般にかなり厳しい内容になってしまいましたが、音の傾向については個人の嗜好も色濃く入るものですから、そこは他の方のレビューとともにご参考まで。

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    Filed under: Mono Fellows
    2013/10/16 7:00 pm | KENWOOD Kシリーズ試聴イベント 試聴編 はコメントを受け付けていません

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