• 187月

    Acoustic Advanceの吸音パネル「ミュートパネル」の天井用「AMP-TO」を2セット8枚導入してみました。

    すでにRWL-3、WS-1があってルームアコースティックにはわりと気を遣っているほうだとは思うのですが、それらと比較してみたいというのもありましたし、ピアノ周りや窓際など、もっと対処したいというのもあり、追加してみた次第です。
    なお、その前に自作のピラミッド型パネルも復活させましたが、こちらもこちらでなかなか良い仕事をしてくれています。
    主に拡散の効果が高いのですが、裏側が空洞になってるので低域もそこそこ吸収してくれるように思います。

    ただ見栄えは決して良いとは言えないので、これを置き換えてしまおうかとも思ったのですが、まずは窓辺に並べて試してみることに。

    天井用のフックは絵画用のものに似た3本ピンを打ち込むものですので、一旦位置決めしてしまうとなかなか動かせないのがやや難点です。
    窓際はカーテンの内側に立て掛けるだけで試しましたが、それでもグッと部屋の静寂感が上がって変な濁りが付帯しなくなったように思います。
    左右の定位が偏りがちなところもあったのですが、それもずいぶん解消されましたので、調子に乗ってスピーカー背面の窓にも。
    こちらは音の出口が明瞭になって、音像がグッと締まった印象があります。
    静けさも高まりますが、やや中高域にかけてがデッド気味になる傾向は感じられるので、そこは枚数で調整したほうが良いかもしれません。
    現状は右の窓に2枚、背面の窓に3枚置いてあります。

    そしてスピーカーの横辺りに本格的に取り付けてみることに。
    本来は天井用なので金具もそのためのものなのですけど、金具の取り付け位置を決めるのがやや難しかったですね。
    パネル自体は共用なので穴があるのですが、それを基準にするとかなり幅が狭くなってしまいます。
    金具だけ別個に購入できたりすると便利かもしれないですね。

    側面が音への変化の度合いはやはりいちばん大きく、これまで如何に間接音を大量に聴いていたかが分かります。
    ただ音の傾向としては窓辺と同様、ややデッド寄りになりますし、低域で音量が上がると若干共振しているような雰囲気も感じられます。
    反面、低域に関しては吸音効果がそう高くはないですから、そこは同じく側面下部に置いたWS-1との併用でバランスが取れているようです。
    比較はまた改めてやろうと思っていますが、WS-1のほうが低域寄りまで吸音でき、フォルテシモでの影響は少ないように思います。
    逆に中高域に関してはWS-1は拡散させつつも一定量反射も入ってきますので、それを考慮した配置が必要です。
    ミュートパネルのほうは壁や窓の吸音を補強するような役割なので、扱いやすいようには感じられました。

    同様にリビングに置いてあるグランドピアノでも試しています。
    これも位置決めが結構大変でしたが、紗羅に弾いてもらいながら自身が良いと感じる分量と位置にした結果、1枚のみとしました。
    もう一枚、右側(ピアノの高音弦側)にも金具だけ取り付けてありますが、こっちまで付けると奏者には高域の響きがちょっと吸音され過ぎのように感じるみたいです。
    少し離れて聴いていた私からも違いはハッキリ分かりましたが、2枚のほうがCDなどの音源に近い響きのような印象もありました。
    ただ1枚でもやはりややデッドになるのは確かで、そこはまた微調整していこうかなと。

    紗羅もこのパネルは気に入っていて、それは音もありますけども落下してピアノにぶつかったりしても繊維を固めた300gほどのものなので安心というのもあるようです。
    録音時にはRWL-3を立てる場合もあるのですが、それだと常設しづらいところもありますし、ミュートパネルはあまり目立たないのも良いのかなと思います。

    これで8枚使い切った形で天井は試していませんが、予想以上に効果は高かったです。
    私が見た目にブツブツしたものが苦手なのもあり、その点でもスッキリ薄型のパネルで効果が出たのは嬉しい限りです。
    取り付け方法がやや難点かなぁと思うところもありますし、背面に空気層を作らないと効果が違ってくるでしょうから、そこも込みにした自立タイプのものもあれば便利のかもしれません。
    他のルームアコースティックとの比較も少し落ち着いたらまたやってみようと思っています。

