• 103月

    OlasonicさんのNANOCOMPOシリーズ第一弾、USB-DACアンプ「NANO-UA1」ですが、前回につづき、音質に関して書いてみようと思います。

    お借りしたのは試作機であり、製品版と異なる可能性もあります。
    また、発売前の試作機を聴かせていただく貴重な機会をいただいていますが、謝礼等はなく、あくまでも個人ブログとして、できるだけ公正にレビューさせていただこうと思います。
    試聴環境ですが、いつも自宅で使ってる機材そのままにアンプとDAC(場合によってはDDC)を置き換えた以下の構成です。

    PC: Mac mini + Audirvana Plus
    DDC: JAVS X-DDC
    DAC: ATOLL DAC100
    アンプ: Olasonic NANO-UA1(通常はMicromega Minium AMP2)
    スピーカー: DALI Royal Menuet II

    まずはX-DDC経由で光デジタル入力で音出し確認から始めましたが、DigiFi付録のアンプからすると二段階くらいスケールアップしているのを体感できます。
    音の傾向は付録アンプに近い印象ですが低域の量感は圧倒的に違いますし、音の粒立ちやきめ細やかさが格段に向上しています。
    付録の時にも感じたのですが、かなりクセの強いRoyal Menuet IIが優等生になるところも似ていて、暴れ馬をなだめるだけのドライブ能力は十分ですし、音の傾向としても現代的で明晰な志向のようです。

    デジタルアンプは概して低域が不足しがちなものが多いですが、最低域も比較的しっかり伸びています。
    ただ、Olasonicさんの社内で聴いた時に比べると量感はそれほどでもないのが不思議な感じです。
    スピーカー自体の性格もあるのかもしれませんが、Royal Menuet IIは4Ωですし、インピーダンスが関係している可能性もあるかもしれません。
    なお、先日伺ったところによるとNANO-UA1自体は4Ω以上のスピーカーに対応しているとのことでした。

    残留ノイズは非常に少なく、この点は手持ちのマイクロメガからするとかなり良い部分です。
    これも影響しているのか、小音量時の分解能はなかなか高く感じます。
    私が夜に聴いている音量だとUA1ではボリューム位置が11時くらいとそう大きくないですが、そこから10時くらいまで絞っても破綻しないのはなかなか優秀です。
    もちろん、ボリュームを上げても音像が破綻することはなく、よりパワフルにスピーカーをコントロールしてくれますが、どんな音量でもしっかり聴かせてくれるというのはヘッドフォンからスピーカーへという道筋を広げるには非常に良い部分かと。

    慣らしも終わったところで代わる代わるいろんな音源を楽しんでみます。
    まずはピアノですが、一部の楽曲でデジタルアンプっぽいジュワジュワとしたノイズが載るケースは見受けられましたが、ペダルや鍵盤のタッチノイズなども誇張なく自然にしっかり聞き取れ、実体感のあるピアノを奏でてくれます。
    とりわけ私が自宅録音したものだと、元々の音質は良くないものの余計なリバーブなどがないだけに、リアルさが出ていて生音を思い起こさせてくれました。

    チェロやヴァイオリンも生音源を感じさせる自然な表現ですが、直接音がやや主体になりすぎる傾向で、少し素直になりすぎるかな、とも感じました。
    ボーカルについても同様で、定位もしっかりしていて、いわゆる「ボーカルの口が大きくならない」のは素晴らしいですけど、その分、艶や響きがもう少しあったらなぁと感じる部分もあります。
    Royal Menuet IIが元々、他のスピーカーに比べてそういう部分(だけ?)に強いものなので、その強烈な個性が抑えこまれている傾向があるのかもしれません。

    続いてUSB入力に切り替え、ハイレゾ音源でベートーヴェンの交響曲第7番を試してみると、小音量時の分解能が非常に高く、24bitのメリットをしっかり享受できています。
    ただ、さすがに音量を上げ過ぎると楽器の分離が少し悪くなる傾向はありますが、パワー自体に不足を感じることはありません。
    ジャズライブ盤ではボーカルの場合と同様、間接音がやや減退する傾向がありましたが、同じ音源でX-DDC経由にしてみるとだいぶ解消された印象でした。
    全般的にX-DDC経由と聴き比べるとUSB入力のほうが低域の量感や全体の勢いがある印象で、代わりに高域の透明感や音場感がやや失われる方向で、これに関しては一長一短といったところです。

    なお、音楽以外のPC周りのサウンドも流してみましたが、音源に込められた情報をしっかり引き出してくれる深さを持ちつつ、それこそ映画やYouTubeの音声などもこなしてくれる懐の広さもある辺り、これぞTW-S7のOlasonicサウンドだなと痛感しました。
    そういう意味ではリビングや書斎にドーンと構えたオーディオシステムではなく、寝室や自室でさり気なく楽しませてくれるハイコンポみたいな使い方が合ってるのではないかと。

    いずれにしろ、全般的に日本製らしい実直なサウンドの仕上がりで、そういう意味ではこのサイズや価格に驚くほどの完成度を体感できました。
    あとは音の好みの部分だけで、国産の旧機種やミニコンポ、そしてヘッドフォンからの移行といったところですと、ぴったりフィットしてお気に入りの一台になる可能性が高いのではないかな。

    残り数日ではありますが、上でも挙げたシチューエーションのとおり、寝室のサブシステムで使ってみたり、ヘッドフォンアンプ側の性能など、まだまだチェックできればと思っています。

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    Filed under: Audio
    2013/03/10 7:00 pm | NANO-UA1 レビュー 音質編 はコメントを受け付けていません

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