• 187月

    茶楽音人さんの新しいイヤフォン「Donguri-鐘 HAGANE ver.」のレビュー第3弾ですが、手持ちの他のイヤフォンたちと比べてみることにしました。

    比較したのは以下のヘッドフォンです。

    茶楽音人 Donguri-鐘 HAGANE ver.
    茶楽音人 Donguri-鐘 KURENAI ver.
    茶楽音人 Donguri-楽 濃茶
    ortofon e-Q5
    SHURE SE215(ACOUSTIC REVIVE REC-130SH-Rでリケーブル)
    番外:SENNHEISER HD598

    まずは茶楽音人どうしの比較ですが、端的に表現してしまうと「楽 濃茶」は普通の合板そのままの部屋、KURENAIはアルミパネル、HAGANEはオーディオグレードの調音ボードのDonguriという印象です。

    茶楽音人 Donguri-楽(RAKU) 濃茶

    濃茶との比較ではやはり2ランク以上の差を感じて、楽のレンジの狭さや音の薄さを実感してしまいます。
    ただしその分、刺激も少ないので、様々な音源でオールマイティーに使える良さはあります。

    茶楽音人 Donguri-鐘(SYOU)

    KURENAIについてはよりアグレッシブに金属製のDonguriを活かした響きですので、ハマると刺激的な魅力がありますが、オールマイティーさにはやや欠ける傾向があります。
    視聴時はSpinFitを装着しましたから、これがComplyだとやや特色を抑えてバランスが取れる傾向ですが。

    さて、ここから他社も交えての交流試合比較試聴ですが、楽曲としてはクラシック、女性ボーカル、そして男性ボーカルの3種類を選んで、楽曲ごとにイヤフォンを切り替えながら比較試聴していきました。

    SHURE SE215

    一番手はSHURE SE215ですが、クラシックでは音楽性の高さを聴かせてくれます。
    耳の中にダイレクトに入ってくる要素が非常に高いので、音に集中できるというところも功を奏しているのでしょう。
    定位は完全に頭の中で、小世界を形成してくれます。
    低域、高域はほどほどなところで抑えられてあるので、ある種、フルレンジスピーカーのような世界観です。

    女性ボーカルでは当初、こもっているように聴こえて帯域の狭さに気づかされますが、そのバランスに慣れてくると音の厚みと感じるから不思議です。
    ピアノの打鍵は良く聴き取れ、ボーカルは一歩前に出て、楽曲が意図したバランスを再現してくれています。
    低域の量は本質的にはそう多くありませんが、ユニットの振動が耳に伝わるので、体感的な満足感があります。

    男性ボーカルではロック色の強めな楽曲を選びましたが、こちらも全体的に自然なバランスです。
    エレキギターは厚みで表現されますし、やはりボーカルは前に出るあたり、女性ボーカルの際と同じ傾向です。
    少し解像度が足りないのも同じで、高域の伸びがややないなと感じますし、録音が良好なソースだと正直、少し旧世代感を感じる部分も少なからずあります。

    e-Q5

    続いて、ortofon e-Q5もSpin Fitを装着してあります。
    こちらはシングルBAということもあり、SE215とはまた少々違った傾向でナローレンジな印象があり、帯域はやや上寄りです。
    しかしBAらしく、音の鮮度に魅力があるもので、クラシックではヴァイオリンの音色で非常に細やかな再現性を体感させてくれます。
    そうは言っても比較試聴するとやはり低域不足は否めないところです。

    女性ボーカルでは解像度はやや低めながら音が前に出てきて、全体的な雰囲気で聴かせてくれます。
    以前から感じていましたが、女性ボーカルやピアノとの相性は良いイヤフォンです。

    男性ボーカルでは量感不足の低域がさらに篭っているようで、エレキギターは低域の厚みで表現されます。
    対してボーカルはオンマイクな雰囲気になり、全体的に音像が膨らむ印象を受けました。
    こういったソースでは、意外にか細さは感じさせないのはバランス取りがされているのでしょう。

    茶楽音人 Donguri-鐘(SYOU)

    そしてDonguri-鐘 KURENAI ver.ですが、クラシックは穏やかな音色で、音に広がりを感じます。
    やや残響過多な印象はありますが、それがオーケストラではホール感のような雰囲気作りにもなっています。
    低域はやや不足気味に感じますが、e-Q5ほどではありません。
    ヴァイオリンは直接音は非常に抜けが良いのですが、弦の擦れなどはやや大まかな表現になりがちです。

    女性ボーカルでもやはり低域はやや不足するものの、音自体のバランスは良いもので、ボーカルの艶も再現されています。
    ピアノも躍動感のあるもので、ライブ感がほどよく付加されているのが印象的です。

    男性ボーカルではエレキギターの押しも透明感を保ちつつ、しっかり出していて、何より高域の冴えが素晴らしいので、チョーキングが冴えていました。
    その中でもボーカルが埋もれず、しかも全体的なライブ感が心地よいもので、現代的なソースほど、その良さが活きる傾向だと思います。

