MacBSの日常生活的日記

ACOUSTIC REVIVEさん訪問記 その2

ACOUSTIC REVIVEさん訪問記も2回目ですが、今回は初日の夜に聴かせていただいたホームシアター主体のシステム3(とまた勝手に呼称付け)からです。

こちらはB&Wが主体の5.1chシステムで、プレーヤーはPRIMARE、その他はGOLDMUND主体になっていました。
プロジェクターは私もちょっと興味は持っていますし、大学生の頃は50inchのリアプロジェクションにAVアンプも入れてちょっとだけやっていましたが、これはもうそういうレベルではありません。

まず驚いたのはこのバッテリー電源の山!
同社の同軸デジタルケーブル用の電源として配置されているんだそうで、このこだわり具合からして半端ではありません。
そこまでの話や私の拙い音楽的に知識を察してくださって、S&Gが登場するBlu-rayや映画などをチョイスしていただいて拝見しましたけども、そんじょそこらの映画館では到底敵いっこないど迫力に、ただただ圧倒されるばかりです。

しかし音の骨格自体はその前に聴かせてもらったシステムと全く共通のバランスで、いかにもホームシアター、いかにもB&Wという音はそこには全く存在していません。
映画ではサブウーファーから爆風のような風がやってきますし、ライブは観ているだけで鳥肌が立つようですが、それは2ch以上に緻密に調整された結果だと思います。
プロジェクターで拝見していることが多かったこともあり、リアスピーカーの写真を失念してしまったのですが、この配置やバランスが実に絶妙で存在自体をほとんど意識させないものでした。

映像作品だけでなく、SACDの5chマルチと2ch、そして5chのリアのアンプだけOFFにした状態なども聴き比べさせてもらいましたが、リアが入ることで「スピーカーが化ける」と仰っていたのが印象的でした。
まさにその言葉どおりでして、2chでどれだけ頑張っても再現できない前後の音の広がりと精度がそこにはありました。
いかにも5.1chみたいなものはいろんなところで聴いていますが、そういう「ハッタリ」は皆無でフロント2本を支える脇役として素晴らしい役割を果たしていました。
逆にセンタースピーカーはプロジェクターの関係でどうしても正面下部の配置になりがちで、リアがない場合はむしろ音場再現の精度を下げていると感じる一面もありました。
純粋にオーディオとして考えると4chあるいは4.1chで構成していたら、SACDをベースにしたオーディオもまた違った成長を遂げていたのかもしれません。

さて閑話休題でリビングのシステムもちょっぴりご紹介。
ソナス・ファベールを主体としたシステムですが、正直ここまでアグレッシヴなサウンドを奏でるソナスは初めて聴いたかもしれません。
たしかに初期の頃はこういう感じで仕上げてあった展示もあったような気がしますけど、最近は妙に薄味なことが多かったんですよねぇ。
もちろんサイズが小さいですし、他のオーディオルームのように音響対策も万全とはいかないのですが、だからこそむしろ私には参考になる部分がたくさんありました。

こちらではアースの有無での音の違いを聴き比べさせてもらいました。
そういえばこれが唯一の自社製品試聴でしたが、残念ながらこの「RE-9」シリーズはすでに販売終了しています。
アースを外すと楽器やボーカルがあちこちに飛んでいってしまってます。
「まさにうちのシステムはこんな感じになってたなぁ」と感じつつ、「そもそもこういう音を意図的に作ってるケーブルもたくさんあるなぁ」とコッソリ思いました。
良く言えば「広がりがある」なんて言い方もできるのかもしれませんが、アースをつないだ時のビシッと決まる音像を聴いてしまうと、ただの虚像でしかありません。

ちなみにこちらのリビングでいただいた鉄観音茶の美味しさにも驚きました。
Telos Audio Designの方々のお土産だそうで、そりゃ美味しいはずですね。
もちろん、それを気持ちを込めて煎れてくださったからこそ、のお味だと思います。

