MacBSの日常生活的日記

KRELL PAM-3 レビュー 音質編

KRELLのプリアンプ「PAM-3」も導入してだいぶ経ちましたので、ようやく音質にも触れられるかなと。

まず電源スイッチがないのでウォームアップが必要かどうかにいちばん迷いました。
ステップアップトランスに電源スイッチがあるので普段はそれでオフにしつつ、数日通電したりと色々試しましたが、さほど気にするほどではないかなという結論に。
最初の頃は1日通電したら別物のように変わったんですが、どうやらそれはしばらく使われていなかったのと部品交換によるものだったようです。
その後はたしかに通電しておいたほうが中高域が滑らかになる気はするものの、最低10分くらい経てばほぼ安定しますし、その後も数十分〜数時間程度で十分かな。
その点でいえばパワーアンプのKSA-100のほうがウォームアップに時間がかかるくらいでして、かと言ってA級アンプをつけっぱなしにはできませんからねぇ。
一応、PAM-3は部屋に入った時に電源を入れておき、夜に降りる前にオフにする感じで運用しています。
ちなみに筐体の温度もアンプ本体はほとんど分からないくらいの温度変化で、電源ユニットがほのかに温まる程度です。

さて肝心の音傾向ですが、思ってたよりもずっと素直で静寂感があります。
現代的な機器ではないのでスピード感があるタイプではありませんが、リズムに乱れがなく妙な刺激的な部分が皆無なのが気に入っています。
S/NはC-280Lと比べれば多少、残留ノイズは多めですが、ボリュームを上げても増えるわけではないですし、ツィーターにピッタリ耳をくっつけてやっと差が分かる程度のものです。
逆にフォノイコのS/Nは思っていたよりもずっと良く、かなりハイレベルだと思っていたC-280Lに勝るとも劣らないもので、そこも素晴らしい感じです。

C-280Lとのいちばんの違いは音像が揺れたり滲んだりしない点でしょうか。
音場にも隙間がなく、前後方向の立体感がとても良くなっていて、とにかく平面的になりません。
これまた現代的なピンポイントの定位とはいきませんが、決してモヤがかかっているようなことはなくブレもありませんから、見通しが良くて安心感があります。

音楽のジャンルを特に選り好みする感じもなく、クラシックもしっかり鳴らしてくれます。
とりわけ合奏曲や弦楽四重奏など、ホールの空気感の再現が全く違います。
女性ボーカルも素晴らしい艶と美しさで、もっと音像が膨らむ傾向なのかと思いきやリアルな雰囲気で、全般に中域がとても濃く、語りかけるようで、このあたりがC-280Lとは相当異なる表現力を感じさせます。

低域は量感こそC-280Lより少なめに感じるものの、剛性感が圧倒的に高く、パワーアンプでもないのにスピーカーの駆動力が向上したかのような、ゆとりのある鳴り方になります。
そのおかげか、ベースの胴鳴りまでしっかり伝わってきますし、ギターも奏者の指使いや奏法がとても明瞭に伝わり、ライブ感が高いです。

電圧もいろいろ試してみましたが、結論からいうと100Vでも動作も音も全く問題ないと思います。
ステップアップトランスを用いた115V運用も実体感と力強さでは良い部分もありますが、透明感や生々しさの点ではむしろRTP-4 absoluteから直接取るのがいちばん良いくらいです。
スイッチオフの都合もあるので、そこらへんの加減もありますけどね。
残留ノイズに関してはDCケーブルがRCAケーブルなどに近いとノイズが増える傾向があるので、取り回しは多少配慮が必要そうです。
別筐体のメリットばかり考えていましたが、DCでも電源系のケーブルの取り回しはやっぱり重要なんですね。

あとは空いたRCA部にリアリティエンハンサーを挿したくらいでしょうか。
場の雰囲気がより再現されるようになり、現代的な緻密さも兼ね備えてきてくれました。
それなりにいろんな機材をつないだので、実際にはPRE OUTとTAPE入力くらいしか空かなかったですけど。

これでアンプからひとまずAccuphaseが排除された形になりました。
今でも信頼性は優秀だと思っていますし、夏場は特にパワーアンプを入れ替えるかもしれませんが、どうやらこの路線でしばらく進めていけそうです。
なにぶん古い機種ですし、現行のKRELLはかなり音傾向が異なるはずので参考にはならないでしょうけれども、個人的にはかなり満足度の高いリプレースだったなと思っています。

モバイルバージョンを終了