MacBSの日常生活的日記

DENAFRIPS FPGA Firmware Update

DENAFRIPSのD/Aコンバーター「ARES II」のFPGAファームウェアの更新が発表されていたので、申し込んでみました。

申し込む、というのは単純にダウンロードできるわけではなく、本体内部の写真を送らなければいけないためです。
別に本当のユーザーかどうかを調べるというわけではないようで、使っているFPGAチップの型番を知る必要があるためのようです。
うちのはCyclone IVの「EP4CE22E」というチップが使われていますが、時期(?)によって3種類くらいは異なるものが出回っているみたいです。

数日待ってね、というメールの後、5日ほど経ってアップデートツールが届きました。
どうやらこのチップ用のものはそれから開発(?)したみたいで、いちばん最初のリクエストユーザーのうちの一人だったようです。
とりあえずはMacで更新してみようと、署名なしアプリを動作するようにしまして実行したところ、「Error 111」というエラーが。

ちゃんと解説通りの操作でファームウェア更新モードには入っていましたし、ファームウェア更新でエラーとなると本体ごと文鎮化する可能性もあるのでだいぶ焦りました。
Apple SiliconのMac mini M1で実行したのがまずかったかと、慌ててIntelのMac Pro 2013に接続し、同じ手順を経ますが全く同じエラーです。

こうなるともうWindowsを使うしかないなとSurface Proを持ってきまして、こちらは結果的に無事に完了しました。

ただこっちも署名なしドライバをインストールするのにBitlockerの復元キーが必要になって多少焦りました。
解説はちゃんと用意されていますが、やはり手順がかなり煩雑なので気軽にオススメしづらいですね。
そもそもDENAFRIPSユーザーさんは海外から取り寄せて購入された方がほとんどでしょうし、サポートは手厚いほうだと思うのでなんとかなるとは思いますが…。
なお無事に更新されるとデバイス名が「DENAFRIPS USB Audio V3.12 | A22E1.6」となって、これなら無事に成功している、とのサポートさんからのお返事でした。(そういう問題でもないような気もしますが。)

さて顛末はさておき、アップデート内容は以下のように発表されています。

* Improved Adaptive FIFO Buffer & Reclocking Architecture
* Reduced the effect of Buffer overrun/underrun due to the Source’s Clock and the DAC’s Clock differences
* Eliminate Phase Difference between L/R Channels
* Optimised DSP to improve the sonic performance

まずはUSBでSoundgenicと接続して音出ししてみますが、ここはSoundgenic起因の部分もあって粗さが目立っています。
GUSTARD U16経由で同軸接続のほうが純度が高いのは変化ないようです。
そもそもUSB側ではなくFPGAの更新なので、どの入力でも向上しているわけですけど。
全体としては以前のファームウェアよりやや華やかになったような気がします。
以前の穏やかな音が好みだった方は無理にアップデートしなくても良いのかもしれません。

左右の位相乱れはたしかに減っていて音像にブレが少なくなっているのは明確に分かると思います。
サウンドステージの広がりという点でMark Levinson No.360Lと比べてしまうとやはりまだ差はありますが、S/Nの良さ、透明感では良い部分もあるほどです。
低域も以前よりはやや厚みが出ているようですが、最低域の伸びはやはりファームウェアで改善されるものではないので上位モデルを凌駕するような変化とは言えないでしょう。
中域は以前同様、程良い厚みがあるのでボーカルは聴きやすいバランスになる印象です。

位相改善の効果で音像はとても良く見通せるようになっていて、以前よりだいぶ明るく、ほんの少し硬調寄りになりました。
これまでがかなり柔らかかったからというのもあるでしょう。
わりと最近の音圧高めだったり、コンプの影響でささくれ立って聞こえがちな音源は相性が良く、適度に聴きやすいバランスに整えてくれます。
そういう音源だと、Mark Levinsonのほうは子音のキツさやリバーブの効かせ具合が目立ち過ぎたりしがちです。

さらにNOSモードやOSモードのフィルター種別も改めて再確認しました。
NOSモードは以前より自然になった印象で、前のファームウェアのOSモードに近い音傾向かもしれません。
OSモードだとスローフィルターでとりわけサウンドステージの広さが際立つ傾向で、以前より少しゴージャスな音がします。
シャープフィルターは澄んだ感じがして結果としてはこれをデフォルト設定としました。(以前と同じ)

他のユーザーさんからの報告も海外では結構出ていて、やはりサウンドステージ拡大に好印象が多いようです。
今後は徐々に上位モデル分のファームウェアが提供予定とのこと。
更新にはやや不安が残る部分もありますが、後継で発売されている12th Anniversaryモデルに近づけたいのならば冒険してみる価値はあるかと思います。
その前に日本国内でもうちょっと入手しやすくなってくれるとうれしいのですけどね。

(3/20 15:00追記)

公式Q/A集が公開され、リクエストの仕方、文鎮(レンガ)化した場合の対応や確率などについて記載されています。
https://www.vinshineaudio.com/post/q-a-denafrips-12th-fpga-firmware-update

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