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    2018/07/18 3:00 pm | No Comments
  • 167月

    iBasso DX90もだいぶ古くなってきたし、そろそろ代替のDAPをと考えていたのですが、色々検討した結果がなぜかPono Playerとなりました。

    当初はCHORD Mojoが接続できるもので…と考えていましたし、もうちょっと新しいものを候補に挙げていたのですが、Bluetooth対応だったり、結局同軸ケーブルなりが買い替えだったりでいまひとつコレ!というのがなかったんですよね。
    またCHORD MojoにALO audio Rxという三段重ねも気楽さには欠けるところもあり、もっと気軽に聴けるものにしようと路線変更して選びました。

    Pono Playerといえばニール・ヤング氏が手がけ、Ayre監修で作られたもので、当時は憧れたものです。
    奇しくもiBasso DX90とは同じES9018K2Mを使ったものですが、据え置き機と同様、DACチップで音が決まるほど単純ではなく、まるで別物の音がしています。

    Pono自体はすでにサービスが実質停止したような状態になっていますし、後継として予定されていた上位モデルも世にでることがないまま終わりそうな雰囲気です。
    噂では当初はAyreではなく、MERIDIANと組んで今で言うところのMQAを使った配信を検討していたらしいですね。
    それだとまた違った未来があったのかもしれませんけど、個人的には普通にFLACのほうが嬉しいです。
    その後のファームウェア更新でDSDにも対応していますが、内蔵メモリはかなり遅いですし、ライブラリのスキャンも相当時間がかかる辺りは覚悟して使う必要はあります。
    なおファームウェアは最新の1.0.6になっていました。

    最初に困ったのは、これまでiBasso DX90で使っていたmicroSDXCカード(TOSHIBAの64GB)を挿してもライブラリのスキャンが一向に終わらないという問題でした。
    exFATも大丈夫という情報だったのですが、相性でもあるのでしょうか。
    カードの空き容量も20%くらいあったほうが良いらしいですし、そういう部分も万人受けするようなDAPでは決してありません。
    とりあえず内蔵メモリに入れて動作確認した後、手持ちの16GB(FAT32)も試したところ、こちらは問題なく認識してくれました。
    念のため、Sandiskの64GBも追加注文してありますけど、こちらはまだ届いていません。

    操作系や画面は評判よりは悪くなく、レスポンスも見た目も悪くないのかなと。
    まぁiBasso DX90も似たようなものなので、それと比べて、という話になりますが。
    音はもう不満が一切ない感じでして、多少ケレン味みたいな味付けはありますが、音の広がりを若干強調しながらもバランスの良い鳴り方をしてくれます。
    試しにSENNHEISER HD600やHD598も鳴らしてみましたが、普通にバリッと鳴ってくれますし、据え置きのLUXMAN P-1より良い面もあるほどです。
    実際にはHD25-1 IIがいちばん相性が良い(密閉型なのでリビングでも使いやすい点も含めて)ようで、音の厚みもガシッと実体感のあるものでジャズやクラシックなどもこぢんまりまとまらず、スピーカーで聴く感覚にだいぶ近い印象で楽しめるようになりました。

    独特の形状も最初はどうかな?と思ったのですが、想像以上に持ちやすく感じるのはガラケーっぽいサイズ感だからでしょうか。
    3.5mm3極x2のりケーブルを使えばバランス駆動もできるので、それも試してみたいとは思いますが、今のところは普通に使いやすい通常モードでも良いかなと。

    バッテリーのヘタリもちょっと心配ですが、公称の8時間はどうかな?とは思いますけど、6時間くらいは大丈夫そうです。
    むしろ充電時間が長い気はしますけどね。
    今からこれを買うのをオススメできるか?と言われるとちょっと躊躇するところはありますが、やっぱりポータブルもアナログ部や作り込み次第だなというのは体感できる一台ではないかと。
    少なくとも私には相性の良いDAPだったので、できるだけ長く動いてくれると良いなと願っています。

