MacBSの日常生活的日記

PURIST AUDIO DESIGN MUSAEUS

スピーカーケーブル再考から導入までがあまりに早かったですが、PURIST AUDIO DESIGNのスピーカーケーブル「MUSAEUS」を導入してみました。

当初はCardasの現行モデルも考えたのですが、それも含めてお店に相談したところ、もちろんCardasも悪くないけれど中古ということもあって価格的にはPADもお得かも、というお返事でした。
もちろん音傾向などは全然違いますが、むしろそれを試してみたいという気持ちのほうが強かったというのもあります。
気軽にお試しというほどのお値段ではないですけどね。

それにバイワイヤリングのケーブルの出物なんてそんなにあるものではありません。
そしてこの太さはやっぱりオーディオマニアにはたまらないところですし。
「ミューゼアス」と読むこのケーブル、当時は一世を風靡した「ISTARU」の海外モデルで国内正規品では当然ありません。
PADというと液体の入ったケーブルも多いんですが、これはFEROXという金属系パウダーのシールドが入ったものです。
中身は銅と銀の合金(?)らしいですが、Cardasの偽物騒動同様、こちらも中身がBELDENでは?という噂が出たりして一時の人気を失ってしまった感があります。
ちなみに現在もリビジョンアップされて、代理店が変わったものの、MUSAEUS自体が現行製品として販売されています。

今回入手したものは、時代としてはシーエスフィールドが代理店だった頃のもので、ケーブルを光に透かすと赤い硬めのジェルっぽい感じのものが見えるので、そういう意味ではニセモノではなさそうです。
端末処理は全て8mmのYラグですが、やや広めなのでパワーアンプにもギリギリそのまま装着できました。
むしろケーブルがやたらと太くて硬いので、ケーブルの取り回しに気をつけないとすぐにYラグが緩んでしまうのが難点です。

長さは2.5mと余裕ですが、こちらも固さと太さからしてこのくらい余裕があったほうがつなぎやすいですね。
スピーカーのターミナルは8mmでもやや太いくらい、わりと華奢なものですけど、こちらはバイワイヤリングで太さ半分なのでパワーアンプ側ほど屈強ではありません。

PADとしてはほぼ入門クラスのスピーカーケーブルで、当時から独特の音の広がり(お風呂みたいなエコー!?)があるとも言われていましたが、実際にうちのシステムに入れて聴いてみると思っていたよりずっと自然でした。
鮮度もありつつ、その中に空気感が漂う形で、音像に立体感があるのがQEDとのいちばんの違いですね。
そういう点ではCardasのほうが近いですが、帯域はもっと広大で静寂感が恐ろしく高いのが印象的です。

まだエージングのつもりでいろんなメディアやジャンルをちょっとずつ聴いていってますが、中古ということもあってエージングは特に必要なく、最初から本領発揮してくれています。
ただし、シールドの関係か、ケーブルを動かしたらしばらく落ち着くまで時間がかかるようです。
かなり実験的に入れてみたところもあったのですが、他がカチッと真面目なシステム構成なのもあって、スピーカーケーブルはこのくらい味わいがあっても良いのかもしれません。

楽器としてはギターの生々しさやドラムのリズムや音色の正確さが特筆すべき良さを発揮してくれています。
ボーカルも唇の動きがより分かるようになりましたし、これは楽器でもそうですが合唱など混声の場合に個々の歌唱や演奏が明瞭になって、恐ろしいほどに実在感が出るのが印象的です。
余韻の残り具合はやはり独特なところもありますが、お風呂のエコーみたいな形ではなく、音源に収録されている残響がややエンハンスされてしっかり捉えられるようになる感じです。
前述のように静寂感が高まり、背景が静かなためにそう感じる部分もあるかと推測しています。
このおかげで、部屋の静寂感が上がったような錯覚すら覚えますし、実際、部屋の中の小さな雑音(クリーン電源の唸りやACアダプタのノイズなど)が目立ってしまうほどです。

横方向の音場の広がりも大きく、これだけ広がると小さいスピーカーや間隔が狭いセッティングだと像が膨らみ過ぎるかもしれません。
ウチは部屋にしては広めの配置なので特に気になることはありませんでした。

また、レコードとの相性も良く、これまでイマイチ鳴ってくれてなかったZYX Ultimate 100が水を得た魚のように伸びやかに鳴ってくれて、それだけでも導入した効果があるというものです。
これまでは高域がやや控えめに感じていたのですが、PADだととても自然に伸びているのがそう感じる理由の一つでしょう。
ZYX Ultimate 100はカンチレバーがカーボンなので、金属的な付帯音がないのもここで初めて活きてきたのかも。
発電機構によるステレオ再生の正確さも非常に正確で雄大な音場を生んでいますし、低域のしっかりした部分もドラムの音がアナログディスクでここまで正確に出るのは初めての体感です。
レコードに限りませんが、真面目な入力系に対してスピーカーケーブルに入れる程度なら、適度な脚色が付いてウェルバランスなのだろうと判断しています。

そういう意味ではこれ以上、PADを足すことはないと思いますし、スピーカーケーブルもこれでメインを張れるなと。
Cardasの穏やかさも魅力ですが、それはリビングでゆったり楽しめますし。
あとはアンプ側のYラグがギリギリなのがやや気になりますが、そこは後日またバナナプラグで試してみたいと思っています。

モバイルバージョンを終了