MacBSの日常生活的日記

PHIATON MS400 レビュー

PHIATONのヘッドフォン「MS400」をみんぽすさんにお借りしました。

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PHIATONと書いて「フィアトン」と読むのですが、メーカーには失礼ながらご存じない方も多いのではないかと。
他社のOEMを手がけてきた韓国の音響メーカーの手によるオリジナルブランドです。
MS400はModernaシリーズということで、カーボンファイバーを使ったハウジングデザインが現代的な、かなり高級なヘッドホンです。

ただ、箱から出してみて思ったのは、この価格帯にしてはコネクタが安っぽいという点でした。
金メッキはちゃんとされていますが、ミニジャックもミニからフルへの変換コネクタも普及価格帯な感じなんですよね。
ケーブルも交換可能ではなく、ややカールしやすく細いものですし、オーディオマニア的な観点でみると、あれ?と感じてしまう部分です。

ケーブル長も標準では短めで、そういった高級感よりも携帯性を重視したのかな、という気がします。
ヘッドホン自体の重量も見かけよりも軽いですし、非常に品位の高いケースや延長ケーブルが付属する点でも、その傾向を感じます。

そういう予想外の感覚はありましたが、次は音に注目してみます。
まずは音の傾向からいきますと、メーカーでいえばオーディオテクニカの製品に似ている、というと語弊があるかなぁ。
実際、このメーカー自体、オーディオテクニカのOEM供給元にもなってるそうですし、これまでの技術的蓄積の方向性の点でも類似性が出るのかもしれません。

iPhone、iPod classic、iMac、それにSONYのCDプレーヤーなどで試聴してみましたが、どれも破綻なく、低音から高音までそつなく安定感のある音を聴かせてくれます。
口径のわりには低音のボリューム感は少なめですが、低音の伸びがないわけでなく、ブーミーにならずに素直な特性なのだと感じました。

装着によっても低音の特性には変化があって、ヘッドバンドの伸縮を短めにすると低音が強調され、緩めると低音が減る傾向があるようです。
インナーイヤーほどではないにしろ、このあたりはヘッドホンの特性上、個人差が大きいところですが、音軸がしっかり合わないと、想定した音場にならないのかもしれませんね。

音としてはモニター的な傾向がやや強めで、ピアノやギターなど、アコースティックな楽器が得意のようです。
ピアノのアタックがしっかり出てダンピングファクターが高めのようですが、不思議と後の音の抜けがよろしくないのが気になります。
そのためなのか、一聴すると「おおっ」という新鮮な印象を受けるのですが、長く聴き続けていくと、だんだん爽快な感覚が阻害されていきます。

エイジング不足の可能性もありますが、どうもハウジングの横の部分のプラスティックが共振していて、それが音の艶を奪っている気がするんですよね。
この製品は最初に書いたようにカーボングラファイトファイバーを用いているのが特徴なわけですが、この横の部分はどうも普通のプラスティックなのではないのかなぁ?
これを指で軽く弾いてみると、乾いたようなコツコツという感じの音が響きます。
周波数でいうと、基音が350Hzくらいといったところでしょうか。
購入品なら、外側や内部からダンピングするようなチューニングが効果的かもしれません。

こうした部分も含め、ややチューニングが不足している感は否めません。
サ行の強調がなく、良い意味でも悪い意味でも高調波成分が少ないので、純度は高いのですが、内向的な音になりがちで楽しく聴くという気持ちになりづらいのは残念なところです。
自社ブランドとしての歴史がまだやや浅いこともあって、音作りの技術がまだ未熟なのかもしれません。

ただ、以前も紹介したMac用の高音質プレーヤー「audirvana」でのアップサンプリング再生などでも、しっかりその違いをヒアリングすることができ、潜在的な能力は大変高いといえるでしょう。
ユニット自体は素直で優秀だと感じますから、これから徐々にブランドとしてのパワーを蓄えていってほしいと思います。

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