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    2018/07/16 2:00 pm | No Comments
  • 147月

    とかく「USBケーブルで音は変わらない」と言われがちですので、この機会に実際のUSB-DACの出音を録音・周波数解析して違いが出るものかどうか、確かめてみることにしました。
    そもそもLINNのネットワークプレーヤー「AKURATE DS」で試行錯誤している時に、これとは全く繋がっていないはずのUSB-DAC「HD-7A」のUSBケーブルを替えただけでも残留ノイズが変化しているわけですけどね。

    方法はいつもの通り、PCM-D100にアナログ入力してフルボリュームで20秒間ほど録音した後、Audacityで周波数解析しています。
    ただしHD-7AではUSBケーブルのみに着目すべく、C-280LのPRE OUTは使わず、HD-7AのRCA出力からPCM-D100を直結してあります。
    まずは普段のACOUSTIC REVIVEのUSBケーブル「USB-1.0PLS」とUSBターミネーター「RUT-1」をその隣のポートに挿した状態から試してみます。

    AKURATE DSよりはだいぶ状態が良いみたいですね。(苦笑)
    ここからUSBターミネーターだけを抜いてみた結果がこちらです。

    極端なピークやディップが減り、ピンクノイズ的な滑らかな残留ノイズになっているように思います。
    また同様の環境で混変調の計測もやってみました。
    こちらは再生する音声が60Hzと7kHzを4:1の比率で混ぜたものになりまして、録音レベルもPCM-D100で-8dBとなるように調整して録音してあります。
    まずはACOUSTIC REVIVEのUSBケーブル「USB-1.0PLS」とUSBターミネーター「RUT-1」有りの状態です。

    つづいてUSBターミネーターを外した状態です。

    こちらも高域にかけてのピークが滑らかな減少傾向かと思われます。

    さらにUSBケーブルを他社のものに替えてみました。(USBターミネーターは無しです。)
    まずは残留ノイズから。

    分かりやすくするためにアニメーションGIFも貼っておきます。(クリック表示するとアニメーションするはずです。)

    こちらも2kHz辺りから高域にかけてノイズフロアが上がってしまっているのが分かります。
    双方とも交換した状態では差異が認められると私は認識していますが、いかがでしょうか。
    同様に混変調の結果も。

    残留ノイズよりもdB表記では差異が見えづらくなってしまいますが、細かく見比べていただけると7kHzの高調波が繰り返してやや強めに出てくる傾向があります。
    またUSBターミネーターの有無で7kHz近傍のピークの立ち方も違いがあり、音の濁りにつながるのでは?と感じられる部分があります。

    あえて音質比較などは一切やっていませんが、予想以上に違いがあるなぁというのが私の主観です。
    USBケーブルはある程度使っていても違いを感じていましたが、USBターミネーターによる違いが思った以上に大きいのは私自身も驚きました。
    これがRUT-1をたった1個だけ使ったのみで空きポートも結構ある状態で…ですから、さらにしっかり対策すればもっと違いが出てくるでしょう。
    また最初にも挙げたように単にUSBで接続した機器だけでなく、実際にはインターコネクトケーブルや電源などを通じて他の機器に与える影響も相当に大きいものがあります。
    それを踏まえると「デジタルだから音は変わらない」というのは、個人的にはちょっと短絡的に過ぎるのかなと思う次第です。
    もちろん、あくまで個人の感想ですが、ご自身の環境でも簡単に計測できるはずですし、ぜひ実際にこういう実験をされた上で判断されても悪くないのかなと思います。

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    2018/07/14 12:00 pm | No Comments
  • 137月

