MacBSの日常生活的日記

SAEC AS-500E

以前から気になっていたSAECのトーンアームスタビライザー「AS-500E」を入手しました。

このスタビライザー、WE-308シリーズやWE-407/23で使えるものです。
使い方としてはトーンアームの基部をアームベースに留めるネジ(ナット)代わりに使う形です。
素材は鉄だそうで、重さは500gほどとそれなりの重さです。

装着にはプレーヤーからトーンアームの基部を外すか、アームベースを取り外す必要があり、まずはBL-99Vからアームベースを外しました。

このアームベース、当然ながらWE-407/23用のA-1201で、重量は1.5〜1.6kgほどとのこと。
重いとは知っていましたが実際に外してみてそのデカさと厚さにちょっと驚きました。
それと同時に「これだけアームベースがしっかりしてたらスタビライザー程度では変わらないかなぁ」との懸念も頭に浮かびました。

また、ナットはしっかり固定してあって手持ちの工具が貧弱だったこともあり取り外せません。
お店の保証がまだ切れていないので状態を保持しておきたいというのもあって、ナットは外さないまま取り付けるよう、方向転換しました。
効果があまりなかった場合にすぐ戻せるから、という思いもありました。

取り付けるとそれなりに重量も増えますが、なにせアームベースがやたら重いので、さほど重量アップした感はありません。
それが幸いして、BL-99Vの水平調整機構でも十分に水平を取ることができましたが。

あとはアームベースのネジを締めてトーンアームを元に戻すだけです。
#その後に水平器で水平調整や針圧調整も見直しましたけど。

正直そこまで期待せず鳴らし始めてみましたが、実際の出音は全く変わっていて驚きました。
全体に重心がグッと下がったサウンドで、安定感が増していますし、トレーサビリティも向上しているような印象です。
低域は一聴すると引き締まったようにも感じますが、音の立ち上がり、立ち下がりでの乱れが減ることで再現性が向上しているようです。

また実際には100Hz以下の躍動感と押し出しは以前にも増して強まっているので、気分良く音量を調整していると、以前にも増して部屋をさらに揺らしにきます。
まるでマフラーを積み替えた改造車のような圧倒的に押しが強くて重い低音が出てきますね。
WE-407/23はこれまでどちらかと言うと繊細で細めの表現だった印象だったですが、そんな繊細さはいくぶん薄まったものの、ディテールの再現性と芯の太さが両立されていて、まさに見た目通りの改善効果を発揮してくれています。

いちばんの違いは楽器がそこにあるという実在感に安定度が高まったところです。
いくらサクションしたり水平を取ったり調整で追い込んでも、盤の状態や内外周などで定位や音像がブレることがあったのですが、そうした乱れが格段に減ったようです。
なんとなく感覚的にはトーンアームの重心が下がって土台がしっかりしたのだから、それもあり得ることだろうなとは思いますが、実際にこれだけ音の変化として表れるというのはちょっと予想外でした。

また、今まではあまり感じていませんでしたが、これまでの音はフォルテシモでクリップする感が多少あったのだなとも気づかされました。
まだAccuphase AC-1でしか試していない段階ですが、元々歪みが少ないAC-1でもダイナミックレンジが広がっています。
まるでリミッターが解除されたような鳴りっぷりに、ちょっと驚きました。
盤にもよりますが、そのサウンドに身震いがするような場面が何度もあり、そういう感覚はかなり久方ぶりでした。

もちろんトーンアームスタビライザーだけのおかげではなく、これまでの積み上げやアームベースの締め直し、電源等の細かな調整などの積み上げもあったのでしょう。
ただ、プレーヤーの重心を下げてくれたことが功を奏した部分はどうやら確かにあるようです。
WE-407/23はややガタが来ている部分も感じていましたし、プレーヤーも最新のはもっと良いのかなぁ、などと考えることもありましたが、今回のトーンアームスタビライザー導入で機材を替えたような効果を体感できたのは予想外の収穫でした。
今はちょっと寒さもあってレコードには不向きな季節ではありますが、スタビライザーは減るものでもありませんし、今後はのんびり他のカートリッジやプレーヤーの足回り調整などをしながら音楽を楽しみたいと思います。

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