• 123月

    ACOUSTIC REVIVEからリアリティエンハンサーをまとめてお借りしましたので、各種ごとに追加していきながらレビューさせていただきます。

    まず初回はRCAのショートピンタイプの「RES-RCA」です。

    リアリティエンハンサーは全部で以下の4種類があります。

    RES-RCA : RCA入力端子用ショートピンタイプ
    RES-XLR : XLR入力端子用ショートピンタイプ
    RET-RCA : RCA出力端子用ターミネータータイプ
    RET-XLR : XLR出力端子用ターミネータータイプ

    色が濃いのがショートピン、薄いのがターミネーターと覚えておくと分かりやすいかと。
    XLRはオスメスで明確に見分けがつきますが、RCAは出力端子に間違えてショートピンを挿さないように気をつける必要があります。
    その辺りは付属の説明書に注意書きがなされていますので、必ず一読されることをオススメします。

    うちはこれまでも同社のショートピン「SIP-8Q」を愛用しておりましたので、パワーアンプのRCA入力にてそれとの比較という形から始めてみることにしました。
    SIP-8Qも黄銅+アルミ合金にクォーツレゾネーターとかなり凝ったものでしたが、リアリティエンハンサーはアルミ合金と真鍮、クォーツレゾネーターに加えて、内部配線にPC-TripleC/EXを使うなど同社のノウハウをフルに注ぎ込んだものに仕上がっています。

    まずは「SIP-8Q」の状態でこれまでの音を確認した後、RES-RCAに挿し替えてみました。

    最初は少し硬めの挿し心地でしたが、プラグ自体も非常に高品位なものです。
    ただ正直な話、これまでSIP-8Qを使っていた部分でもありますし、そこまで大きな変化はないかもしれないなぁと邪推していたところがありました。
    しかし聴き慣れたディスクを流し始めた瞬間、いつものように感想メモを取るのにやや俯いていた頭をハッと上に向けてしまうほどのインパクトが私を襲いました。
    ちょっと陳腐な言い方になってしまいますが、奏者やボーカリストがあたかもそこに存在するかのような実在感に驚いたというのが素直な感想です。

    純粋にボーカルの定位がとてもシャープになるのはもちろんのこと、とにかく口元までとてもリアルに浮かび上がってくるかのようです。
    いわゆる口の大きさが小さくなるわけですけれども、そうしたオーディオ的解釈以前に、とにかくハッとさせられる臨場感と鮮度に満ち溢れた音楽がそこに溢れ出します。
    そこにはもう高域が低域が云々ではなく、余計なヴェールが数枚剥がれたような鮮度の高い「ほぼ生」な世界が広がります。
    聴き飽きたほどの試聴ディスクですら、とにかく新鮮で、正直どうしてここまで変わるの?と思ってしまうほどです。

    しばらくはとにかくその素晴らしい音楽に浸ってしまいましたが、改めてレビュー気分に切り替えてみますと、余韻の濁りが減っている部分が大きいようです。
    ショートピンでも音傾向そのものを変えてしまうものが多々あるのですが、そうした「エフェクター」的な要素は皆無でして、音が痩せたり、何処かが強調されることは全くありません。
    そういう意味ではごく自然な変化で、それぞれの楽器がそれぞれの音色に大きく近づいてくれます。
    もちろん、SIP-8Qと比較してもS/Nや立ち下がりが大幅に改善していますが、それはあくまでも音源に対してより忠実になったことによる「結果」であり、音源に収録された余韻は見事に描写されて、デッドになり過ぎることはありません。

    まるでオーディオ機器に残存していた余計なルートが回避されたかのようなフレッシュなサウンドには正直驚きを隠せませんでした。
    従来のショートピンもクォーツレゾネーターの使用で他の追従を許さないほど良質なものだと感じていましたが、やはりショートピンとして機材のノイズ対策の域を出ていなかったのだなと思わされるほどです。

    この「ピントの精度が向上した」かのような定位と実在感はオーディオ機器を買い替えたとしても簡単に実現するのは難しいでしょう。
    これまでもそれなりに追い込んでいたつもりでしたが、被写界深度にはほぼ収まっていたけれど、拡大したらなんとなくボンヤリしていたんだな、と気づいてしまったかのようです。
    こういうピントの甘さというのはシャープネスではどうにもならず、やはりブレを低減しないと解消しない部分で、そこに手を打てるアイテムというのは他に類を見ないのではないでしょうか。
    まさにハイスピードレンズを軽く絞ったようなキレと自然なボケ味が眼前の空間で見事に展開されます。

    どうやってそれを実現しているのか?というのは私自身もマジックを見ているかのようですが、聴いてみていて感じるのは局所的なグラウンドの安定化が図られたのではないかな?と。
    これまでもRGC-24やRE-9などを導入した時に感じた「土台がしっかりした時の安心感」のようなものを強く感じるからです。
    それぞれのコンポーネントもいろいろな工夫によって素晴らしいポテンシャルは持ち合わせているはずなのですが、活躍する土台がしっかりしていないとどうしても踏ん張れなかったり、その他の外因(電圧変動、ノイズ、音源の強弱etc.)で調子を乱されてしまう部分があるように感じています。
    そうした不安定な要素を最小化してくれることで、余計な音色は一切付けず、機器本来の実力を引き出すための下支えをしっかりしてくれる、それがリアリティ・エンハンサーの真骨頂なのではないかと感じた次第です。

    どうしても言葉で伝えるのには無理がありますけれど、この下支え具合というのはとにかく驚きました。
    膨らまない、濁らないという部分ではMDユニットの付いたPOWER SENSUAL-MDに近い方向性でもあり、ACOUSTIC REVIVE製品に一貫したものではあると思いますが、ぶっちゃけその効果の高さはハンパないです。
    ある意味、機器やケーブル、アクセサリー類の癖は露わになるかもしれず、そういう意味では誤魔化しは効かないところは出てくるでしょう。
    そこも含めてシステムの再調整が必要になるほど、大きな進化をもたらしてくれるアイテムだと感じました。

    こうなってきますと他のリアリティ・エンハンサーを追加していくとどんな地平線が見えてくるのだろうか、と期待が高まります。
    これからひとつずつご紹介していければと思っています。

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    Filed under: Audio
    2020/03/12 3:00 pm | ACOUSTIC REVIVE リアリティエンハンサー レビュー RES-RCA編 はコメントを受け付けていません

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