MacBSの日常生活的日記

Cardas HEXLINK-5C XLR

純正リセットの時期を経て、DP-77はもうちょっとAccuphase色を薄めたいなという気分になっていたところ、CardasのXLRケーブル「HEXLINK-5C」の出物を見つけてゲットしてみました。

偽物の多さには辟易するほどのCardasの中でも群を抜いて偽物が多いHEXLINKですが、その殆どはGOLDENのほうで黒いほうのHEXLINK-5Cはそこまでではありません。
また、今回のものはショップで保証書と当時の代理店(大場商事→今の太陽インターナショナルの前身)の袋も付いていたので、ひとまず大丈夫だろうと。

ただ年代的に古すぎるのか情報が少なくて音傾向などがイマイチ掴みきれませんでしたけど、これまでCardasのケーブルはそれなりに導入して失敗したと感じたものは皆無でしたし、何処かで出番はあるだろうと。
実際にはそんな心配は不要なほど、いかにもCardasらしい音色でありつつ、当時の上位モデルを感じさせるサウンドでしたけどね。
ちなみに長さは1mですので、当時の国内でのメーカー希望小売価格はおそらく145,000円だったと思われます。
2001年くらいには展示処分されてたようなので、2000年くらいの商品でしょう。

先日のPAD以来、なんだか太くて固いケーブル病になっておりますので、そういう意味ではもう見た目的にも満足です。
硬すぎてプリアンプにつないだ後、CDプレーヤーにXLRプラグを挿そうとしても思った向きになってくれず一苦労したほどです。
現行の製品で言うとClear CygnusかRefrectionくらいの位置付けでしょうか。
先日、現行品をヨドバシで見てきましたが、手が届くとしてもParsecくらいが精一杯ですから、中古は私にとってはありがたい存在です。
ちなみにParsecはQUADLINKの後継です。

古いケーブルだけに全体的に汚れや擦れはかなり目立っていて、特にプラグは綿棒5本使うくらい汚れていました。
サンハヤトの接点復活剤や端子クリンの極細のが活躍してくれました。

DP-77はこれまでAccuphase ASLC-10でつないでいましたが、それから比べると低域の充実度が圧倒的です。
それでいて余韻の美しさはNeutral Referenceを思い出すもので、情報量が増えつつもキツさはないのが私にはハマります。
気楽にBGM的にも聴けるし、しっかり耳を傾けると音楽のほうから勝手に溢れ出てくるように伝わってくるところが気に入りました。
ASLC-10は新しいケーブルだけに繊細な情報量はありますが、比べてしまうとややかまぼこ型と感じるほどで、HEXLINKのほうがより骨太でありながら、息遣いなどはより明瞭に、ボーカルの息継ぎなど場面ではちょっと大げさかもしれませんが呼吸の量まで感じ取れるように感じるほどです。
また、録音のS/Nがヘッドホン並みに分かるようになっているのも印象的でした。

ボーカルや小編成の楽曲ではメインが目立ってそれ以外はただの伴奏として平坦で実体感が薄らぎがちですが、それぞれの楽器が音像としてのサイズだけではなく、しっかり質量まで再現されるようになりました。
これでアナログにだいぶ追い付けた気がしますが、CDやSACDのソフト自体の音質まで改善してくれるわけではもちろんなく、それはむしろ古い録音をリマスタしてちょっと無理をして「原音」に近づけたようなソフトでは、とりわけ打楽器系を主体に歪みっぽくて演奏自体も乱雑に感じられるケースが目立つようになったというデメリットもあります。

そこで試しに一度、Accuphase ASLC-10に戻してみましたが、これが同じ盤なのか?と思うほど違いがあります。
ここまでナローレンジになってしまうのか!と愕然としつつも、やはりASLC-10のほうが現代的な美音感と言いますか、滑らかさを感じる部分はあります。
クセも少ないのですけども、やっぱり一度HEXLINKを聴いてしまうと録音が新しいディスクでは物足りなさのほうが目立ってしまいます。
おそらく低域を主体に帯域が広がったことで、録音の差、特に超低域の歪みが如実に出てしまうのだと推測しています。

そういう意味では万能とは言えない面もありますが、そこは対策としてRCAにAccuphaseのSL-10をつないで、XLRとRCAをプリで選ぶ形にしました。
当面はディスクによって聴きづらいなと感じるシーンがあれば、RCAに切り替えることで回避すれば良いでしょう。
HEXLINKは相当古いケーブルですし、そもそも出物が多いものでもありませんが、今でもその性能はさすがで、録音を選ぶほどの実力があるというのは予想以上の収穫でありました。

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