• 2910月

    OYAIDEのリード線「HSR-102」のモニターキャンペーンに当選しました。

    「102 SSC」と「超柔軟性特殊樹脂」が特徴の新製品で、私としては柔らかいというところがDL-103に良いのではないかと思って応募してみた次第です。
    103はピン配列がヘッドシェルと対面になっておらず、どうしても交差させないといけないですから、太すぎたり固すぎるリードワイヤーだと取り付けづらいんですよね。
    手持ちではDL-103のカンチレバーをボロンに換装しているものがPioneerの古いヘッドシェル付属のままになっていましたから、これに取り付けてみることにしました。

    まずはパッケージからリード線を取り出しますが、この手のパッケージは大抵そうですけども外側を破らないと取り出しづらいです。
    ハサミを使えば容易なんでしょうけど、リード線が中に入っていますから、できれば手で容易に開けられると便利なんですけどね。

    DL-103ボロン改に取り付けてみると、シェルチップの径はカートリッジ、シェルにピッタリで調整の必要も全くありませんでした。
    こればかりはカートリッジやシェルで異なることも多いですが、標準的な寸法と思われる今回の組み合わせに合わせてあるのは扱いやすい配慮だと思います。

    作業性もなかなか良く、シェルチップも工具でグリップする部分の強度もしっかりしていて、ケーブル部分も柔らかいため、交差する取り付けもやりやすかったです。
    リード線自体は私が使っている他社(ortofon、My Sonic Lab、IKEDA)と比べても似たような太さと重さがありますから、リード線交換後はしっかりと針圧調整をやり直す必要は当然あります。

    あえて交換前にPCM-D100で録音しておき、その後すぐにHSR-102にリード線交換して、さらに録音してみました。
    曲の冒頭を周波数解析しますと、かなり高域が伸びているのが分かります。


    録音中にヘッドフォンでモニターしていた感触ではやや高域寄りに上ずった印象で、ボロン改の高域のクセが薄まったように感じました。
    現代的にはなったのですが、ボロンが通常のアルミに戻ったような感覚でした。
    反面、中央定位や音の芯は通った感じがします。
    これをパソコンに取り込み、FLACで聴き比べてみるとまた印象がちょっと違っていて、高域が伸びているところの良さが出ています。
    元のリード線は極端に言えばラジオっぽいほどで、そのほうがDL-103っぽいとも言えますが、ボロンカンチレバーによる改善が引き出せているように聴き取れます。
    録音時に感じたのとはかなり印象が違う、というのが面白く、よりハイレゾっぽい現代性が強まったため、DACを通したデジタルとの相性が良くなったのかもしれません。
    その分、「音の厚み」という点ではいわゆるアナログの良さが削がれている傾向も多少あり、現代的でスマートになったような印象も受けます。

    なお、同じ曲を通しで24bit/192kHzで録音した場合のFLACファイルサイズは元のリード線で195.1MB、HSR-102で195.9MBと僅かながら増加しています。
    これは高域を中心に情報量が増えたことによるものだと思いますが、カートリッジによっては同曲で最大で201.7MBでしたし、必ずしも聴感上の音質とは一致しない面もありますので、参考程度かと思います。

    ここからはストレートに、スピーカーでの実試聴にて聴いていきました。
    全般的なインプレッションとしては、とにかく爽やかだなと感じます。
    DL-103のコッテリしたところが何処かに行ってしまって、まるでオーディオテクニカにした?と錯覚してしまうような雰囲気に。
    スピード感は出ていて現代的になっているのはボロンカンチレバー交換の実力が引き出せた面もあるでしょう。
    DL-103らしい鳴らしやすさは残っていますが、反面、ややタメが薄いというか、サラッと流れていく感覚はあります。
    ボロンカンチレバーにマイクロリッジ針という部分が占める割合も高いとは思いますが、以前のリード線ではDL-103とそこまで変わらないイメージも残っていましたから、リードワイヤーの特色も入っていると予想されます。
    その点では、DL-103は気に入ってるものの、もうちょっと現代的な方向性を出したい場合には相性が良いのかもしれません。

    録音が新しめなFusionなどではそのさらっとしたスピード感がプラスに働いていましたので、そこそこ年代物のクラシックも聴いてみます。
    こちらもやはり爽やかさが目立ち、スッキリしていてイヤな音が聴こえない感じです。
    この感覚は今までの手持ちのカートリッジのどれとも違う印象で、凄みがないところは良いものの、録音の影響もあってか分解能はそこまで高くないため、ややアナログ的深みに欠けるところもあります。

    ここでマイソニックラボのシェルとリードを使ったZYX Ultimate 100に交換して同じ盤を聴き比べてみました。
    カートリッジの違いが大きいと思いますが、やはり深みが違ってきます。
    むしろこちらのほうが新しいカートリッジだけに録音の悪さは如実に出るし、調整もシビアなのですが、そこから引き出される音楽のエッセンスに欠けが少ないように感じ取れ、そこが大きな違いにつながっているようです。
    カートリッジもリードワイヤーもヘッドシェルも比較対象にしてはいけないとは思いますが、この「深み」の部分はHSR-102自身でも物足りなさを感じる部分かなと。

    もちろん、そこはカートリッジも含め、気楽に楽しむか、ストイックに溝から引き出すか、使い分けも必要だろうと思います。
    現代的なデジタルソースに慣れた方にはむしろHSR-102のまとめ方のほうが好意的に思われる方も多いと思いますし、繰り返しになりますが、カートリッジの特色をコントロールしたいケースでは非常に有効な選択肢だと思います。
    また古いヘッドシェルに付属のリード線は経年劣化もしていますし、そもそもそこで劣化してしまった特性は音傾向以前の問題です。
    その点でもエントリークラスの選択肢が増えるのは良いことだと感じました。

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    Filed under: Audio
    2017/10/29 12:00 pm | OYAIDE HSR-102 はコメントを受け付けていません

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