    知らなかっただけかもしれませんが突如、新しい「MacBook Pro」が発表されました。

    目玉はやっぱり第8世代のIntel Coreプロセッサの搭載でしょう。
    性能向上もありますが、SpectreとMeltdownへのハードウェアレベルの対策はもう載っていると考えて良いのかな?
    これ次第で名目上のスペック以上に性能差が出る(といっても6%程度とされてますが)可能性もありますし、ハードウェアレベルでの対策も結局はパフォーマンスに影響しないわけではないでしょうけれど、精神衛生上は良いですよね。
    そんなCPUは13inchだとTouch Barモデルだけが新しくなっていて、2.3GHzクアッドコアCore i5に。
    私の2016年モデルは2.9GHzデュアルコアなので、おそらく倍くらいの性能にはなってるでしょうね。
    メモリが相変わらず標準では8GBなのはちょっと少ないのでは?という気もしますけど。

    圧倒的に凄みを感じるのは15inchモデルのほうで、こちらは6コアになって、カスタマイズすれば2.9GHzのCore i9まで選べます。
    メモリも標準で16GBになっていますし、こちらに本気が入ってる印象ですね。
    反面、Touch Barをどうしても残してきたわけですが、キーボード自体は改良されたようですし、T2チップ搭載でSiriを強化するなどiPad的な要素をうまく盛り込みつつ、やっていこうということなのでしょう。
    逆に言えばiOSとmacOSの統合は今回のモデルからはまだまだだなぁという推測も成り立ちそうですが。

    私自身はMacBook Proもまだ十分な性能だと思ってますし、Mac ProやらiMac、Mac miniと、むしろMacは少し整理しても良いかなと思っているくらいです。
    Blackmagic eGPUも推してきていますが、用途がまだまだグラフィック系に留まっているのはちょっと面白みに欠けるかなぁ。
    なんでもかんでもAI、深層学習というのも面白くはないですけど、外付けで演算能力やストレージ等を拡張できるような仕掛けがあっても良いのかなという気は少ししました。

    Filed under: Mac
    2018/07/13 12:00 pm | No Comments
  • 107月

    MicrosoftがタブレットPC「Surface Go」を海外発表したようで。

    日本はまだもうちょっと先の予約開始みたいですが、北米などでは7/10予約開始、8/2出荷開始だとか。
    最小構成だと399ドルというのは完全にiPadを意識した形でしょう。
    OSはSurface LaptopみたいなWindows 10 Sかと思いきや、しっかりWindows 10 Home/Proで展開されるようです。
    ただ、まだしっかりとした情報が出てきていないので、廉価なモデルはSモードになっている可能性はありそうですから、今後の情報に注意する必要はあるかもしれません。
    仮にSモードでもHomeに切り替えて使うことはできるんですけどね。

    さすがに399ドルのモデルはメモリが4GB、ストレージが64GBと多くはありませんが、それでもiPadよりは多めの設定ですし、549ドルならメモリも8GB、ストレージも128GBと普通のパソコンとして十分使えそうです。
    ストレージについては256GBのモデルも用意されるみたいですね。
    CPUもやや控えめのPentium Gold 4415Yですが、これでもCore i3よりは劣るでしょうけれども、ちょっと前の世代のSurface Proなら超えてくるかも…。

    Surface Proとの大きな違いとなるのはディスプレイの解像度でしょう。
    Surface Goは1800×1200pixelの10inchらしいので、Surface Proの12.3inch 2736x1824pixelと比較すればだいぶ普通のスペックです。
    ただその分だけGPUの負担も少ないですし、10インチならこのくらいでも十分かと。
    むしろ770g前後のSurface Proと比べて約521gと軽量なのはタブレットのニーズでは有利なくらいでしょう。
    USBもついにUSB-Cになりましたし、microSDではなくフルサイズのSDカードリーダーもあって使い勝手はかえって良さそうな部分も。
    Officeに関してもOffice 365が付いているようですが、ライセンス形態などはまだ詳しくは分かりません。

    Surface Pro同様、タイプカバーも用意され、こちらも99ドルからと安めの設定、ペンやマウスにも対応でこれはかなりヒットしそうです。
    逆に他のPCメーカーはますます苦境に追いやられてしまうような感もあるのですが、MicrosoftももうOSだけで食っていける状態ではないのかもしれないですねぇ。
    同様にiPadやAndroid端末も作戦変更を迫られるくらいのインパクトはありそうな気はします。

