MacBSの日常生活的日記

final E4000

finalのMMCX端子のイヤホン「E4000」を購入しました。

キッカケはフォロワーさんがACOUSTIC REVIVEのPC-TripleC/EXリケーブルの試作品の試聴に使われていたことや、それまでもいわゆるコスパの高いイヤホンとしてEシリーズを見かけていたからです。
さらにPLENUE Sでバランス接続の動作確認をするにあたり、3.5mm4極で入手可能なリケーブルはやっぱりMMCXがダントツで多いのも理由の一つでした。
手持ちのものでも茶楽音人 Donguri-鐘 Re-CableやSHURE SE215がありますが、IE80SやIE800と比較したい場合にはちょっと毛色が違うかなと。

あくまでも動作確認が主体で興味半分だったのですが、期待を大きく上回る良さで驚きました。
まずはパッケージングからして、とても丁寧な仕上がりですし、標準の3.5mm3極のアンバランスケーブルのままでも低音の質感が細やかですし、十分にセパレーションの良さを体感できます。

エージングにはかなり時間を要するようで、元々の能率の低さや奥ゆかしい表現性からして、当初はややナローレンジのように感じられました。
しかしエージング途中でもそのポテンシャルの高さは数分で判るもので、楽曲の中の微細な表現や残響の成分が次から次へと表出してきます。
これはおそらくイヤホン自体の「箱鳴り」が少ないということだと思う次第です。

上位モデルのE5000と良く比較されがちですけれども、こちらのE4000はアルミ筐体で、ウェットかドライかというとドライ傾向で艶を付加するタイプではありません。
それはもうご存知の方もいらっしゃると思いますが、ステンレス筐体のE5000でも多少の素材の違いやチューニング傾向、ケーブルの違いはあるにせよ、そう大きくベクトルを異にするものではありません。
どちらもどちらかといえば現代的な録音のほうが得意な傾向でしょう。
E4000は男声やギターなど張りのある音表現が突出して上手く、特にライブでは臨場感が高まるように感じられました。

進化の激しいイヤホンにあって、さすがといえるほど精度の高さを感じるものですが、かといってモニター的になりすぎず、むしろ聴きやすくて試聴のつもりがついそのままアルバム1枚聴き終わってしまうことが何度となくありました。
変に肩肘張った「良い音」感がなく素直で、それでいて細かなところまでしっかり描き分ける写実性を兼ね備えたバランスの良い仕上がりに驚きました。

正直かなり格の違うIE800とも何度となく比較しましたが、むしろIE800の軽いドンシャリが目立ったほどです。
たしかにIE800には他では得がたい広がりがあり、耳の中に音を押し込むようなところがない開放感のあるサウンドが素晴らしい魅力で、私もとても気に入っています。
それに比べると、E4000はややバスレフ的な低域の遅れを感じる場面もありますし、鼓膜にほぼ直接アクセスするような印象も出てきますが、これはIE800が特殊と言えるでしょう。
IE800は耳たぶで聴いてるような独特の感覚があるのに対し、E4000は普通のカナル型らしくダイレクトで、イヤホンで音楽を聴いている感じにはやはりなります。
ただ、SHURE掛けすることでダイレクトさを保ちつつ、セパレーションをうまく活かした広がりも出てきますし、余計な媒介がないだけに純度が高い部分も多く見受けられました。

弱点としてはピアノがほんの少し苦手な傾向でしょうか。
今回はリケーブルしない状態での評価ですので、これはケーブルの性質もかなり大きく関与していると思います。
ノーマルでの音色は手持ちのイヤホン、ヘッドホンの中ではHD600に近いように感じました。
それくらいの開放感もありますし、リスニングとモニターのウェルバランスなところもそう感じた所以かもしれません。

とにかく想像以上の出来に驚きまして、その後も色々と暴挙に出ているわけですけれども、そこはリケーブルと合わせて後日紹介ということで。
なかなかこの良質さを文章だけでは伝えづらいですが、機会があればぜひ一度試聴してもらいたいイヤホンだと思います。

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