MacBSの日常生活的日記

Olasonic 訪問レビュー NANO-UA1編

Olasonicさんを訪問しての試聴レビュー2つ目はNANOCOMPOシリーズの第一弾、USB-DAC内蔵アンプ「NANO-UA1」です。

なにぶん出張がメインですので、カメラはGRD3しか持ってなかったんですが、上の写真のとおり、まだ台数の少ない量産前モデルでの試聴です。
ちなみにNANOCOMPO発表当時のプロトタイプも見せてもらいましたが、色合いなど細かい部分の作りこみがずいぶん変わっていました。

個人的にはもっとケレン味のある強烈なデザインでも良いと思いますが、今後のNANOCOMPOはこのテイストで統一して出てくるそうで、これがOlasonicの色になっていけば一目見ただけで分かるようなスタイルで良いんじゃないかな。
なお、フロントパネルはプロトタイプ時よりもさらに厚みのあるものに変更されたそうで、実物は写真よりも洗練された感じを受けるもので、喩えが適切かどうかはちょっと微妙ですが、LINNの黒箱のようなデザインテイストと言えばなんとなく分かっていただけるでしょうか。
縦置きスタンドも別売される予定だそうですが、個人的にはPro-Jectみたいな横2台収納のケースとかあったら良いかなぁと感じました。

個人的には見た目よりもやっぱり音が気になるので、早速、試聴させてもらっての感想を書いてみます。
なお、試聴させていただいたシステムは以下のとおりです。

音源:MacBook+iTunes
USB-DAC+Amp:Olasonic NANO-UA1
スピーカー:KEF LS50

実はいつも家で聴いている曲をCD-Rで持っていったのですが、よく考えればMacBook Airに入れていけば良かったのでした…。
ということで、試聴曲はOlasonicさんで用意してもらっていたものを聴かせていただきました。

つないですぐ一曲目は「What a Wonderful World」の女性ボーカルのものでしたが、ファーストインプレッションとしては以前のDigiFiの付録アンプの傾向だなぁと。
低域の量感はやはり比べ物にならないくらい厚く本格派ですが、私の好みからするとちょっと真面目すぎかな。
音源やスピーカーの影響もあるのでなんとも言えませんが、中高域にかけての艶というか色気にはやや欠ける印象でした。

その後、ややロック寄りの男性ボーカル、クラシックを聴いてみますが、傾向としては低域の充実感に重みをおいた音作りだと感じます。
恐ろしくコンパクトなアンプ(しかもDACまで入ってる)でこの低音が!というのはまさに驚異で、KEFのLS10も驚くほどコーンを震わせていました。
それだけの音量でもうるさく感じないのは非常に素直で優れた特性あってこそかと。
また、キレのあるベースやドラム、男声などは弾むような躍動感があり、タイトだけどホットなサウンドが好みの方にはかなりオススメできそうです。

ちなみにサウンドはホットですが、アンプ自体はそれだけの音量でも全く熱くなりません。
デジタルアンプだから当たり前とはいえ、昨今の電力事情を考えると非常に大きなメリットかと。
消費電力は最大でも20Wだそうで、周りの環境さえ許せばパワー不足に悩むことはないと思います。

ただなにぶん自前のソースでないのとスピーカーが普段聴いているのとは違うのもあって、どこまでがアンプの音色なのかが掴みきれずにいたところ、「Angel」(たぶんサラ・マクラクラン)をかけてもらって、「なんだ、艶もちゃんと出るじゃん」と一人で納得してしまいました。
ちょっと残響やリバーブが多めの音源でしたが、その伝えたいニュアンスを誠実かつ正確に再現してくれていたと思います。
ある意味、ピュアオーディオの毒気に曝されていないだけに、音源に応じて、非常に素直な表情を見せてくれる製品だといえそうです。

その素直さは訪問させてもらった社風にもある印象で、皆さん、ほんとに実直に、それでいて情熱を注ぎ込んだ製品づくりに取り組んでいらっしゃるのをひしひしと感じました。
オーディオというのは一朝一夕に仕上がるものではなく、確かな技術とそうした雰囲気や情熱に支えられてこそ生まれるものなのでしょうね。
Olasonicさん、というよりは東和電子さんはこれまでも(そして現在も)多くのオーディオメーカーの基板やソフトウェア設計を手がけてきた実績があるとのことです。
正直、最近の国内オーディオメーカーには覇気がないですし、良い風を流しこんでいってほしいところです。

今回は限られた時間でしたし、なにぶん諸々の環境が普段とは違いすぎて評論家でもない私にはそれらを吸収してNANO-UA1本来の性能を十分に汲み取れなかった部分もありましたが、1つだけ言えるのは非常にまっすぐに生み出された製品だということでしょう。
形にとらわれ過ぎている古いオーディオマニアの概念を打ち破るだけの実力を持った仕上がりなのは実感できましたし、むしろヘッドフォンで音楽を楽しんでいる若い世代に知ってもらいたいなぁと思いました。
取り扱いが完実電気さんになるそうなので、その点ではその世代へのアピールは万全になりそうです。

また、時期は決まっていませんが、短期間貸し出していただいて自宅のシステムで試聴する機会をいただけそうですし、そこでさらなる試聴をさせてもらえればと思っています。

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