    Filed under: PC
    2018/07/10 3:00 pm | No Comments
  • 087月

    CardasのXLRケーブル「Clear CG XLR」を友人からお借りしました。

    私もHexlink-5Cは持っていますが、かなりクセが強くお蔵入り状態だったわけですけども、最近のものはそこまでクセがないと聞いていたので一度は試してみたいと思っていたところでした。
    Clearでもノイトリックのプラグを使ったタイプもありますが、こちらは「CG XLR」というCardasオリジナルのXLRプラグで、使えない機器もあるという情報もあって、それを確かめたい部分もありました。

    結果的にはAccuphase C-280LとDP-77でほぼ問題なく装着できました。
    「ほぼ」と書いたのはオス(C-280L側)はロックがカチッと掛かる感触がないですし、メス(DP-77側)は外す時のロック解除ボタンがないので、引っこ抜く形なのがちょっと気になったためです。

    早速、DP-77で聴き慣れたディスクから色々聞いてみますが、ファースト・インプレッションからとにかくおとなしくて音が前に出てこないのが気になります。
    Hexlink-5Cのように華美なクセ自体はなくサラッとシルキーな高域で、オーディオ的な聴かせどころを意識した演出を感じるのは良いのですが、なんだか全般に元気がなくなってしまったような雰囲気です。

    また、中域から高域に向かって徐々に位相がクロスしていくような独特な音像の結び方をしてきます。
    それによって音場の広がりやボーカルのシャープさのような雰囲気感を出してあるように感じられますし、透明感を表現している印象ではありますが、なんとなくスピーカーを極端に内振りしたような感覚があるのは若干の違和感を覚えました。
    もちろんその分、中抜けはなくなりますし、シンプルなステレオイメージが構築されるのですけども…。

    まずはサクッと切り替えられるようにと、RCA-absolute-FMと双方接続して切り替えてみました。
    切り替えて最初に気づくのが、音源の背景雑音がザッと増えた点です。
    XLRとRCAではC-280Lのゲインが異なるのはもちろん承知の上でそこは合わせていますが、それでもそうした背景ノイズが見事に消沈してしまっているのです。
    Cardas ClearのほうがどんなCDでも最新のリマスターのようにクリアなサウンドで聴かせてくれますが、RCA-absolute-FMのほうが音源に込められたメッセージ性のようなものがしっかり伝えてくれるように思います。
    たとえばボーカルであれば、ボーカリストの人としての存在感、楽器であれば楽器の素材や奏者の実在感のような部分がちゃんと残っているのです。

    これを聴いた後に再度、Cardas Clearに戻しますが、やはりどうしても「薄さ」が目立ってしまいます。
    よく言えば上品なのかもしれませんが、水の加減を間違えた濃縮還元ジュースのような味気なさがあり、どうしても熱気を感じ取ることができません。
    たしかに歪みっぽさは非常に少ないですが、元々音源にあったものまで「整理」されるのはクールと呼ぶべきなのか、悩みどころです。
    実際、ハイレゾ化やリマスターなどで配信される際にこんな感じになっているケースも多々経験していますので、この雰囲気が好まれる音傾向なのかも…。
    サラッと聴き流すには聴きやすいバランスで、引き算の美学という言い方もできるのかもしれません。

    もちろん、私が持っているHexlink-5Cのように一部の楽曲がまるで聴けないレベルにまでゴリゴリの質感になってしまうような、じゃじゃ馬ぶりはありませんから、扱いやすく聴きやすいことはたしかです。
    そういう点では優等生なのですけれども、全体的に「交通整理」されてしまう感じに馴染めないのもまた事実です。
    音像の位置関係もすっかり整理されていて、スピーカーの前面と中央の壁を結ぶ三角形の中で鳴る箱庭的音場、そしてその中での音像の配置もその三角形の頂点付近ばかりに集まる傾向は、どう説明して良いのか困ってしまいます。
    分かりやすさとアクのなさが優先され、その中で機器の暴れを手懐けやすいという側面は感じられるので、それを意識したチューニングの結果でしょうか。

