• 136月

    ACOUSTIC REVIVEのスピーカーケーブル「SPC-TripleC」をダブルバイワイヤで導入してからだいぶ経ってしまいましたが、シングルワイヤ+ジャンパーとの比較を改めてやってみることにしました。

    SPC-TripleCには通常のシングルワイヤ、4芯バイワイヤー、そしてこれまでうちで運用してきたダブルバイワイヤーが用意されています。
    通常のスピーカーケーブルでバイワイヤ対応というと4芯が多いのですが、同じ2芯のスピーカーケーブルを2本使うのがダブルバイワイヤということになります。

    まずはこれまでのダブルバイワイヤを復習も兼ねて再確認した後、1組を外してシングルワイヤとし、ジャンパーにはQED Genesisを使って繋ぎなおします。
    ジャンパーを使う場合、+と-をいわゆるたすき掛けにする場合も多いですけれども、経験上どちらかといえば低域側につなぐほうが良好なことが多い印象でしたので、今回はLF側にスピーカーケーブルをつなぎ、HFにはジャンパー経由で入れる形としました。

    まずはボーカルから試してみましたが、明らかに音像がボワッと膨らんでしまいました。
    よく言えば艶がのった、雰囲気が柔らかくなったとも言えるかもしれませんが、これはどう考えても「混濁した」というのが正しいでしょう。
    イヤホンでいうと、ちょっとつながりの悪いマルチBAのような発音の仕方です。

    それでもまだボーカルなど小編成の音源なら、音像が膨らみ過ぎるのを除けばそこまで大きく気にはならないですが、音数が増えれば増えるほど、さらに破綻していきます。
    パイプオルガンでは低域の量感は増えるものの、音階が不明瞭になってしまいますし、高域は鮮度が足りません。
    SACDなのですが、まるでCD層で鳴らしているような感触で、粒子が粗く感じられます。

    合唱もやはり混濁するようで、主たる旋律はさすがに普通に聴こえてきますが、空気感が希薄になってしまいます。
    本来の音源が持つ空気感が欠落した分、部屋の響きに頼るような形になってしまい、本来収録されている気配を全く味わうことができません。
    ジャズトリオでも同様で、ベースの下のラインが不明瞭となり、明らかに鮮度不足でライブ感が希薄です。

    番外編で、実はこの時に電源タップに載せてある水晶玉が落ちていたのに気づいて戻したのですが、コレを戻すことで多少は鮮度は蘇りましたが、それでも根本的な解決に至るほどではありません。
    全体に腰高になってしまうのは相変わらずですし、何をどうやっても音が膨らんでしまうので音場がキレイに展開されないのです。
    もちろんスピーカーケーブルも含めて他は全て同じですから、音色自体はそれほど変化はないのですが、やや低域寄りになっていてキレもないので、ボリュームだけ上がて誤魔化してみるのですが、やっぱりまるで心に入ってこないのです。
    正直、ここまで違うとは予想外でしたが、以前はそこまで明瞭に差を感じることができなかったわけで、そういう意味ではプリ-パワー間のXLRケーブル変更等の対処で以前よりもボトルネックが減ったことも一因ではあるのでしょう。

    ひと通りのジャンルを聴いたところで、即座に元のダブルバイワイヤに戻してみました。
    すっかり元通りになって一安心ですが、いちばんの違いは立ち下がりが美しいというところでしょう。
    余韻の引き際が正確になることで、音源や楽器本来の余韻がしっかり聴き取れるようになっています。
    聴感上では歪みも減ったような感覚で、まるでスピーカーがより現代的になってグレードも上がったかのような印象になってくれます。

    ボーカルですと息遣いまで繊細に表現され、小音量での背景の静けさもあってコントラストがしっかり高まっています。
    シングルワイヤが「なんとなく雰囲気で」だとしたら、ダブルバイワイヤは「しっかり再現」くらいの明瞭な差が感じられます。
    合唱でもそれぞれの位置関係やホールでの声の周り具合、表情の付け方など、細部をじっくり味わうことができます。
    弦についても同様で、奏者の実体感が大きく高まっているため、シングルワイヤでは聴き流してしまうような表情が表れてきます。

    ジャズではピアノの跳ねる感じがまるで違っていて、シングルワイヤの時はただの伴奏のようでした。
    ベースの重量感もしっかり表現されるようになりますし、それぞれの掛け合い、躍動感、スイング感などが自然に表現されますし、なにより音楽自体の楽しさがしっかり楽しめるようになりました。
    いずれのジャンルにおいても、録音が良いほど差はさらに広がるようにも感じられました。

    最初はシングルワイヤだとフォーカスが甘くなったのかなと思いましたが、喩えるならレンズの内面反射で黒浮きしたみたいな感じ(上の写真のようなイメージ)なのかなと。
    シンプルな楽曲ではそこまで大きく問題を感じないこともありますが、音数が増えて条件が厳しくなればなるほど全体のコントラストが下がり、薄く混濁してしまうように思われます。

    対してダブルバイワイヤにすると黒浮きが減って、現代的なレンズのようにシャープな描写になります。
    もちろん絞りやレンズ自体が持つ味わい、そして切り取った風景、すなわち音楽そのものに変化はありませんから、そういう意味でもバイワイヤが可能なスピーカーであれば是非試してみる価値があるでしょう。

    無闇に上位グレードのスピーカーケーブルに上げ、高級なジャンパーを使うくらいなら、グレードを落としてでもバイワイヤにするのは大切そうです。
    今回は残念ながら試してみることができませんでしたが、同社ですと切り売りスピーカーケーブルのSPC-REFERENCE-TripleCや、バイワイヤーアダプター「BWA-4」を使うのも有用だろうと感じた次第です。

    Filed under: Audio
    2019/06/13 2:00 pm | ACOUSTIC REVIVE SPC-TripleC レビュー バイワイヤ比較編 はコメントを受け付けていません。

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