MacBSの日常生活的日記

DigiFi付録 レビュー No.17 パワーアンプ編

2/23発売のDigiFi No.17に付録のOlasonic謹製デジタルパワーアンプ(基板にはTW-ST12-PAMPとあるので以後そう呼びます)を早めにお借りできましたので、レビューさせてもらおうと思います。

3号連続付録を全て合わせるとUSB-DDCからDACプリアンプ、そしてパワーアンプとスピーカー以外が完結するのですが、今回はあえてパワーアンプだけで試して単体での実力を知ろうと思います。

ということで、上のような3台構成ではなく、TW-ST12-PAMPをパワーアンプに、LINN MAJIK-ILのプリ部をプリアンプにした、以下の構成で試聴しました。

[ デスクトップシステム ]
パソコン: Apple Mac mini
USB-DDC: JAVS X-DDC(電源:第一電波工業 GSV500)
DAC: ATOLL DAC-100
Pre Amp: LINN MAJIK-IL
Power Amp: TW-ST12-PAMP
Speaker: DALI Royal Menuet II

なお今回は一台のみですから試しませんでしたが、このパワーアンプ、バイアンプ駆動も考慮されていて、基板上のジャンパーで切り替えて左右それぞれに別のTW-ST12-PAMPを使うことも可能です。
我が家は普段、左右ではなく低域側と高域側で2台を使ったバイアンプ接続になっていますが、セパレーションや音色の統一性という点では理になかったバイアンプ駆動方法と言えるでしょう。

そんな複雑な普段の接続構成もあって繋ぎ変えにかなり手間取りました。
パワーアンプを変更した以外だとTW-ST12-PAMPのスピーカーターミナルの関係でYラグやバナナプラグは使えないので、スピーカーケーブルをQED Ruby Evolutionにしたのと、スピーカーのジャンパーピンを取り付けた以外はほぼ普段通りの構成です。
まずはテストディスクを再生してみると、ボリューム位置が普段は5くらいなんですが、それが15程度で同じくらいのボリュームとなりました。
普段がバイアンプというのを加味してもゲインはそう高めではなさそうです。
なお出力は付属の5V1Aアダプタを使いつつ、ダイナミックパワーで12W+12WをSCDSで実現しています。

一聴してまず感じたのは、わりと普段に近い音だなと。
輪郭が締まっていて、高域が普段よりややガラスっぽい硬質さがあり、低域はやはりやや薄味ですが、パワーアンプだけに味付けは薄いようです。
ただ、曲のジャンルによっては普段よりも中高域にキツさが出るケースもそこそこありました。

また、これがちょっと独特な雰囲気なんですが、低域がやや遅れて付いてくるような印象を受けるケースがあるんですよね。
SCDSでパワーを引っ張りだすために遅れが生じている!?なんてことは理論上から考えてもなさそうですけど、少なくとも聴感上はそう感じる部分があります。
なんらかの理由で、低域のダンピングファクターが低くなっているのかもしれません。

反面、中高域から高域にかけては情報量重視の現代的なもので、その点では普段のLINN黒箱とは方向性を異にするものです。
最新のポータブルオーディオに馴染んだ人に馴染みやすそうなサウンドという気がして、なぜかBAタイプのカナルイヤホンが浮かぶような印象なんですよね。
同様にポータブルで言うなら、ALO Audioのポタアンに対するiBassoみたいな感覚とでも言いましょうか。

これはNANO-UA1の時に感じたことですが、かなりクセの強いDALI Royal Menuetの個性がコントロールされた印象で、まるでELACになったのかな、というような鳴り方をします。
そうは言ってもプリにLINNを持ってきていますから、好みとしてはだいぶ自分の世界観に近いんですけども、やはりOlasonicらしさが反映されたパワーアンプなのだなと感じた一面です。
ただ、DDCやDACと比べると、ぐんと製品レベルに近い印象を受け、それこそACアダプタまで付属してパワーアンプとして完結していることを考えると、かなりコストパフォーマンスは高いと言えるかと。
それなりのプリアンプやDACと組み合わせられるだけの実力は備えていると思います。
ただ、DAC同様、低域に関してはどうしても多少の不足は免れないので、コンパクトなシステム構成で行くか、それこそバイアンプ接続まで強化したほうが良いケースもあるかもしれません。

サウンド全般としては現代的なもので、薄味の表現ではあるものの、解像度はかなり高いと言えそうです。
先程も書きましたが、スピーカーじゃなくカナルイヤホンで聴いているような気分になるほどです。
それが裏目に出るケースもやはり多少あり、J-POPなどの一部では、いわゆる、刺さる感じが出て煩く感じるケースもありました。
クセがないと言いつつ、若干ながら中高域にクセがあるのかもしれません。
いわゆる「Hi-Fiチック」なまとまり方で、何度も書くようですが私の普段のシステムが「いぶし銀」のような黒箱ですので、それと正反対の世界観なのは仕方のないところでしょう。

反面、さらっとした表現は得意で、穏やかな曲調ではBA型のような抜けの良さを感じることもできます。
呼び方としてふさわしいかどうかは分かりませんが、やはり「NANOCOMPOのサブセット」であって、いわば「PICOCOMPO」といった風合いでしょう。
これで興味を持ってもらって、ぜひNANO-A1Mariageなどにステップアップしてもらえれば…と、私も(たぶんメーカーさんも)感じた試聴でありました。

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