MacBSの日常生活的日記

ALO Audio The Key

ALO Audioといえば先日アナログポータブルヘッドホンアンプの「The National」をゲットしたばかりですが、今度はUSB-DACの「The Key」をゲットしてみました。

結構な種類が登場しているUSBメモリサイズの小さなDACですが、他の製品と違うところがいくつかあって、そこがかえって私には惹かれるところとなりました。

まずDACチップにPCM5102Aを搭載していますので、DSDには一切対応していません。
逆にPCMに集中することで、PCMの性能の高さでは定評のあるチップですし、回路構成状もシンプルにできつつ、DCカットコンデンサが不要だったりと、なかなか面白い石です。
実際、そこそこ高級な据え置き機でも採用例が結構ありますね。
PCMに関しては32bit/384kHzまでのサンプリング周波数に対応しています。
また、Macではドライバ不要ですが、どうやらUSBコントローラにはXMOSが採用されているようです。

そしてビックリするくらいコンパクトなサイズになっているもう一つの理由でもあろう点がヘッドフォンにも一切対応していないというところです。
少し膨らんだ本体部分にステレオミニジャックが用意されていますが、これはあくまで2VrmsのLINE OUTなわけです。
ヘッドフォンで楽しみたい場合はThe Nationalなどにミニ-ミニケーブルでつないで楽しんでね、というALO Audioらしい製品なんですね。

早速、Mac mini本体のAcoustic ReviveのRUT-1の隣に空いたUSB端子に接続してみますが、見事にコンパクトなサイズで全く物理的に干渉することなく装着できました。
ステレオミニ-RCAケーブルは手元にソニーのごく普通のOFCケーブルしかなかったので、とりあえずそれでメインシステムに接続です。

デバイスとしては「ALO audio DAC-Key-HD」という名前で認識され、バッチリ32bit/384khzでも再生可能です。
Audirvana PlusでもDirect Mode/Integer Modeに対応しています。
ただ、アップサンプリングで32bit/384kHzで鳴らしていると、ごく稀に音切れすることがあります。
アルバム数枚聴いて1回程度ですし、機器に影響を与えるようなノイズにはならないので、それほど気になるものでもありませんけどね。
データ量が単純計算でも3MB/sくらいになるはずですし、CPU負荷も大きくなるからでしょうか。
ちなみに192kHzまでに制限したり、24bitで試す限りでは音飛びは確認できませんでした。

さて、気になるサウンドですが、アップサンプリング無しの素の音は高域にやや伸びがないですが、非常に艶のあるALO Audioらしいサウンドです。
ちょっと無理がありそうなベト7でも低域の量感は十分あり、十分に聴かせてくれてビックリします。

さらに驚くのがAudirvana Plusのアップサンプリングを有効にした時です。
整数倍のみの設定ですが、CD音源が32bit/352.8kHzに拡張され、グッとクリアな印象になり、高域にも冴えが出てきます。
普段使っているATOLLのような締りやキレもありつつ、低域はソリッドかつ厚いものに変身して、場合によってはこれまでのメインDACを凌駕してくる部分すら感じます。
中低域のカブりがないので全体に聴きやすく、それでいて低域の厚みがあるのでアナログ的な味わいを兼ね備えているからでしょうか。

それにしても、これまで長短両面だったアップサンプリングですが、このThe Keyに限っては圧倒的に良く感じるのは32bitというのが効いているのか、それともDACチップの特性的なものでしょうか。
先ほども書いたとおり、PCM5102AはPCMに特化してあるらしいですし、ハイレゾで入れたほうが特性が良くなる傾向があるのかも、と勝手に推測しています。
付属の簡単なスペック表にも384kHzでは周波数特性が「5-150kHz」となっていますしね。

次にメインシステムから外して、ALO Audio The Nationalに接続してみます。
こちらもケーブルは長さ的に先日のPC-TripleCでは短すぎるので、その辺に転がっていたよく分からないOFCケーブルで接続です。
まずはSIEGE Audioのヘッドフォンで軽く鳴らし運転ですが、これでもiPod nanoやiPhoneからとはずいぶんな違いを感じさせてくれます。
低域の深みが全く違うんですよね。
とりわけ32bit拡張の効果が大きいようで、試しに24bit制限してみると低域の深みになぜかだいぶ差が出ます。
192kHz制限は一聴するとさほど影響はないようですが、高域の艶はやはり384kHzのほうが良い感じです。

続いてSHUREのSE215にしてみると、こちらはより明瞭に差が感じられ、The KeyとThe Nationalの相性の良さがハッキリと分かります。
同じメーカーの純正組み合わせみたいなものですから当然なんでしょうけどね。
こちらでも384kHzアップサンプリングのほうが明らかに良くて、やはり高域の艶に差があり、臨場感も増す傾向です。
全体的にはALO Audioらしいアナログ的な表現の上で、重厚さと深みがうまく演出されているようです。

不思議なことに、アナログレコードと通じるものを体が感じ取るのでしょうか。
The Keyで音楽を聴いてると自然にうたた寝してしまうんですよね。
見た目からしてもエンスージアストな高級感を感じるものではないのですけれど、聴いていてとにかく「音楽が楽しいDAC」だなと。
ALO Audioはどうやら音楽の楽しさがよく分かっているようで、少なくとも私の好みに合っているらしいことがハッキリと認識できました。
海外では据え置き機のヘッドフォンアンプやフォノイコライザーも出していますし、ぜひ据え置きのDACも出して欲しいところかも。
お値段的に手が届くかがちょっとどうかな?とも思いますけどね。

ちなみにこのThe Key、その思い切ったシンプル機能ゆえか、かなりお値ごろになってるケースもあるようなので、うまくそういうのを見つけてゲットされると良いかと思います。
ただし、ミニプラグだからといってヘッドフォンで直接は使えないのですし、バスパワーの消費電力からCCK経由iPhoneでもそのままでは使えませんから、その点はうっかり勘違いなきように。

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