• 109月

    TwitterのフォロワーさんからCHORD COMPANYのインターコネクトケーブル「Indigo Plus」を譲っていただきました。

    調べた限りではおそらく2008年くらいに発売されたもののようで、当時は同社のハイエンドケーブルだったものです。
    下世話な書き方ですけども、当時で1214ユーロ、国内だと「けーぶる舎」さんが扱っていた時代で129,600円となっていました。
    値段の話はそのくらいにして、特徴的なのはその構造でしょう。

    左右それぞれのケーブルが分離しているのはまぁ当然として、それぞれがまたナゼか(?)2本に枝分かれした構造です。
    デュアルコンダクター構造というもので、銀メッキの導体が採用されています。
    私が持っている同軸デジタルケーブル「Signature Digital」も似たような構造ですね。

    また、かなり拘ったプラグ構造を取っており、その後のVEE3プラグにも似ていますが、これも銀メッキされています。
    どうしても黒ずんできがちですが、状態も非常に良く保たれています。
    ただ、RCAプラグのセンターピンはかなりグラグラしていて最初はちょっとビックリしましたが、あとで確認したらSignature Digitalも同様でした。
    写真には撮っていませんが、けーぶる舎さんの説明書にもはんだ付けが最小限なことも含め、取り扱いに注意するようにと記載されていました。

    左右の判別がやや分かりづらいですが、実際に見ると片方は白、もう片方はやや紫がかったラメっぽい文字になっているので見分けが付きます。
    時期によって右が赤になってるものや、プラグ形状が違うものなど、結構バリエーションがあるようです。

    ということで早速、動作確認も兼ねて、Accuphase DP-77に装着してみました。
    これまではちょっと商品待ちでAccuphaseのSL-10を使っていましたが、これはロジウムメッキということもあり、高域がやや華やかで固さがあるものの、純正らしく定位は明瞭で安定感があるものでした。
    ツヤだけに頼らず、芯のある描写は気に入ってたものの、中低域はやや弾む感じがあるところがやや難というところでした。

    これをIndigo Plusに交換して最初に感じたのは、やはり当時のCHORDは艶が全開だなという点です。
    私の持っているCHORDのケーブルはCrimson Plus、Cobra Plus、Chameleon Plusと同時期のものばかりです。
    ただ、それらとはやはり格が違っていて、しっかりとした深みがあり、良質なアナログのような味わいに仕立てられています。
    最初は慣らし運転しつつの試聴のつもりだったのに、ついそのまま音楽に聴き入ってリラックスしてしまう辺り、流石というところです。

    怖い(?)のはついつい音量を上げたくなるところでして、聴いてる本人は穏やかにゆったり聴いているつもりが、階下や実際に音圧を測ってみると普段より断然、大音量になってしまっています。
    奇数次の歪みが減り、倍音が増えたことで、デジタル機器特有の歪みが打ち消されているのかもしれません。
    結果として、出音は滲みが少なく、本来音源が包含している倍音を豊かに純度高く表現してくれます。
    とりわけ、これまでのSL-10ではヴァイオリンがキツくてちょっと敬遠気味だったのが大幅に改善され、まるで唄うようにヴァイオリンが奏でられていきます。
    聴感としてはバランスはやや高域寄りで、その辺りを主とした楽器では、音源に閉じ込められていた音表現の機微が、目の前に再現された演奏空間で刻々と咲きほこるかのごとく、見事に蘇っていきます。
    位相の乱れがないから、楽器の位置関係が明瞭で音色や余韻も美しく描き出されるのでしょう。

    高域寄りと言いながらも、これまた計測してみると低域の深さも尋常ではありません。
    帯域が狭いわけではなく、音離れが良いのでスッキリした印象を受けるのでしょう。
    ある意味、奥ゆかしい表現の仕方をしてくれるので、いわゆるオーディオ的なケレン味といった部分は少なく、音楽に寄り添うバランスで、より深遠な音楽の世界を表現してくれます。
    デモ的な派手さがない代わりに、ナメているとフォルティシモでは秘めていたエネルギーに圧倒されます。

    一方、交響曲などでは中低域を中心にもうちょっと分かりやすい迫力感のような演出があっても良いのかなと感じる場面もあります。
    ちょっと聴いて「これはスゴイ!」となるような見せかけの派手さとはひたすら無縁で、自制したバランスの中でじわりじわりと深みを極めてきます。
    それだけに普段のパートは楽器の編成がとても分かりやすく、音楽としてのバランスの良いものです。

    どんな楽曲でも音像が膨らまず、しっかり分離して、これほどまでに!と思うほど正確に描写されます。
    それだけに音源(特にCDフォーマット)や上流を中心としたオーディオ機器の性能・セッティングにもシビアですし、録音や機材が良ければ良いほど、それは顕著に表れてきます。
    とりわけパワフルさが重要なようで、感覚的には浄水器を挟んだようなイメージがあり、そのせいか、上流に力がないと音が痩せてしまう傾向は感じられます。
    ある意味、海外製ハイエンドの世界観だなと思いますが、それでいてちょっと俯瞰的に聴くのであれば、どんなジャンルでも聴きやすく、リスニング寄りの仕立て方も上手です。

    エージングも少し進んでくると音が前に出てきました。
    以前のケーブルと比べると音場はやや前方に広がる形で、エージングやその他の箇所の修正で奥行きも広がりました。
    最初は艶や上品さが目立って音楽性を高める方向性のように感じたところもありましたが、しっかり聴き込んでいくとそれは本来の音源の持つ魅力が引き出された結果だと気づいてきました。
    現状のセッティングではボーカルが特筆すべき魅力を発揮しており、男声、女声に関わらず素晴らしいものです。
    膨らみ過ぎず、ほどよい艶を感じさせながら、細かな息遣いまで伝えてくれます。
    これはおそらく非常に揃って整った左右の位相バランス、品質によるものでしょう。

    一方、これはセッティング側の問題(音源も?)だと思われますが、ピアノの再現性はまだまだ改善の余地が残されています。
    残響がやや過多になりがちなのは多くの場合、録音によるものだと思われますが、左手の音階がやや不明瞭で弱めになるのはもう少し工夫したいところです。
    とにかく何をどう変えても以前より明瞭に判るようになり、その点では逆に困ってしまうほどです。

    繰り返しになってしまいますが、上流機器のパワーやちょっとした位相を乱す要素(ルームアコースティックなど)にシビアではありますけれど、それさえしっかり追い込んでいけた時に聴かせてくれるサウンドはこれまでCD/SACDでは聴かせてくれなかった世界に到達できたような気がします。
    そこを満たして音楽に浸ったその時間は、もはやIndigo Plusどころか、オーディオ機材の存在すら忘れ、音楽だけがそこにある世界を構築してくれる「魔法の紐」になってくれます。
    まだ完全にその境地に達していない部分もありますが、少なくともIndigo Plusは、そうなりうる実力を有したハイエンドケーブルだと実感した次第です。

    そうなると現行のCHORD COMPANYのハイエンドはどんな世界なのか、気になってしまいますが、最近はやや傾向も変わってきたようですし、そこはまぁ分相応というものもありますので…。(すでに分不相応とも言えますが。)
    最後になりましたが、貴重なケーブルを譲っていただいたフォロワーさんには心から感謝申し上げたいと思います。

    (当サイトでは、Amazonアソシエイトをはじめとした第三者配信のアフィリエイトプログラムにより商品をご紹介致しております。)

    Filed under: Audio
    2017/09/10 12:00 pm | CHORD Indigo Plus RCA はコメントを受け付けていません

Comments are closed.