MacBSの日常生活的日記

ACOUSTIC REVIVE リアリティエンハンサー レビュー 取り外し編

ACOUSTIC REVIVEのリアリティエンハンサーのレビュー第6弾となりますが、各所に装着したリアリティエンハンサーを取り外してみます。

まずは全部装着した状態を再確認しておきます。
装着箇所は以下のとおりです。

・RES-RCA : パワーアンプのRCA入力、プリアンプのTUNER入力
・RES-XLR : プリアンプのBALANCED入力
・RET-RCA : CDプレーヤーのRCA出力
・RET-XLR : DACのXLR出力

この状態にしてから、まさに手に取るように楽器の配置や音色が分かるようになったので、ルームアコースティックやスピーカーセッティングなどをずいぶん追い込むことができました。
実際にはビシッと決めるまでには試行錯誤はたくさんありましたけど、機材側に起因するところを疑わずに済むようになったのはリアリティエンハンサーの下支えのおかげでもあります。
その追い込みも含め、ステージ再現が鮮烈になり、まさに音源に収録された空間が目の前に再現されるようになりました。
音像も拡がりすぎず、タイト過ぎず、まさにリアルです。

そこからまずはパワーアンプのRES-RCAを外してみました。
ここには元々、通常タイプのショートピンが挿してあったのですが、これも装着せずに聴いてみることにしました。
簡単に言いますと、音が散らばってしまいます。
とりわけボーカルのリアリティは大きな変化でして、なんとなく口の周りを手で覆ったような独特の篭りとホーンのような付帯的な拡散と反射を感じます。
若干ゆったりしたソフトネスとキラキラした浮遊感のようにも感じられる要素もありますが、こうやって有無の違いを聴き比べてしまうと、それは明らかに本来の音源にはない虚像だと気づいてしまいます。
低域はやや力強くなったような印象もあって、良く言えば抑圧感が減ったと言えるのですが、実際には全般的に大雑把な鳴りになっているというのが正確でしょう。

さらにDP-77のRET-RCAを外してみます。
こちらはクロストークが増えたのか、音が中央にギュッと集まってしまいました。
その上、音色が濁っていて、まるで絵の具の色が混じってしまったみたいです。
音像の所在も不明瞭で、なんとなく鳴っている感が…。
勢いを重視するならコレで良いのかもしれないが、決してハイファイではないでしょう。

もっと他のも外していこうかと当初は考えていたのですが、ここまででもう耐えきれず、全部元に戻してしまいました。
とりわけCDプレーヤーのターミネーターのほうは装着の有無で別テイクの音源を鳴らしているのかと思えるほど、精度の違いが著しいです。
少なくとも違いが分からないことはあり得ないくらい、変わります。

ショートピンタイプ、ターミネータータイプに共通して言えるのは、色彩が豊かになるという点でしょうか。
彩度が上がって派手になったり無闇に高画素化してシャープネスで高解像度を演出するというのでは決してなく、カメラに喩えるならばレンズの透明度が上がって光源がしっかりしたような変化です。
逆に言えば、調味料的な使い方を想定するなら、導入はやめておいたほうが良いとも言えるでしょう。

双方の効果については以前も触れた気がしますが、ショートピンのほうがシステム全般に作用して万能に底上げされる傾向かと思います。
ターミネーターはある意味、上級者アイテムのような部分も併せ持つように思いますけれども、それだけに本質的な改善効果は機材入れ替えをも凌ぐものがあります。
セッティングの追い込みのタイミングで、アースリンク「RE-9」やアースの取り回しを変更するのも試してみたのですが、この時の変化がターミネーターを外した時の変化にそっくりなのです。
外した状態ではまるで焦点が合っていないような雰囲気になってしまいますが、ターミネーターも似たような変化が感じられます。

それだけにストイックさも必要で、ただ機材に挿しただけで一喜一憂していると判断を誤る恐れはあるように思います。
言葉は悪いかもしれませんが、低音が出た、高域が伸びたと喜ぶのであれば不要のアイテムです。
リアリティエンハンサー有りで調整を追い込んだからこそ見えて来る世界が確実にあると感じることができたのは、最近のACOUSTIC REVIVE製品に共通する特徴と言うことができるでしょう。
もちろんリアリティエンハンサーがあればさらなる高みを愛用の機材で実現できますが、迷いなく調整を追い込むことができる道標としての役割だけでも貴重な存在であると痛切に感じることができました。
貴重な機会を与えてくださったACOUSTIC REVIVE様に心より感謝申し上げたいと思います。

モバイルバージョンを終了