    茶楽音人 Donguri-鐘と楽 濃茶

    「Donguri-楽 濃茶」はクラシックでも低域は伸びており、なにより響きが自然です。
    音色はややSE215に似ているように感じましたが、これはもしかすると筐体の素材によるものかもしれません。
    今回の比較試聴でハウジングが金属系のものとプラスティックではかなり大きな傾向の違いを感じました。
    少し話が逸れましたが、クラシックでは思った以上に相性が良く、ヴァイオリンの弦の掠れもしっかり再現していて、他のイヤフォンの負けていません。
    響きも直接音とバランスが良いもので、楽しくクラシックを味わうことができました。
    あえて言えば、帯域は高域側でもう少し伸びを感じても良いですが、実際には出ているので、そこはDonguriによる響きとのバーター的な要素でしょう。

    女性ボーカルではやや音が遠く、消極的な印象があります。
    ピアノがやや電子的で、ボーカルの再現は特性的にはなかなか良いのですが、厚みがやや物足らず、全体的に軽薄な印象を受けてしまいます。
    もちろん、バランス自体は悪くないので、Donguriとの相性が裏目に出たのかもしれません。

    男性ボーカルでは低域にややプラスティックの音色が乗っていますが、よりダイレクトなボーカルが音楽を引っ張っていきます。
    帯域は欲を言えば少し狭いですし、エレキギターはやや後ろに位置する傾向ではありますが、とにかく聴きやすく、聞き流しには良いバランスです。

    茶楽音人 Donguri-鐘 HAGANE ver.

    そして本命の「Donguri-鐘 HAGANE ver.」です。
    クラシックでは低域の量だけでなく質も向上しているのが良く分かります。
    響きの傾向としてはコンサートホールというよりも良質なスタジオ的な音響です。
    ヴァイオリンの艶が他に比べて良く出ているのが特筆すべき点で、さらに楽器の配置が見えてくる定位の良さがあります。
    ボリュームを上げても煩く感じないというのはバランスの良さや歪みの少なさに起因するものでしょう。
    ある意味、KURENAIの改良版というよりも、濃茶の進化版のような印象も受けました。

    女性ボーカルではピアノはやや浮足立ち気味で、ボーカルもマイクの直接モニターのような雰囲気でしたが、これはソースによるものかもしれません。
    ただ、いろんな楽曲への相性という点では、Donguriに期待されるユーザーのイメージからすると、もう少しモニター色は薄めでも良い気もしました。
    代わりに、ピアノの弦の残響が正確に再現されているのには驚かされました。

    男性ボーカルでもモニター的な傾向は同様で、ギターではエフェクターの音色まで感じ取れるほどです。
    ボーカルは生々しさが伝わってくるソリッドなもので、全般的にとにかく情報量が多いです。
    ボーカルやギターが目立つ中で、バックを支えるストリングスもしっかり感じ取れたのはこのイヤフォンだけでした。

    SENNHEISER HD598

    オマケでHD598とも比較してみました。
    音のヌケの良さはやはりオープンエアに敵わない部分がありますが、低域はむしろHD598のほうが軽く感じますし、ヴァイオリンがややオーケストラの中に溶け込んで濁った感じがありますが、HAGANEではさきほども書いたとおり、ソロヴァイオリンとバックのストリングスがしっかり分離して聴き取れます。
    言うなれば、HD598はややラフにセッティングされたフロアスピーカーのような印象でしょうか。
    HAGANEのほうはセッティングを追い込んだ良質なコンパクトスピーカーのようです。

    また、再生環境もiPhoneやiPod nanoの直挿しでも試してみました。
    主に外出先で直挿しを試してみましたが、これならポタアン無しでもかなり良い線を行ってくれるなというのが正直な感想です。
    こうした駆動しやすさも特筆すべきポイントではないでしょうか。

    最後にもう一つ、逸話的なものを。
    電波時計が電波を受信できない時にイヤフォンから無理やり3次高調波成分を生み出して電波代わりにする「JJYシミュレータ」というのがあるのですが、これにHAGANEを使ったのですが、全く電波代わりになってくれませんでした。
    ボリュームをいっぱいにしたHAGANEからは高周波がしっかり聴こえてくるのですが、おそらく高調波歪み自体があまり発生しないからなのでしょう。
    代わりにiPhone付属のイヤフォンでやると、イヤフォン本体からは全く音が聞こえないのに、あっさり時計は電波を受信しました。
    こうしたところにもケーブルも含め、しっかりした作りこみを感じた次第です。

    最後にまとめますと、それぞれに好みこそあれ、より現代的な良さを示してくれるのはやはりHAGANE ver.だなと強く感じます。
    あとはこれでバランス対応や好みが調整できるように、リケーブルに対応したモデルも登場してくれれば言うことなしといったところでしょうか。

    関連エントリー:

    Filed under: Audio
    2015/07/18 7:00 pm | 茶楽音人 Donguri-鐘 HAGANE ver. レビュー 比較編 はコメントを受け付けていません。

Comments are closed.