• 233月

    RATOCさんにお借りしているDSD対応USB-DAC「RAL-DSDHA1」ですが、今回は肝心の音質について書いてみようかと。

    なお、比較対象のDAC、試聴用機材は以下のとおりです。

    音源: Mac mini + Audirvana Plus
    DDC: JAVS X-DDC
    DAC: ATOLL DAC100
    Amp: Micromega Minium AMP2
    Speaker: DALI Royal Menuet 2

    先日も書いたとおり、RAL-DSDHA1はデジタル出力がありませんから、上記のX-DDCとDAC100を置き換える形になります。
    WolfsonのWM8742を採用していて、これは当然ながらDSD対応のチップで、外部デジタルフィルタが不要という特徴があるとのことです。
    ちなみに先日いただいたRAL-2496HA1はAK4342、REX-Link2EXがAK4353と、これらは旭化成系のチップを使っています。

    ファーストインプレッションとしては、ややシャカついた印象ではあるものの、低域から高域までしっかり出ていてハイスピードなサウンドです。
    まずは聴き慣れた16bit/44.1kHzの音源から聴き始めましたが、情報量はDAC100と比較しても多いですが、やや整理しきれていないように感じる部分もあります。

    ボーカルはDAC100と比べると乾いた感じに聴こえるソースもあり、感覚的にはボーカルマイクの音をそのまま聴いているような印象ですね。
    ただ、ソースによってはそれほどでもないケースもあるので、録音をそのまま再現していると言えるのかも。
    ピアノに関しても傾向的には似ていて、直接音が主体となった録音では生録の際に直接ヘッドフォンでモニターしてるような雰囲気になってしまうこともありました。
    とはいえ、こちらもホールでしっかり録音されたソースでは響きもきっちり再現できていますから、DAC100のほうが残響を多少強める傾向にあると言ったほうが良いのかも。

    チェロなどの低域については芯がしっかりあるものの、最低域はほどほどで抑えてあり、それがむしろ全体としての濁りを減らす方向でうまく働いているようです。
    ヴァイオリンについては他のソースとは多少印象が違い、艶も良く残っていてドライさとのバランスが良く、弦や演奏者の表情が細やかに現れてきます。
    この辺りもやはり録音自体が関係している可能性は高くて、響きがしっかり収録されているものと相性が良いのだと思います。
    さらに、好録音だと思われるオーケストラものでは楽器の分離が良く、打楽器が入ってきても弦楽器が濁らず、しっかり聴こえるのは好印象です。
    その分まとまりは少し失われる傾向はあるかもしれませんが、それぞれの楽器のパートを細やかに聴きたい場合には相性が良いようです。

    さらに、音源をDSDに変えてみると、これがまた印象がずいぶん変わってきます。
    手持ちのDSD音源は2L Recordsのが少しと、あとは雑誌付録のもの程度ですが、どれもPCMの時とは大違いで、滑らかで柔らかい味わいで、CDベースの音源で感じられたギスギスしたところが完全に払拭されます。
    低域は一聴すると減ったように感じますが、滑らか、かつ伸びやかに広がって、全体的にもベールが数枚剥がれたような印象を受けます。

    そこであえて同じ音源を強制PCM変換させてみると、のっぺり平面的になり、音が団子になるのが分かります。
    音の好みも多少はあるのかもしれませんが、情報量そのものに違いを感じてしまいます。
    DSDの規格自体や音源の優秀さも手伝ってるのだと思いますが、やはりDSDネイティブ対応は伊達じゃないなと。

    では同じPCMでもハイレゾ音源だったらどうだろう?と試してみると、24bit/96kHzでもDSDにそれほど遜色のない情報量が感じ取れます。
    音の傾向はまさにCD音源とDSDの中間くらいで、これなら機材と音源の良さが十分発揮できているのではないかな。

    さらに、CD音源も強制アップサンプリングしてみたらどうなるかな?ということで、Audirvana Plus側で整数倍アップサンプリングして入れてみました。
    すると、大人しくなる傾向はハイレゾ音源に近い印象ですが、やはり情報量自体は増えず、元々の音源を大きく超える変化は見られませんでした。
    こういったところから判断すると、やはりDSDやハイレゾ音源でこそ本領を発揮する機材なのかなという気がしますね。
    もしかすると、最近のDACがハイレゾ対応前提でフル性能を発揮できる傾向があることも多少、関係しているのかもしれません。

    しばらくRAL-DSDHA1を聴いたところで、普段使っているX-DDCとATOLLの組み合わせに戻してみます。
    するとやっぱり普段聴き慣れた音で、サラッとしたあっさり系のサウンドが耳に入ってきます。
    ATOLLに変えた時にも強く感じた、音場がスピーカーの外側や奥行き方向に広がるところがRATOCとの大きな違いでしょうか。
    それぞれの楽器やボーカルの艶めかしさにも違いは感じますが、その辺りは好みもあるでしょう。
    また、性能だけを見るとRATOCのほうが現代的な高性能さを感じるもので、ATOLLのほうはやや古いCDプレーヤーみたいな解像度不足を感じるケースもあります。

    USB-DDCとDAC込みの価格を考えると、RAL-DSDHA1はかなり優秀というのが音質面での総合的な感想です。
    率直に言って、今使っているATOLLと交換してくれるというなら、それもアリかなと。
    あとは情緒面でもう少しゴージャスと言いますか、ケレン味みたいなものがあっても良いかなとは思いますけど、そこはRATOCさんらしいテクノロジー志向というところでしょう。

    RAL-2496HAのレビュー時にも書きましたが、個人的な希望として、RATOCさんにはぜひDDC単体で出して欲しいなぁと。
    それを実現するにはDSDでのDAインターフェースを規格化する必要があるのでしょうけどねぇ。

    次回はヘッドフォンアンプとしての性能などを中心としたレビューをと思っていますが、その前にもう一つの機材のほうをレビューさせてもらって、その後に報告したいと思っています。

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    Filed under: Audio
    2013/03/23 7:00 pm | RATOC RAL-DSDHA1 レビュー 音質編 はコメントを受け付けていません

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