MacBSの日常生活的日記

KENWOOD KH-KZ3000 レビュー 到着編

KENWOODのヘッドフォン「KH-KZ3000」をみんぽすさんにお借りしました。

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KH-KZ1000の上位モデルにあたるKH-KZ3000ですが、直販限定モデルとなっています。
一応試聴ができるお店もあるようですけど、かなり限られるので今回は貴重な機会をいただいた形です。

パッケージは外観、そこまで豪華でもありませんが、箱を開いてみると「感」を強調したメッセージが添えられていて、かなり拘った印象を受けます。

この紙を外してみると、上のようなメッセージが。
ちょっと「感」にこだわり過ぎているような感もありますが、なんとなくこのモデルに込めた想いのようなものは伝わってくるような気がします。

ただ一点、苦言を呈しておきますと、このベルベット風の箱、裏返すとプラスチックに両面テープでわりと雑に貼り付けられたようなものになっています。
そのこと自体は「パッケージなんて所詮飾りですから」と言えなくもないのですが、他のヘッドフォンで良く付属しているようなキャリングケースの類いもなく、付属品は説明書とケーブル1種類のみなので、それならこの箱が日頃収納しやすいようなものになっていればなぁと感じました。

またケーブルは3,5mm4極-3.5mm3極の1.2mと短めのケーブル1種類のみで、ここも標準ジャックのカールコードなどが用意されていると嬉しいかなと。
せめて標準添付でなくても良いので、バランス接続用のリケーブルくらいは販売してくれると良いように思います。
ちなみに、4極3.5mmがヘッドフォン側、3極3.5mmが機器側で、同じ太さですから接続ミスをしないように気をつける必要もあります。

ただ欠点はそのくらいでして、掛け心地や音は正直、期待以上のものでした。
私も愛用しているHD25-1 IIと同じ耳のせタイプですが、側圧は適度でむやみに高くなく、イヤーパッドも良質で、その点ではHD25-1 IIよりもずっと掛けやすいです。

ひとまず下記の環境で、手持ちのヘッドフォンと取っ替え引っ替えしつつ聴いていきました。

DAP: FiiO X1
Cable: ALO Audio SXC22 Mini to Mini
Amp: ALO Audio The National / Rx MkII / DigiFi No.22付録

音は奥まった空間に広がる印象で、重厚さよりも穏やかな広がりを感じる上質なものです。
刺さるような中高域がないのが印象的で、低域や高域も刺激は少なく、穏やかさを感じます。
全体的にクセが少ないので、機器の色がそのまま出る印象です。

曲間や曲中に関わらず、どことなくベースとなる空間に静寂感が感じられ、その分、機器のノイズも目立ちがちですが、これはおそらくユニットも含めたヘッドフォン全体として、歪みが少ないがゆえではないかと思われます。
艶っぽさを強調するようなところもなく、録音されている内容を素直に引き出す傾向で、手持ちのものであえて似ているものを挙げるとすれば、HD598を密閉型にしたような雰囲気でしょうか。

もちろんクセが全くないというわけではなく、アコギの音色がややエレアコっぽく聴こえたり、女性ボーカルがやや鼻詰まりのように感じたりすることがありました。
これらは帯域的にわりと似通った辺りだと思いますので、そこは多少のクセが出ている部分かもしれませんし、上流機器のアラが出ている可能性も否定できません。
ただアンプも色々替えてみた印象では、中高域にアクリルっぽい透明感が少し乗っているような感覚でした。
もちろんこれは悪い部分という意味ではなく、例えばThe Nationalでは、このアンプの少しざらつく部分がコーティングされて滑らかになっているような傾向に働いていましたし、ハイレゾでやや強調されがちな高域とのつながりを良くしてくれているような面もあるように思います。

音場についてはボーカルがしっかり前に出るし、楽器の左右だけでなく、前後の位置関係もかなり明瞭で、非常に現代的で特性の良さそうなものです。
どちらかと言えば、熱っぽい荒々しさはなく、ややクールでドライな印象ではありますが、音自体が冷たいわけではなくて、音源に対してごく素直に忠実な鳴らし方なのだと感じました。
全体的には現代的で優等生なまとめ方で、様々なジャンルに合う適応力を持つものです。
まさにKENWOODらしい、クリアかつ穏やかでありつつワイドレンジなサウンドにまとめてあります。

製品サイトでも「ソリッドなデザインと上質で重厚なサウンドが、刺さる逸品」とされていて、特徴的と言われている低域ですが、ドスンドスンと出るのをイメージしていると、それとはかなり違う感じです。
そんな中低域ではなく、下までスッと伸びる印象のもので、量感だけでなく質感を大事にした低域です。
高域とのバランスもしっかりしているので、低域ばかりが目立つことはないように感じました。

いつもややクセのある機材を使っている私からすると、全体的に嫌味がないので、万人受けするのではないかと思いますが、それが決して「つまらない」とか「楽しくない」音楽にならない辺り、非常に高いバランス感覚で仕立てられていると思います。
ただ、ヘッドフォンで自分の好みの音作りをしたいと考えると、通販限定という部分も含めて、方向性の違いを感じてしまうかもしれません。

ここまで正直、あまり期待せずに聴き始めたのですが、ポテンシャルの高さにはちょっと驚きを感じました。
次回以降、ポータブルヘッドフォンアンプを交換してみたり、HD25-1 IIやHD598などとの比較試聴を交えながら、KENWOOD渾身のヘッドフォンに感じたところを書いていきたいと思います。

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