• 155月

    OIOIKKさんからお試しでケーブルハンガーを送っていただきました。

    木材はモビンギでそれに「カンチレバー」と呼ばれる金属製のぶら下げ部分があり、そこからさらに糸をたらしてケーブルをぶら下げるというものです。
    木材はいろいろ種類があるようですし、その形も様々お試しされているようですが、今回届いたのはやや高さ方向に高いものです。
    重さがそこまで重くはないので、重めのケーブルでは倒れてしまうことも多く、対策が疎かだったKRELLのDCケーブルで試すことにしました。
    転倒を避ける意味では横使いのほうが良いのでしょうけれど、カンチレバーの位置はネジ止めで簡単には変更できないのでそのまま使っています。

    最初は手近にあった麻糸でひとまず試すことにして鳴らしてみますと、音はやや軽快になって細部は繊細になったようです。
    厚みはやや減退した傾向で、全体としては空気絶縁のケーブルに感触が似ているでしょうか。
    DCケーブルは左右の電源ユニットから直生えなので交換できませんけども。

    一旦外してみると音が奥に引っ込む感じで、濁りが出てくる代わりに間のような空間表現は多めになるように感じられるので明らかに変化はあります。
    ハンガーひとつでケーブル全体を支えられるわけではないので、壁フックに引っ掛けて取り回してある部分を外すと解放感が出ました。
    ケーブルハンガーを使う場合(それ以外でも?)、ケーブルにテンションがかかり過ぎると良くないようで、全体としてケーブルを浮かすために使うような配置が良さそうです。

    空間表現という意味では浮遊感のある描写をしますが、まだなんとなく腰が据わっていない印象を受けます。
    ふわっと暗闇に音像が細めに浮かぶような繊細な描写が好みの人に好まれるのかなという感想を持ちました。
    うちはどちらかというともう少しリジッド寄りなので、振動の影響だけ軽減しつつ、しっかり固定する仕掛けのほうが好みなのかもしれません。

    この段階で途中経過をご報告しますと、糸は結び目をカンチレバーのほうではなくケーブルのほうにしてもっと自由に揺れることができるようにすると良いとのアドバイスをいただきました。
    そこで麻糸を布から抜いて作りまして、そちらで極限に近くまで細くぶら下げる形にしてみました。

    爽快感あるスッキリした印象は麻糸と方向性の違いはなさそうですが、やはり余計なところに力が入っておらず、こちらのほうが良さそうです。
    ハンガー無しと比べると、重量感はやはり少し軽減しているように思われます。
    特徴としてはオーボエのキーの操作音が明瞭に聞こえるのが印象的です。
    音はややドライ寄りで余計な付帯音が減退したとも言えそうですし、立ち下がりがキレイです。
    モニターで聴いてる感覚から、生演奏寄りになった風にも感じ取れました。

    ただ、あくまで聴感上ではあるのですが3kHz付近の窪みのような感覚はやはりたまに顔を出すことがあります。
    ボーカルやヴァイオリンなどで稀に目立つことがあり、ヴァイオリンだとやや倍音が大人しめになったり、管楽器やボーカルの抜けが悪くなる瞬間があったりします。
    全体としては澄んだ感じはあるので、実際にはその前後の帯域が厚めになったりするのでしょうか?

    全体としては、木の材質よりカンチレバーや糸の材質による部分の占める割合のほうが音への影響度が高そうで、そうした部分での使いこなしが占める割合が高いのかなとも感じた次第です。
    市販品とはそのあたりが若干難易度が異なり、誰でも同じ音が出せるという感じではないのでしょう。

    あくまでここからは推測ですけれども、カンチレバー部分の固有振動の影響を受けているように感じられることがありました。
    カンチレバーを弾くと6.8kHzと7.2kHz付近でほんの少しですがピークがあります。
    弾きながらスクリーンショットを撮ろうとするとなかなかやりづらくて画像だとちょっと分かりづらいですが、ケーブルをぶら下げた状態でも弾くとそこそこ特色のある音が出ます。

    「3kHz付近」からするとちょうど倍音にあたる帯域ですし、これがなんらかの影響を与えているのではないか?とも考えました。
    音圧からの振動を糸で受け流すフローティング的思想はとても新しく効果的な部分がある反面、スパイク同様、やはりどこかに固有振動は残るはずで、カンチレバーの材質や構造は振動を受け流すor分散させる構造が必要なのかもしれません。

    さらに他で常用しているRCI-3Hと交換するのも試してみました。
    こちらは楽器の配置が明瞭になり、音源に収録されている余韻も伸びやかで、ひとことで言うなら「有機的」という表現がいちばん近いでしょう。
    帯域の偏りが少なく、開放的で強調されている感じがありません。

    個人的な思い入れや好みもあるのでしょうけれど、左右のDCケーブル間の距離が若干取れるのも関係してそうで、RCI-3Hだと1つでも少し間隔が取れるんですよね。
    ケーブルハンガーを使うなら左右独立してぶら下げれば、その弊害はなくなると思われます。
    実際、DCケーブル間の距離を均等に取ると音像が乱れにくくなりました。

    また、RCI-3Hでは低域が圧倒的に力強く、ここがいちばんの違いで、自分の好みとしては外せないポイントでもあります。
    力感が弱まらないことがアクセサリチョイスの最重要ポイントとしていて、ハープシコードなどは特にそこで音色がずいぶん変わってしまうのです。

    ケーブルハンガーのほうは多種あるうちの一品種で、材質や配置、投入量でもっといろいろ印象は変わってくると予想されます。
    また、上品でクリアな雰囲気がお好みならとても良い選択肢と言えそうですし、ご興味がある方はOIOIKKさんにお問い合わせください。
    貴重な機会をいただき、大変ありがとうございました。>OIOIKK様

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    Filed under: Audio
    2023/05/15 2:00 pm | ケーブルハンガーをお試し はコメントを受け付けていません

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