MacBSの日常生活的日記

茶楽音人 Donguri-楽 レビュー 音質編

茶楽音人のイヤフォン「Donguri-楽」ですが、だいぶエージングも進んできたので音質について触れていこうと思います。

その前にエージングですが、ここまでに20時間くらい、普通の音量でほぼ聴きながら進めています。
ちなみに私自身は機材のエージング自体も楽しみたいので、できるだけエージング途中も聴いてあげたいと日頃から思っています。
なお、念の為にメーカーの方に伺ったところ、「ウォークマンのボリュームMAXで50~100時間程度」を推奨するそうですが、「24時間以上で音質的には落ち着いてくる」とのことでした。

実は当初、ピアノのみでアタック音にエコー感が出る感覚があり、打鍵がポワーンと響く感じだったんですよね。
当初から残響はキレイだったのですが、このエコー感も10時間を経過した辺りからすっかり払拭されました。
試聴するようなケースでもある程度使い込まれたものを聴いたほうが本領を確認しやすいかもしれません。
もちろんこの現象は他のイヤフォンでも同様だとは思いますけどね。

さて、そんな具合でまだエージング途中とも言えそうですが、全般に感じるのはDonguriの名前の通り、その筐体の「箱鳴り」をうまく意識したチューニングだという印象です。
ともするとカナル型イヤフォンではダイレクトに鼓膜を揺さぶるようなところがあり、それが良さでもあるのでしょうけれど私にはよく言われる「刺さり」だったり、聴き疲れる音に感じるケースが多々あります。

その点、Donguri-楽ではハウジングでほどよく音場が形成され、音が痩せないのが魅力的です。
ただし、それだけにソースによっては音像が多少ぼやける傾向がないとは言えません。
また上位モデルと比べると低域ももう少し下まで伸びてほしいなと感じる部分もありますが、量感はむしろしっかりとあるので量的に不足を感じることは皆無でしょう。

高域は華やかさもほどほどにありつつ、「刺さり」が全く目立たないのはさすがです。
純度の点ではBA型イヤフォンと比べればやや後塵を拝するところもありますが、単に特性的な歪率を追求するような傾向ではなく、帯域全体、もっと言えば音楽としてのバランスを良く分かった上で調整された仕上がりだと思います。

それでもなにぶん他とは違うアプローチなだけにソースによる相性というのは多少出てくるようです。
常に間接音を多めに聴いている印象があるため、スタジオ録音のソースではそれが効果的に出ることが非常に多いですが、たまに「ちょっと多すぎるかな?」と感じる場面もありました。
ちょうど私が使っているから、というのもありますが、DALIのかつてのRoyalシリーズに似ているところを感じた次第です。
低域の厚みからすると、Royal MenuetというよりもRoyal Towerに似ているかもしれませんね。

いずれにせよ、同じ音茶楽の開発とはいっても、TH-F4Nとはだいぶ方向性が違うのは先日も書いたとおりです。
TH-F4Nはスピーカーで聴いているような音場でしたが、Donguri-楽はあくまでもヘッドフォン、イヤフォンの音場のそれの範疇です。
ただ、Donguriの構造をうまく活かして、頭が両幅に10cmずつ広くなったように大きめのハウジングの大口径ヘッドフォンのようなサウンドを楽しませてくれます。
あいにくあまり使ったことがないんですが、良質なウッドハウジングの製品はきっとこんな感じだろうなと思いながら聴いています。

ここまで音場や雰囲気について書いてきましたが、純粋な音質についてももちろん価格以上の魅力があった上での仕上がりです。
MP3やiPhone直挿しなどによる音質の悪さもしっかり聴き取れるのはイヤフォンとしての歪みの少なさのおかげだと思います。
おそらく購入を検討される方が気になるであろうプラスチックっぽい鳴りに関しては全く心配なしですし、音質面でもこの価格帯では非常に優秀だと思いますので、あとは音色や音場傾向の好み次第というところでしょう。

ジャンルへの相性についてはライブ感を楽しく演出する傾向ですので、ポップス寄りでスタジオ録音されたものにライブの熱っぽさを足したいケースではベストチョイスと言えそうです。
どんなジャンルであっても、音楽の楽しさは強めに感じられますから、ジャンルよりもむしろ音源(録音)との相性のほうが大きいかなと。

楽器ですと、弦楽器は響きは豊かですが低域はやや薄味ですので、ヴァイオリンやギターと相性が良いでしょう。
ボーカルは響きと艶、熱っぽさ全ての点で相性の良いものです。
逆にピアノに関しては当初やや苦手傾向に感じましたが、エージングが進んでだいぶ普通になってきました。
ピアノ自体、オンマイクだったり打鍵が強く録音されていたりと、音源によって差が大きいですので、これもやはり録音との相性の要素が多そうです。
バスドラムの音はライブハウスのPA的な力強さを感じるもので、ここでもかなりライブを意識した音作りだと感じた次第です。

次回以降、手持ちのイヤフォン数種との比較やヘッドフォンアンプによる音の変化などをレビューしていく予定です。
その間にエージングがさらに進んで変化があれば、それもいっしょにご報告したいと思います。

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