    「RCA-absolute-FMとでは価格差が…」ということは私も承知しているので、すぐに切り替えて試聴はできませんがXLR-1.0 TripleC-FM(1.4×1.8mm導体仕様)と繋ぎ変えながら比較試聴してみることに。
    XLR-1.0 TripleC-FM(1.4×1.8mm導体仕様)に切り替えて聴き始めると、まず部屋の空気がしっかり動いてるな!と感じ取れます。
    音像も数cm単位で再現されてきますし、ある意味、素直な鳴り方です。
    深みの部分ではRCA-absolute-FMに負ける部分もあるが、雄大さは優位な部分もありますし、同じメーカーだから当たり前とはいえ、音の傾向は基本的に同じベクトルを向いています。

    再びCardas Clearに戻してベームのレクイエムを聴きますが、見通しはスッキリしていて透明感はあります。
    これだけ聴くと歪みが減り、美音になったと感じる面もあります。
    しかし再度、XLR-1.0 TripleC-FM(1.4×1.8mm導体仕様)に戻すと、「アレ?ここに管楽器の音が!」という驚きが。
    単に聞こえるというだけでなく、オーケストラの編成や配置もきちんと識別できます。
    Cardas Clearでも鳴っていないわけではないと思うのですが、どうしても主たる聴きどころである声楽のみにフォーカスされてしまう傾向があるように思われました。
    そもそもClearのほうは低音が出てないのでは?と思うほど、ホールサウンドの厚みが欠落しているようにも感じられます。

    たしかに音源を選ばず、ハイエンドらしく清涼感と静寂性の高いサウンドに演色する能力はCardas Clear CG XLRは非常に高く、まさにハイエンドケーブルと言えるのでしょう。
    試しにスピーカーケーブルを従来のPAD Musaeusに替えて同様の比較をしてみたところ、分かりやすい音像定位が良い方向に働いている部分も感じ取れました。
    このようにいろんなケーブルを組みわせることで、世界観そのものをコントロールしたいなら、それも良いのでしょう。
    ただ、どうやらそれは私が考える方向性とは違うようです。

    そういう意味ではCardas ClearとXLR-1.0 TripleC-FM(1.4×1.8mm導体仕様)はまさに正反対の方向性かもしれません。
    ちょっと語弊があるかもしれませんが、優柔不断と頑固一徹とでも言って良いかもしれないほどの違いがあります。
    いずれにしても、Cardas Clearの場合は水彩画的な表現力の高さを持つもので、写実的とは言い難いのではないかと。
    もちろん絵画を否定するものではなく、むしろ写実の世界を超える世界が広がっているとは思うのですが、アーティストの生み出した音楽にそうした「色付け」をしてしまうのもどうなのだろう?と悩んでしまう部分があります。
    当然ながら「自分の思い描く姿」を描いて再生することは、誰に断りを入れる必要もないでしょう。
    ただ、それを機器側ではなく、ケーブルに依存し過ぎて過剰に演色するのは、あまり望ましい方向ではないようにも感じられました。

    この辺りは、外観の麗しさを取るか、内面の清らかさを取るのか、といった美学の問題なのかもしれず、押し付けることはできないとは思っています。
    無論、それが両立しているのに越したことはないわけですが、私は長年連れ添うことを想定すれば後者を優先したいと思った比較試聴でもありました。

    借りておいてここまで貶すのもちょっと気が引けましたが、もちろん悪いところばかりではありません。
    私が持っているHexlink-5Cよりは遥かに高品位なサウンドですし、前述のようにPAD Musaeusとの組み合わせでは多少の淡白さや内振り感は変わらないものの、全体的な雰囲気のまとまりを出すことはできています。
    全体にフンワリした雰囲気の中で、箱庭な模型的精度で描く能力には長けていると思います。
    私はそっと外して返却することになりそうですが、最新ハイエンドの一端を垣間見れたことに感謝したいと思っています。

    Filed under: Audio
    2018/07/08 4:00 pm | No Comments