• 0810月

    DENONのCDプレーヤー「DCD-S10II」を入手してみました。

    REVOXが修理不可で返品になって以来、DCD-1550AR、DCD-1650AR、そして今回のDCD-S10IIとDENONの入手が続いていますが、それにはちょっとした理由もあります。
    今回のはCDを読まない、いわゆるジャンクですが、これらは全てSHARP H8147AFという、同じピックアップを採用しているんですよね。
    ドライブ全体としても電気的(コネクタ)にも機械的(取り付け位置)にも結果的に完全互換だったので積み替えも可能ですが、まずはピックアップを調達してみました。

    見たところ現状のピックアップも曇りはなさそうで、大抵のディスクはTOCを読みますが、主に4〜5曲目あたりで音飛びしたり曲自体スキップされたりします。
    そこでAmazonあたりでたくさん売っている互換ピックアップとSHARP製らしいデッドストックも入手しましたけど、結果的には目立った改善は見られません。
    そこでDCD-1650ARからドライブまるごと移植したところ、何事もなかったかのように動作してくれました。

    ドライブ上部の銅製カバーのネジ穴も1550ARまで共通ですし、プロテイン配合塗料は1650ARは撤去済みだったのでそこも問題ありません。
    原因は細かく究明はしていませんけど、ピックアップを送るギヤにややブレがあったり、ディスク回転時になんとなく擦れるような音がすることもあるので、プラスチックなギヤの劣化や、スピンドルの曲がり、ピックアップ部のフローティングのバネのヘタリなどでしょうか。
    全体的にドライブがプラスチッキーなのがやや残念なところです。
    ちなみに1550ARのドライブは塗料が塗られておらず、トレイ下部の補強用(?)と思しき金属がちょっと異なる気もしますが、それ以外は全く共通なので、こちらを1650ARに換装して無事に動作しています。

    1650ARとはPCM1702を4基搭載するあたりも共通で、違いはデジ・アナ基板の分離とコンデンサのグレードや数、オペアンプ、金属製インシュレーター、ケースやネジに銅製を使った程度とのことです。
    またデジタル入力も用意されています。
    それだけ見ると1650ARがハイコストパフォーマンスに感じられますけど、実際の出音はやっぱりそれなりに違うようです。
    ドライブは換装したくらいですから基本的に同じなんですけどね。

    DCD-S10IIの音の印象としては、上品で静けさが感じられます。
    DCD-1650ARとはメカも同じで、インシュレーターもセイシンに交換していたのですが、やはり違いは結構あります。
    さきほどもちょっと書きましたが、デジアナ分離などが効いているのか、あるいはオペアンプの違いによる差も大きいのでしょう。
    ややアキュフェーズ寄りになったのは焼結合金インシュレーターに吸振素材エクセーヌという脚も起因しているかも。
    こっちをセイシンにしようかとも思いましたが、今のところはそのままにしてあります。

    押し出しのある前に出る音は継承された上で雑味が減り、より霧が晴れたような鮮度と艶感が感じられます。
    音像に剛体感があり、曖昧な部分がだいぶ減ったようで、ピアノのサイズ感と重心がリアルになった気がします。

    Accuphase DP-77と比較してみると、DP-77は音像がよりシャープで低域のモタつきが少ないです。
    やや硬い表情に感じられる部分もあって線は細めで硬調の描写です。
    S10IIのほうはほんの少し太めで軟調なので、そこは使い分けしやすいでしょう。
    ALPHAプロセッサーによる音の変化(改変?)もそこそこありますけど、それはDP-77も似たような傾向があるので、さほど気になりません。

    さらにSCD-777ESからデジタル出力してS10IIをトランスポートにしてみると、音像がシャープで膨らまなくなりました。
    余韻も鮮明になり、描写がさらに上品になります。
    弦の音色が生々しいし、ピアノとの分離や楽器の質感、空気感も良く出ていて写実性が向上します。

    内蔵ドライブだと少し尖ってかさついた感じで、いわゆるデジタル臭さが多少感じられます。
    間接音が減退気味で直接音の割合が高くなるので、音楽としては元気にはつらつとしていて聴きやすく分かりやすい描写になるとも言えるのですが、雑な描写とも言えるでしょう。
    メリハリは効いているし、楽器も生っぽいですが、やはり細部がやや埋もれがちな傾向があるように思われます。

    SCD-777ES経由だと明らかに旋律の流れが穏やかで、背景がざわついた感じが少なくなります。
    良く言われることですが、テンポが遅くなったように感じられるのは音質が良い証かと。
    DENONらしさという点ではやや薄まった感もありますけど、トランスポートの重要性も感じられる結果です。
    16bit/48kHzまでとはいえ、デジタル入力があるといろいろ試せるので面白いですね。

    ピックアップは今後の予備部品としてキープしましたが、1550ARが部品取りになってしまいましたし、機会があれば1650ARかどちらかのドライブ部を調達しておいても良いかなぁと思っているところです。

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    Filed under: Audio
    2021/10/08 2:00 pm | DENON DCD-S10II はコメントを受け付けていません

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