NECの通信用出力5極管「CZ-504D」のガラス管とベース(袴)の接着が外れ気味、いわゆるルーズベースなものがあったので補修してみることにしました。
袴がぐらつくのはセメントが劣化したことによるものらしく、あまり補修の情報は多くなかったのですが、耐熱性のある接着剤やセラックニスを使って再固定するようです。
完全に袴を外しているのも見かけましたが、そこまで深刻ではないので予防措置的に再固定する感じですし、かと言って経年劣化したり、かえって破損につながるような補修も嫌だったので、信越化学工業の一般工業用RTVゴム「KE45-100TM」を選びました。
白色のもありますが、透明のほうが目立たないのと、耐熱温度が180℃で粘りも扱いやすいという観点からの選択です。
補修のポイント、注意点としては抜いたり扱ったりする際に絶対にひねらないことです。
また、中の古いセメントは深追いしてもリード線を痛めるだけなので、ポロポロ取れてくるような部分のみ綿棒などで掃除するくらいにとどめます。
電電公社仕様のCZ-504Dはこの部分に緑色の塗料みたいなものが塗ってあるので、それもパリパリになってしまっているものだけ取り除いてほとんどは保持しました。
塗り込みは爪楊枝がちょうど良く、袴を動かし過ぎない程度に隙間に少しだけ押し込むような形としました。
ガラス管や袴の塗らなくて良い部分にはマスキングテープを貼っておいて剥がせばはみ出さずに済みますし、多少はみ出しても「KE45-100TM」なら爪やカッターで取り除けます。
乾燥は丸2日くらいが推奨され、立てた状態で風通しの良い場所でじっくり乾かしました。
なお、マスキングテープは数時間くらいで剥がしてしまっておいたほうが扱いやすかったです。
まずは予備の球の中から一番グラグラしていて、最悪失敗してもダメージが少ないものを選んで練習的に2本くらいから試していきました。
最終的には予備の7本、装着されていた4本の、合わせて11本全部対処しておきましたけどね。
まずは試しに接着した球を片方のチャンネルで交換して試しました。
無事に音は鳴り、中高域の派手さが減ったので、やはりマイクロフォニックが多少あったと予想されます。
もちろん球そのものが違うので、その影響の可能性もありますけど。
その後、全て交換しては鳴らしてみても似たような傾向はあったので、固定した意味はあったのだと思っています。
ただ、予備球の中の1本だけ、交換してから2日目にノイズとともに派手に発光して慌てて切りました。
1954年3月の球ですから、もう70年以上経っていていつ壊れてもおかしくはないですが、補修前に動作確認してなかった球なので、補修が原因だったのかは分かりません。
いわゆる真空抜け、あるいは物理的な破損によるプラズマ放電だと思いますが、特に内部が白くはなってないので後者のほうが怪しいかも。
結果として11本中10本を補修できたという形です。
なかなか希少な真空管なので、その点ではやってみた価値はあったのかなと。
あくまでも自己責任での対処ですし、最悪、高温による火災の危険もありますので、安易に真似て貴重な機材を壊さないようにだけはくれぐれもご注意ください。