オーディオも同じことで、素材や道具が一流品であることはとても重要ですが、最後は人なのかなと。
それぞれ置かれている立場や環境は大きく違いますが、その人がどうしたいのか、何を目指すのかを明確に持っていれば、いずれは目指す方向にたどり着く、あるいはそちらを向いた道を歩んでいけるのだとも感じました。
「強い夢は叶う」と言いますし。

さて2日目は会社のほうに移動しまして、70〜80年代を主体に構成されたシステムを聴かせていただきました。

当時の機材がどれだけのポテンシャルを持っているのか、気になっていらっしゃるようで、ヤフオク等で入手されているとのこと。
どこかで落札を競っていたかもしれませんね。
当時はオーディオ人口も今よりずっと多く、大手メーカーも今より情熱を注いで製品作りをしていた時代だと思います。
今も一生懸命、製品を生み出してる方々がたくさんいらっしゃるとは思うのですが、どうしても妥協や音楽のほうを向いていない姿勢が目立つことがしばしばで、そういう意味ではこの時代はがむしゃらに直球勝負していて、それが許された時代と言えるのでしょう。

こちらなら手が届かない、ということもないという方も多いことでしょう。
しかし出音はやはり前日の各システムに通じるもので、そこに古さを感じることは一切ありません。
私も当時、何度も試聴したような機種がたくさんで最初は懐かしさも感じましたが、出音はアグレッシヴかつ音楽を純粋に楽しく聴かせてくれるものでした。

Pioneer S-933は各ユニットが非常に優秀だというのは当時も感じていたことですが、正直それぞれに頑張って作ったユニットをまとめちゃいました、という感があったように記憶していました。
しかしこちらで聴かせてもらったそれは、見事にまとまっていて、そこにWestlakeのスピーカーが隠れてたと言われても信じてしまうかもしれません。
それでいてリボンやベリリウムドームの良さも引き立ててあり、まさに「良い仕事」がなされてあります。

まずはCDから聴いていきましたが、THETAのDACが非常に印象的でした。
特別に主張をしているということはないですし、全体でバランスが取られていますが、その中でもこの濃厚さはクセになる躍動感です。
つい曲に合わせてノッてしまうような楽しいサウンドです。

どの機材もただ買ってきてポンと置いたらこの音が出た、ということは全くなく、それこそ同社の製品群もそうですし、様々なカット&トライの繰り返しの中で生まれたものだと思います。
レコードに関しても他のシステム同様、まず盤に込められた制作者の思いを大切に鳴らされているのを強く感じました。
DENON PRA-2000のフォノイコライザーが優秀なこともありますが、私にはむしろ弱いと言われてるライン入力で聴いたCDのほうが(他のシステムと比較すると)躍動的に感じたくらいでした。
結局は「何を使うか」ではなく「どう使うか」が大切なのだというのを、繰り返し自分の中で問い直す時間だったように思います。

お店でもお食事の時も含めてずいぶんいろんなお話をさせていただきましたが、製品を生み出すご苦労ですとか、これまでの経緯なども伺いましたけれど、やはり印象的なのはオーディオの世界をより良いものにしていきたい、それも音楽を聴くことの楽しさ、奥深さを伝えてくれるものにしたい、という想いがとても強く伝わってきました。
本来なら新製品が…とか、PC-TripleC/EXが何処に使ってあったか?というのをレポートすべきなのかもしれませんが、私もその想いは通じるものがありましたので、あえてその取り組みや姿勢をお伝えできればと思って書いてみました。

これじゃ全然、音が分からない!という方もたくさんいらっしゃるかと思います。
ACOUSTIC REVIVEさんはオーディオショップさんでも精力的に試聴会をされていますし、製品の貸し出しサービスも充実しています。
また今回お聴きしたシステムもアポイントを取れば、どなたでもウェルカムとのことです。
とはいえ大変ご多忙な中、貴重な時間を割いて多くの素晴らしい体験をさせていただいたACOUSTIC REVIVE様にはこの場を借りて感謝申し上げます。
この貴重な体験の記憶を自分のシステム、そして生き方そのものにも活かしていきたいと思っております。
ということで、しばらくその余波での記事も続くと思いますが、そちらにもお付き合いください(笑)

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